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「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010

掲載日:2017年01月20日 メンテナンス    

記事提供/モトメンテナンス編集部(Facebookページ

工具ショップやネットで見つけ「メンテ作業に使えそう!?」と感じた工具や道具を、編集スタッフが実際に試してみるのが「使ってど~なの」メーカーがどのような考えで商品開発したり取り扱っているのか?ユーザー目線でわかりやすくリポートしようと思います!!

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

いわゆるパイプ(チューブ)ベンダーのように見えるが、曲げ部分の作りから理解できるように、これはスポークを曲げるためのベンダーだ。特殊サイズのスポーク、なかなか入手できないスポークを自作したいときには最高のアイテムになる。

絶版車ベースのカスタムマシン作りや高品位なフルレストアで威力を発揮
「ステンレススポーク」を自作できる!!

カスタム好きやレストア好きのサンデーメカニックなら、過去にスポーク張りや緩んだスポークの増し締め調整を実践したことがあると思う。バイクの美しさや輝きは「足元で決まる」と言われるが、スポークホイール車は特にその傾向が強い。

80年代に流行ったスーパーバイカーズ仕様や90年代以降のターミネーターズ仕様、そしてスーパーモタード仕様がカスタムシーンをリードしていた当時は、オフ車の純正ハブはそのままに、前後ホイールを17インチ化したアルミ製ワイドリムに交換するのが流行った。そんな当時、もてはやされた特殊工具のひとつがネジ転造機である。オフ車の純正スポークは長いため、ネジ部分を追加工で転造延長し、リム径に合わせて長いスポークをカット。長寸のメーカー純正スポークを、17インチ仕様にモディファイし使っていた。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

ここに紹介する特殊工具は、スポークを作ることができる「スポークベンダー」である。開発販売を手掛けているのは愛知県のダートフリーク。同社は、最新モトクロッサー用パーツの開発販売にチカラを入れる一方で、70~80年代に活躍した旧車オフロードバイクやビンテージモトクロッサー用パーツの開発販売も積極的に手掛けている。

そんな同社が開発したスポークベンダーを利用すれば、ユーザー自身がブランクスポーク(曲げ加工されていない直線スポーク)をベースに、求める角度に曲げたワンオフスポークを自作することができる。純正部品が廃番になっていたり、ステンレススポーク化によってカスタマイズや防錆対策したいユーザーには、実に興味深い特殊工具の登場だろう。今回は、メーカー純正スポークを見本に曲げ加工を試してみた。ステンレス素材とはいえ、スポークに適した靭性(じんせい)を備えたブランク材を採用しているため、曲げ加工に対し実にスムーズ且つフレキシブルに作業することができた。

一般的にスポークホイールと言えば、原付モデルで片輪あたり32~36本仕様で、中大型車になると36~40本。例えば、カワサキZ1やホンダCB750Kシリーズを例にすると、片輪40本なので前後ホイールで80本曲げなくてはいけない。

しかし、ベンダーのセッティングさえ決まれば、曲げ作業そのものは無駄なチカラは必要なく、スムーズ且つ軽く曲げることができるので、数が多くても決して作業が苦になることは無さそうだ。また、一発で成功させようとは考えず、テスト曲げでベンダーの動きや曲げの傾向を体感してから、本番の曲げ加工にトライするのが良いだろう。

見本になるスポークが手元に無い場合には、実計測もしくは算出した数値をもとにスポーク製作することも可能なようだ。ダートフリークでは計算式を設定したエクセルファイルをWEB公開し、必要な数値を入力すればブランクスポークの長さを自動算出できるような展開も進めている。また、今後のご要望次第では、大径ドラムブレーキ車(クラシックロードレーサーなど)用のショートサイズスポークも検討していくそうだ。

とにかくセッティングさえ決まってしまえば、あとは必要本数をベンダーで曲げるだけで、欲しかったサイズのスポークが手に入る。これまで無かった特殊工具の登場である。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

こんな感じにスポークを曲げることで、思いのままのサイズを自作する。固定ブロック側は良いが、首を曲げる側の金具は利用者の使い勝手で改造することでさらに汎用性が大きくなるような気がした。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

ビンテージMXはベテランライダーを中心に大人気のイベントだ。靭性に優れたステンレススポークなのでオフユースでも安心して利用することができる。耐候性、耐蝕性に優れたSUSマテリアルは保守性も優れる。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

旧車のホイールハブには一般的に内掛け用(右)と外掛け用(左)のスポークがあるが、純正のサンプルスポークがあれば曲げ作業も楽だ。サビサビでも良いので、寸法確認できるのが楽だ。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

ブランクのスポークラインナップは豊富だ。線径Φ2.9mmは長さ134~248mm、Φ3.2は134~258mm、Φ3.5は132~258mm、Φ4.0は134~246mm、Φ4.5は134~200mmで、それぞれ2mm刻みで長さがラインナップされる。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

ステンレススポーク専用のニップルがあるので安心だ。スポークの太さに対応したサイズで、ニップルとスポークは別売になる。輝かせたいのならポリッシュすれば良い。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

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純正スポークに倣ってベンダーの調整金具をセッティングして曲げ作業に入る。軸部分のクランプ幅はドンピシャではなく紙一重で隙間を空けておくとスムーズな曲げができる。曲げ過ぎないように溝内ストッパーも付属する。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

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グイッと最初の曲げ初めで先端の首の部分を押し込んでしまい、完成したスポークと見本の純正スポークを比較すると、新作したスポークは首下が 2mmほど長くなってしまった。首下が長いとハブに引っ掛けたときにガタができてしまうので作り直してみた。

「ステンレススポーク」を自作できる!! DCスポークベンダーP1010の画像

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首下長さをノギスで測り、その違いを明確にした上で再挑戦。半分ぐらい首を曲げたところで押し側のコマを微調整してみた。このセッティングが決まりさえすれば、あとは繰り返し作業で量産できる!? 見本の純正スポークとほぼ同じサイズに仕上げることができた。

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昔のステンレススポークは硬く靭性が低く、張り過ぎた状態で段差を乗り越える走りをすると「ボキッ」と折れてしまうケースがあったが、DC SUSスポークは高性能マテリアルで安心。曲げ作業時も無駄なチカラは不要だ。いい仕上がり!!

アイテム情報

DCスポークベンダーP1010

1万3,000円(税抜)

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