「フロントフォークオーバーホール」編 その3

掲載日:2011年03月15日 バイク基本整備のイロハバイク基本整備実践    

「フロントフォークオーバーホール」編 その3

油圧プレスにセットしたフロントフォークを押し縮めていくと、中に満たした洗油がインナーチューブとアウターチューブの隙間から段々と溢れてくる。後は、シールの浮き上がり具合を見ながら、さらに圧力を加えていく。

通常作業では分解困難なフロントフォークに適した
油圧プレスを使ったシール抜取り方法

80年代後半以降の多くのモデルは、インナーチューブの端にスライドメタルが装備されており、分解時にスライドメタルに引っ掛ける形でオイルシールを抜き取ることができる。ところが、オイルシールを外さずにインナーチューブが抜き取れてしまう車種は、オイルシールの取り外しに専用工具である、シールプーラーが必要となってしまう。そんな時、もし、手元にシールプーラーが無いならば、油圧プレスと洗油(灯油)を使った方法でシールを抜き取ることもできる。

 

方法としては、フロントフォークのトップキャップを取り外し、スプリングとオイルを抜き取ると同時に、ダストシールとクリップを外す。次にフォーク内部を洗油で満たした状態でトップキャップを締め付け、油圧プレスにセットする。この状態でフォークを作動方向にプレスで押し縮めると、行き場を失った内部の洗油がオイルシールを内部から押し出すのである。

 

この方法ならば、よけいな部品に傷をつける心配も無く作業が進み、流し込んだ洗油でフォーク内部の洗浄を済ましてしまうこともできるため、まさに一石二鳥である。実は、一部のモデルではこの方法をサービスマニュアルで指定している場合もある。ほぼすべてのテレスコピック式フロントフォークの分解に有効となるため、覚えておいて損の無い方法と言えるだろう。

オイルとスプリングを抜いた状態で、フォーク内部を洗油で満たしていく。使い古した汚れた洗油では、フォーク内部を汚してしまうため、新品もしくは、それに相当するろ過された洗油を使用する。

オイルとスプリングを抜いた状態で、フォーク内部を洗油で満たしていく。使い古した汚れた洗油では、フォーク内部を汚してしまうため、新品もしくは、それに相当するろ過された洗油を使用する。

作業手順を見てみよう!

油圧プレスにフロントフォークをセットする際は、トップキャップ部にアルミ板等をかまして、フォークを損傷しないように注意する。圧力は一気にかけずに、状況を見ながら徐々にかけていく。

油圧プレスにフロントフォークをセットする際は、トップキャップ部にアルミ板等をかまして、フォークを損傷しないように注意する。圧力は一気にかけずに、状況を見ながら徐々にかけていく。

ドライブチェーン専用のクリーニングブラシを使うとさすがに汚れは良く落ちる。原付クラスの420サイズから80年代の630サイズまで使うことができる。

油圧プレスで段々とフォークを押し縮めるに従い、オイルシールが徐々に浮き上がり、完全にシールを抜き取ることに成功した。もし、油圧プレスを持っているなら試してみる価値のある方法だ。

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