「ブレーキオーバーホール」編 その1

掲載日:2011年06月07日 バイク基本整備のイロハバイク基本整備実践    

「ブレーキオーバーホール」編 その1

作業を行ったカワサキW650のブレーキキャリパーは、片押しのピンスライドタイプ。このタイプは、ピストンのスムーズな動きを保つのはもちろん、スライドピンもしっかりと潤滑を図り、良好な動きを保ちたい。

常に良好な制動力を得るためにも
定期的なオーバーホールを実施しよう!!

安全に走るためには、快調なブレーキシステムが必要不可欠である。そのために、ブレーキマスター、ブレーキキャリパーのメンテナンスを欠かすことはできない。ブレーキシステムは、ブレーキフルードを媒介として作動しているが、このブレーキフルードは、吸湿性が非常に高く、ブレーキを構成する部品の錆を誘発する。また、ブレーキフルードは劣化するとともに一部が結晶化し、それがブレーキシール等を押し出して圧迫することで、作動性が悪化していく。そのため、ブレーキフルードを定期的に交換しなければならないのはもちろん、ブレーキ構成部品のオーバーホールも定期的に実施しなければならない。

 

ブレーキシステムの定期的な点検項目として、まず、パッドの残量を確認しておきたい。ブレーキパッドの摩擦材は制動ともに磨耗が進んでいく。摩擦材がすべてなくなってしまうと、ブレーキはバックプレートで制動することになり、制動力が低下すると同時にブレーキローターが削れてダメージを負うことになる。また、パッド残量が十分にあったとしても著しく古いブレーキパッドは、摩擦材が崩壊していることもあるため、注意が必要だ。パッド残量は、マスターシリンダーの液面低下によりある程度推測できるが、できればキャリパーを外して目視でしっかりと確認すると、偏磨耗などの症状も発見しやすい。また、ブレーキパッドを一旦外して面取りや鳴き止め剤の塗布を行うことで、ブレーキの鳴きを抑制することができるだろう。

 

ブレーキシステムのフルオーバーホール手順は、まず、フルードの抜取りを行い、次にキャリパーとマスターシリンダーの分解を実施。分解したパーツを徹底的にクリーンアップし、新たなシール類を組み込み、再度ブレーキラインをフルードで満たして終了となる。次回からは、実際に手順を追って説明しよう。

ブレーキパッドの残量確認は、一旦車体からキャリパーを外してしまうのが確実だ。同時に摩擦材表面の清掃や面取りを行なうことでブレーキの鳴きや摩擦材の欠けを予防することができる。

ブレーキパッドの残量確認は、一旦車体からキャリパーを外してしまうのが確実だ。同時に摩擦材表面の清掃や面取りを行なうことでブレーキの鳴きや摩擦材の欠けを予防することができる。

マスターシリンダーのリザーバータンク、ブレーキフルードの液面は、パッドの減りと共に減少する。パッドが減っていないのにフルード液面が減少するならば、フルード漏れが予想されるため、原因を確実に追究する。

マスターシリンダーのリザーバータンク、ブレーキフルードの液面は、パッドの減りと共に減少する。パッドが減っていないのにフルード液面が減少するならば、フルード漏れが予想されるため、原因を確実に追究する。

作業手順を見てみよう!

ブレーキオーバーホールを実施する際は、分解前にリザーバータンクのフルードを事前に抜き取っておく。タンク内のフルード抜き取りには、バッテリー電解液の抜取りに使用する大型のスポイトを使用した。

ブレーキオーバーホールを実施する際は、分解前にリザーバータンクのフルードを事前に抜き取っておく。タンク内のフルード抜き取りには、バッテリー電解液の抜取りに使用する大型のスポイトを使用した。

ブレーキ構成部品のオーバーホールに使用した専用工具は、シリコングリス、キャリパーシール溝清掃ツール、キャリパーピストンの抜き取りに使用するプライヤー、サークリッププライヤーなどとなる。

ブレーキ構成部品のオーバーホールに使用した専用工具は、シリコングリス、キャリパーシール溝清掃ツール、キャリパーピストンの抜き取りに使用するプライヤー、サークリッププライヤーなどとなる。

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