「フロントフォークオーバーホール」編 その6

掲載日:2011年05月10日 バイク基本整備のイロハバイク基本整備実践    

「フロントフォークオーバーホール」編 その6

オイルシールをインナーチューブに通す際は、インナーチューブ端面をビニール等でカバーしておくとシールのリップ部を傷つけにくい。その際、ビニールにもグリスを薄く塗布しておくと良いだろう。

オイルシールの組み付けは、破損に注意して
専用工具で全周均等に打ち込む

フロントフォークオーバーホール作業の中でもハイライトと言うべき作業が、オイルシールの組付けだ。オイルシール挿入時には、オイルリップの損傷とシールを均一に水平に打ち込むことを心がけなければならない。

 

シールをインナーチューブに通す際、インナーチューブ端面でシールのリップ部を破損することが少なくない。そこで挿入時には、部品が入っていたビニールやサランラップ表面に薄くグリスを塗布し、インナーチューブに被せることで、オイルシールのリップを端面のエッジから保護することができる。また、インナーチューブの慴動部以外に点錆が多く発生していた場合、その部分をビニール等で覆ってしまえば、オイルシールをインナーチューブに通す際の保護にとなる。

 

オイルシールセット前には、シールのリップ部にシリコングリスを塗布する。これは、挿入時のリップの破損を防止すると同時に組み付け後のフォークの作動性向上を図ることができる。

オイルシールセット前には、シールのリップ部にシリコングリスを塗布する。これは、挿入時のリップの破損を防止すると同時に組み付け後のフォークの作動性向上を図ることができる。

オイルシールのリップ部を無事、傷付けずに通したら、専用工具「オイルシールプッシャー(オイルシールドライバー)」で、外周部に薄くグリスを塗布したオイルシールをアウターチューブに打ち込んでいく。オイルシール挿入時には、シールが水平に全周に渡って均等に入っていることが重要となる。そのため、シール挿入具合を確認しながら作業を進めていきたい。

 

オイルシールはアウターチューブ側の突き当たりまで打ち込む。正規の位置に入ったならばオイルシール抜け止めクリップの切り欠きが目視で全周確認できるはずだ。抜け止めのクリップを確実にセットし、ダストシールを組み付ければ、フロントフォークの組み立てはほぼ完了。続いて油面調整を行なう。

オイルシールプッシャーは、倒立、正立両方に使用できるタイプと正立専用品がある。今回使用した両対応のタイプは、オイルシールを押し入れる爪の間隔をインナーチューブ径に合わせて使用する。

オイルシールプッシャーは、倒立、正立両方に使用できるタイプと正立専用品がある。今回使用した両対応のタイプは、オイルシールを押し入れる爪の間隔をインナーチューブ径に合わせて使用する。

作業手順を見てみよう!

打ち込み作業時は、シール全周が均等に入っているかどうかを確認しながら作業を進める。シールが正規の位置まで入ったら、シールプッシャーのハンマーの打音が高くなり、手ごたえを感じるはずだ。

オイルシールがすべて入ったかどうかは、目視で確認することもできる。シール上部に位置する、抜け止めサークリップが入る溝が全周で確認できたら、正規の位置までシールが入った証拠だ。

(写真上)オイルシールがすべて入ったかどうかは、目視で確認することもできる。シール上部に位置する、抜け止めサークリップが入る溝が全周で確認できたら、正規の位置までシールが入った証拠だ。

 

 

(写真左)打ち込み作業時は、シール全周が均等に入っているかどうかを確認しながら作業を進める。シールが正規の位置まで入ったら、シールプッシャーのハンマーの打音が高くなり、手ごたえを感じるはずだ。

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