チェーン&スプロケットの交換編

掲載日:2009年03月12日 部位別メンテナンス駆動系    

メンテナンス講座

チェーンとスプロケットは駆動系の要
その効果は車体の押し歩きでも体感できる

いまどきのチェーンはリンク部にオイルが封入されているシールタイプが一般的とはいえ、グリスが切れてサビに覆われ、見事なまでにガシガシに硬化したチェーンを洗浄して再使用する気にはなれない。また、チェーンを介して動力を伝達する、ドライブ(エンジン側)スプロケットとドリブン(タイヤ側)スプロケットも同様に、スプロケットの歯や溝が磨耗していると、フリクションロス(摩擦抵抗)の大きな原因となる。交換はどちらか一方ではなく、できればチェーンとスプロケットを同時に行いたい。

 

チェーンとスプロケットを車体に適した新品に交換し、きちんとチェーングリスを注油すれば、車体を押し引きしただけでその効果を体感することができる。フリクションロスが減少することで動きがスムーズなり、押し歩きが軽くなるのだ。すなわち、エンジンからの動力が駆動系の伝達途中で失われることなく、タイヤが路面を蹴る力もダイレクトに伝わるということだ。作業自体は専用工具や手先の微妙なさじ加減を必要とするので、自信がないライダーはプロにお任せしたほうが良いだろう。

作業手順を見てみよう!

専用工具で古いチェーンを撤去。チェーンカット&リベットツールを使って、リンクビスを力いっぱい打ち抜く。ピンの頭をグラインダーで削り落としても良いが、激しく火花が散るのでちょっとコワイ。

専用工具で古いチェーンを撤去。チェーンカット&リベットツールを使って、リンクビスを力いっぱい打ち抜く。ピンの頭をグラインダーで削り落としても良いが、激しく火花が散るのでちょっとコワイ。

 

たいした距離は走っていないが、このスプロケットは片面の歯先だけが不自然に輝いている。前後スプロケット間をチェーンがまっすぐ可動していなかった証拠。調整が左右不均等だった可能性大。

たいした距離は走っていないが、このスプロケットは片面の歯先だけが不自然に輝いている。前後スプロケット間をチェーンがまっすぐ可動していなかった証拠。調整が左右不均等だった可能性大。

 

リアホイールからスプロケットハブを取り外し、古いスプロケットから新品のスプロケットに交換する。取り付けボルトは仮止めしてから対角線上に本締めする。薄くネジロック剤を塗布しておくと安心。

リアホイールからスプロケットハブを取り外し、古いスプロケットから新品のスプロケットに交換する。取り付けボルトは仮止めしてから対角線上に本締めする。薄くネジロック剤を塗布しておくと安心。

 

ホイールハブにはダンパーラバーが装着されており、破損がないか確認しておく。ドリブンフランジやダンパーラバーが乾燥した状態だと収まりづらいので、潤滑にメタルラバーやビードワックスを塗布する。

ホイールハブにはダンパーラバーが装着されており、破損がないか確認しておく。ドリブンフランジやダンパーラバーが乾燥した状態だと収まりづらいので、潤滑にメタルラバーやビードワックスを塗布する。

 

ダンパーラバーの位置を合わせてスプロケットハブを挿入する。ホイールハブにしっかり収まったら、円周方向に動かしてガタが生じないことを確認しておくこと。タイヤの回転にかかわる重要な部分だ。

ダンパーラバーの位置を合わせてスプロケットハブを挿入する。ホイールハブにしっかり収まったら、円周方向に動かしてガタが生じないことを確認しておくこと。タイヤの回転にかかわる重要な部分だ。

 

ドライブスプロケットハウジングの内側にはグリスがべったりと付着しているので、しっかり掻き落とした後にパーツクリーナーで洗浄する。きれいに洗浄したプレートで新品のスプロケットを固定。

ドライブスプロケットハウジングの内側にはグリスがべったりと付着しているので、しっかり掻き落とした後にパーツクリーナーで洗浄する。きれいに洗浄したプレートで新品のスプロケットを固定。

 

チェーンの長さを整える。リアホイールのアクスルシャフトを、チェーン調整幅の中間程度の位置にしてチェーンをセット。重なる部分から切断位置を確定する。リンクで接続できるようにカットすること。

チェーンの長さを整える。リアホイールのアクスルシャフトを、チェーン調整幅の中間程度の位置にしてチェーンをセット。重なる部分から切断位置を確定する。リンクで接続できるようにカットすること。

 

チェーンは内側と外側、セットのプレートが重なり合って連なる。つなぎ合わせるときは外側のプレートを追加して内側のプレートを挟み込み、2本のリンクピンをカシメる。この力加減には経験が必要。

チェーンは内側と外側、セットのプレートが重なり合って連なる。つなぎ合わせるときは外側のプレートを追加して内側のプレートを挟み込み、2本のリンクピンをカシメる。この力加減には経験が必要。

 

リンクした部分がスムーズに動くか確認して、適度な遊び量を確保すれば作業は完了。いまどきのチェーンは精度も耐久性も高く初期伸びは少ないが、数100km走ったら念のためチェックしよう。

リンクした部分がスムーズに動くか確認して、適度な遊び量を確保すれば作業は完了。いまどきのチェーンは精度も耐久性も高く初期伸びは少ないが、数100km走ったら念のためチェックしよう。

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