ポイント調整アウターローター編

掲載日:2008年07月07日 部位別メンテナンス電装系    

メンテナンス講座

失敗を恐れずに
「調整による違い」を体感しよう。

絶版ミニの点火系は、そのほとんどがアウターフライホイール&ポイント制御のフライホイールマグネトー点火方式を採用している。外側からポイントが見えにくい関係で、調整作業が万全ではなく、火花の調子が今ひとつ良くないといったケースも多いようだ。

 

フライホイールの裏に隠れているため、少々面倒な印象が強い絶版ミニのポイント調整。タイプやポイント形状は異なれど、メンテナンス方法および調整手順は4気筒エンジン用とほぼ同じだ。つまり、決して難しいものではない。

仮に、エンジンの始動性も悪くなく、走っていて不満を感じないのなら、メンテナンスの必要性はないはず。ところが! 経験豊富な知人が乗ったら「何だかヘンじゃないの?」なんて指摘を受けたりすることも時にはある。世の中には、経験しなくちゃわからないことが多いんですね。つまり、本調子がどんなものだか知らないでいると、コンディションが悪くても気が付かないものなのだ。そんな理由からも、例えばポイント調整を実践して、調子の良し悪しを体感するのも悪くない。

 

前述した通り、ポイント単品のメンテナンス方法は、4気筒用とほぼ同じだ。しかし、ポイントを取り外すためには、フライホイールを取り外さなくてはいけない。そのためには特殊工具のフライホイールホルダーと専用プーラーが必要になる。

 

ひと通りの点検を終え、必要に応じてパーツを交換したら、フライホイールを復元する。このときに、ポイントカムがポイントヒールを横から押し付けないように注意しながら組み込むのがポイントだ。また、機種によってはコンデンサーのリード線をハンダで固定するタイプもあるので、コンデンサー交換の際には、事前にタイプを調べ、必要に応じてハンダゴテを用意しておこう。

 

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フライホイールの抜き穴から中を覗くと、奥の方にポイントがセットされている。露出した4気筒用以上に、メンテナンスにはちょっとしたコツが必要になるのがこのタイプだ。

 

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フライホイールに包み隠されている感じだが、パーツを取り外せばこのとおり。点火コイルと充電コイルの間に、ポイントがセットされている。セイール内側シャフト部分がポイントカムだ。

作業手順を見てみよう!

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ポイント交換および徹底的なメンテナンスを施す際には、フライホイールを取り外した状態で、ポイントやコンデンサーのコンディションを確認するのがベスト。

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特殊工具のフライホイールホルダーで固定し、センターナットを取り外す。次に、フライホイールを抜き取るための専用工具、フライホイールプーラーで取り外す。

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ホイール付け根部分のネジ山にプーラーのネジ山を噛み合わせ、レンチで固定しながら十字ハンドルを締め込んでいく。硬い場合は、パイプ等でテンションを掛けると良い。

 

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抜けないときは、十字ハンドルの反対側をハンマーで軽く叩くとフライホイールはポンと抜ける。裏返すと軸芯部分がポイントカムになっている。サビていないか?

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ノーメンテナンスがたたり、カム山にはサビが発生していた。サビはサンドペーパー(400番前後)で取り除き、パーツ洗浄スプレー液で洗い流す。洗浄後にグリスを薄く塗る。

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4気筒のときと同様に、ポイント接点のコンディションをサンドペーパーで整える。この際のサンドペーパーの粒度は800番前後が良い。荒すぎては逆に接点面が荒れてしまうのだ。

 

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ポイント接点の当たりが悪いときやヒール(ベークライト)の磨耗を確認するときは、ポイントを単品にして点検するのが良い。アームの歪みはプライヤーで直すことができる。

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テスターを利用すればコンデンサーの機能確認ができる。このエンジン(ヤマハFS-1)の場合は、コンデンサーの配線がハンダ固定式。パーツ交換にハンダゴテが必要になる。

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ちなみに、コンデンサー容量は0.25μF。70年代に、このコンデンサーの容量をアップして、着火能力を向上させるスペシャルパーツが発売されていた。

 

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クランク軸を中心に、ポイントの反対側にオイルフェルトがセットされている。このフェルトにグリスを染み込ませてポイントカムに押し付け、カム山のサビを防止する。

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フライホイールの復元時は、カム山でポイントヒールを押し付けないように、マイナスドライバーでヒールを押し上げながらセットするのも方法だ。無理に押し込んではいけない。

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フライホイールを復元したら、ポイントカムにヒールが乗り上げている状態でギャップを調整する。隙間は0.35mm前後だ。調整後にはポイントの締め付けを再確認しよう。

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