フロントフォークへの外部給油

掲載日:2010年12月21日 バイク基本整備のイロハバイク基本整備実践    

フロントフォークへの外部給油

動くから好調=それは大きな間違いである。 メンテナンスケミカルを使い分ける=オイルも“適材適所”でひと味違った作動性を発揮するものである。動きが良くなると、それはもう気もちイイものです!!

フロントフォークの動きがライテクに大きく影響する

自分が思ったようなコーナリングラインをトレースできず「あれ!? ヘタクソになっちゃった?」といった経験をしたこと、ありませんか? 前後サスペンションの作動性悪化が原因で、そのようなことになっているケースは、実は想像以上に多い。特に、フロントフォークの動きは、ハンドリングを大きく左右するので、日頃からチェックしておきたい部分である。例えば、空気バネ室(フォークオイル油面の上にある空間部分)が「負圧」になってしまうと、それが原因でフロントフォークは作動性が著しく低下してしまうのだ。注射器の出口を指先で押さえた状態で引っ張っても、スムーズに作動せずに引き戻されてしまう様子を思い浮かべることができると思うが、フォーク内部が負圧になると、まさにそんな状況になってしまうのだ。仮に、フロントフォークが伸び切れていないようなときは、前輪を何らかの方法で持ち上げ(前輪&フロントフォークをフリーにする)た後に、トップボルトを一度緩めて取り外し、再度締め付け直すことで負圧状況は解消できる。しかし、インナーチューブ摺動面とオイルシールやダストシールの潤滑性が低下している場合は、フォークシールやダストシールとインナーチューブが擦れあっている患部を改善しない限り、良い動きを取り戻すことができない。

今ひとつ動きが渋い印象だったフロントフォークながら、スプレーケミカルの噴射によって、実にスムーズな作動性を回復できた。動きが良くなると街中でも曲がり角をスムーズに曲がれるようになり、ワインディングも当然に楽しくなる!!

今ひとつ動きが渋い印象だったフロントフォークながら、スプレーケミカルの噴射によって、実にスムーズな作動性を回復できた。動きが良くなると街中でも曲がり角をスムーズに曲がれるようになり、ワインディングも当然に楽しくなる!!

ひと吹きで体感できる作動性の違い

フロントフォークの作動性が今ひとつなときに、外部からでも注油が可能なことをご存知だろうか? その具体的な方法をここでは解説するが、効果的なスプレーケミカルを利用すれば、フロントフォークはバラさなくても摺動性の大幅な向上を期待できる。ここでは正立式フロントフォークで解説するが、逆向きになった倒立式でも同内容でメンテナンス可能である。作業時の注意点は、オイルシールやダストシールにダメージを与えないことである。ひとつ間違えると不要なメンテナンスを増やしてしまうばかりか、パーツ代の出費にもつながってしまう。作業実践時はくれぐれも「ノズルの向き」を間違えないように注意しよう。ノズルの切り口側をオイルシールリップに当ててしまうと、フォークシールはあっと言う間にダメージを受け、オイル漏れの原因になってしまうのだ。この注意点を間違えずに作業すれば、間違いなく効果を得られるはずだ。

バイクメンテナンスでは様々なスプレーケミカルを利用するが、使用後のノズルは捨てずに保管しておこう。特に、極細金属パイプは「先端を斜めに削って加工」することで、今回のような作業に使える。平ヤスリで削り、細目のサンドペーパーでパリを取りしながら断面エッジを丸めよう。

バイクメンテナンスでは様々なスプレーケミカルを利用するが、使用後のノズルは捨てずに保管しておこう。特に、極細金属パイプは「先端を斜めに削って加工」することで、今回のような作業に使える。平ヤスリで削り、細目のサンドペーパーでパリを取りしながら断面エッジを丸めよう。

作業手順を見てみよう!

ダストシールを外す。旧車の場合は蛇腹ブーツを引き抜き、フォークシールを露出させる。マイナスドライバーではなく先割れの自動車内装用工具があると便利だ。

ダストシールを外す。旧車の場合は蛇腹ブーツを引き抜き、フォークシールを露出させる。マイナスドライバーではなく先割れの自動車内装用工具があると便利だ。

おそらく何年もの間、ノーメンテナンスで乗られていたことを想像できるサビが発生していた。そんなときは防錆スプレーを吹き付け、サビや汚れ落としから始めよう。

おそらく何年もの間、ノーメンテナンスで乗られていたことを想像できるサビが発生していた。そんなときは防錆スプレーを吹き付け、サビや汚れ落としから始めよう。

柔らかいナイロンブラシで擦って汚れを落とそう。強く擦り過ぎるとシールにダメージを与えてしまうので要注意。もちろん金属製ブラシは絶対に使ってはいけない。

柔らかいナイロンブラシで擦って汚れを落とそう。強く擦り過ぎるとシールにダメージを与えてしまうので要注意。もちろん金属製ブラシは絶対に使ってはいけない。

デイトナの「ラバーシール組み付け剤」に極細ノズルをセットし、オイルシールにダメージを与えないようにシール内側にノズルを滑り込ませスプレーする。作業はたったこれだけだ。

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