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SHOEI XR-1100

掲載日:2010年08月16日 バイク用品インプレッション    

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母国凱旋を果した新世代プレミアムヘルメット
SHOEI XR-1100の実力を検証する

国内安全基準の改正により、海外市場向けに生産されていた国産ヘルメットも日本市場に還流し始めた。有機体のように滑らかな曲線を描く流線形の帽体。自由度の高いデザイン性。国内のライダーにとっては憧れだった欧米向けのスタイリッシュかつ高性能なヘルメットを、堂々と公道使用できる時代がついにやってきたのだ。そこで、今回から2週に渡ってSHOEIのヘルメット2モデル、XR-1100とVFX-Wをご紹介しよう。両モデルとも既に海外では高い評価を受けているが、我々日本のライダーにとってはニューモデルに近い存在だ。じっくりと試用することで、これまでの国内モデルには無かった特徴が見えてくることだろう。さて、今回ご紹介するのはオンロード向けフルフェイスヘルメットのXR-1100。7月下旬に発売になったばかりのモデルだが、一体成形の帽体で実現した未来的なエアロフォルムが既に話題となっているようだ。果たしてその実力とは…。

>> SHOEI XR-1100の概要を見る

軽量設計と最新の装備が実現する
X-TWELVEに匹敵するフィット感

高速になればなるほど際立つ安定性と静粛性。期待する効果を発揮し続ける優れたベンチレーション。発売にともなう特集記事を担当したことがきっかけでX-TWELVEを購入したのだが、このモデルによって自分のヘルメットに対する基準が変わってしまった。「しばらくは、このモデルを超えるヘルメットは出てこないのではないか…」。そう思えるほどX-TWELVEは優れていたからだ。しかし、XR-1100が日本に凱旋を果したとなると少々状況は異なってくる。このモデルには同社の世界基準スペックがフルに導入されているからだ。果たしてその実力はどれほどのものなのか。早速試用してみると、フィット感が非常に高いことが分かる。さすがにシェルサイズはX-TWELVEの5つよりも少ないが、その分XR-1100はとても軽量。高いフィット感との相乗効果でブレやグラつきも圧倒的に少ない。走行状態での安定性はX-TWELVEに匹敵するのではないかと思えるほどだ。

高い安定性と快適性を誇るXR-1100。先進のエアロフォルムがX-TWELVEに匹敵する性能を実現。

高い安定性と快適性を誇るXR-1100。先進のエアロフォルムがX-TWELVEに匹敵する性能を実現。

低速から明確に分かる静粛性も同様。一体成形で実現させたエアロフォルムは伊達ではなく、帽体の滑らかなデザインが不快な風切音の低減にかなり効いてる。また、帽体とシールドの密着性を高めるCW-1シールド+Q.R.S.A.システムなど、X-TWELVEと同等の装備も圧倒的な静かさに一役買っているはずだ。

>> SHOEI XR-1100の仕様を見る

エアロフォルムがもたらす
圧巻の空力性能と換気性能

低速での快適性が確認できたので徐々に速度を上げてみる。そこで最初に気づいたのが安定したベンチレーション性能だ。この印象はX-TWELVEとはやや異なり、XR-1100は額を中心に冷却効果が高い。ヘルメット内部を恐ろしいほど均一に換気するX-TWELVEのベンチレーションは、ある意味涼しさを感じにくいとも言えるが、XR-1100には分かりやすい涼しさがある。しかもその効果は非常に安定しており、ヘルメットのポジションに左右されない。ベンチレーション全体としての印象は以前にテストしたJ-FORCE IIIに近いと感じた。さて、いよいよXR-1100で通いなれた高速道路を走ってみよう。いつものように少しずつアクセルを開けていくと、速度が上がれば上がるほどビシッとヘルメットが安定してくるのが分かる。

有機体のように滑らかな曲線が高級感を漂わせる。装備品としての迫力に満ちたX-TWELVEとは対象的だ。

有機体のように滑らかな曲線が高級感を漂わせる。装備品としての迫力に満ちたX-TWELVEとは対象的だ。

飛行場周辺は気まぐれな風が強く、ヘルメットの安定性を見極める良いポイントなのだがここでもXR-1100のスタビリティは変わらない。突然の向かい風を受けた時の落ち着きもX-TWELVE並だと感じたのだからこの安定性は本物だろう。横方向の空力性能にも優れるため、後方の安全確認なども非常に楽だと感じた。帽体のエアロフォルムに目を奪われて目立たないが、シェル後部下端に設けられたテールフィン3もかなり効果を発揮しているのだろう。

世界基準の安全性を日本に導入
これこそがXR-1100最大の特徴だ

最後に安全性について。日本国内のバイク用ヘルメットは「乗車用ヘルメットの技術基準(PSC基準)」をクリアすることが義務付けられているのだが、今年5月にその内容が改正されたことにより、XR-1100や次回ご紹介するVFX-Wの国内販売が可能となった。特に重要なのが、ヘルメットの表面形状は半径75ミリ以上の曲面で構成されていなくてはならないとする、いわゆる「75R規定」の改正。欧州で確立しているECE R22/05という規格に基づく突起物の表面摩擦試験をクリアすれば、75ミリよりも小さな半径の曲面を持つ帽体も安全だと認められたのだ。そもそも75R規定は突起物の摩擦や斜め衝撃といった試験技術が確立していない時代、特に古いイギリスの影響を受けた規定であり、現状から乖離しつつあった。また、これを現在まで尊重してきた国もほとんど存在しないのだ。この規定がようやく日本でも改正され、世界基準の安全性を誇るXR-1100が販売されたというわけだ。地味かも知れないが、この世界基準の安全性の導入こそがXR-1100最大の特徴と言えるのかもしれない。

SHOEI製品群の中で言えば、X-TWELVEはMotoGPなど極限状況下での性能を追求した究極の装備品だ。一方のXR-1100はもう少しフランクな存在だが、仕立ての良い高級ジャケットのような風合いがある。どちらを選んでも失敗することはないと思うが、目指す方向が違う2つのプレミアムヘルメット。ユーザーにとっては悩ましい選択になることだろう。

SHOEI XR-1100

XR-1100は一体成形の帽体で先進のエアロフォルムを実現。良好な空力特性はもとより、抜群の静粛性と高級感漂う外観を得ている。

先進のエアロフォルムを採用

XR-1100は一体成形の帽体で先進のエアロフォルムを実現。良好な空力特性はもとより、抜群の静粛性と高級感漂う外観を得ている。

目立たない存在だが、テールフィン3も注目すべき装備。帽体と一体のエアロスポイラーとあいまってヘルメット後方の気流を緻密に制御している。

気流を制御するテールフィン3

目立たない存在だが、テールフィン3も注目すべき装備。帽体と一体のエアロスポイラーとあいまってヘルメット後方の気流を緻密に制御している。

アッパーエアインテークとトップエアアウトレットは、空気抵抗や風切音を低減するデザインだが効果は絶大。常に安定した換気性能を発揮。

最新のベンチレーション

アッパーエアインテークとトップエアアウトレットは、空気抵抗や風切音を低減するデザインだが効果は絶大。常に安定した換気性能を発揮。

大型のロアエアインテークは2段階に開閉。高い風圧を受けてもたわみが少ない構造は、X-TWELVEと共通した設計思想を感じさせる部分。

大型ロアエアインテーク

大型のロアエアインテークは2段階に開閉。高い風圧を受けてもたわみが少ない構造は、X-TWELVEと共通した設計思想を感じさせる部分。

X-TWELVEと同等のCW-1シールド+Q.R.S.A.システムを採用。静粛性の向上のみならず、標準装備の新型Pinlockシートにより視界も良好。

最高峰のシールドシステム

X-TWELVEと同等のCW-1シールド+Q.R.S.A.システムを採用。静粛性の向上のみならず、標準装備の新型Pinlockシートにより視界も良好。

吸水速乾素材“HYGRA”を採用した内装には、緊急時にヘルメットを外し易くするE.Q.R.S.を搭載。シェルは最高の安全性を誇るAIM+構造だ。

シェルと内装もトップグレード

吸水速乾素材“HYGRA”を採用した内装には、緊急時にヘルメットを外し易くするE.Q.R.S.を搭載。シェルは最高の安全性を誇るAIM+構造だ。

SHOEI XR-1100

国内安全基準の改正によってついに導入されたSHOEIの世界基準プレミアムフルフェイス。先進のエアロフォルムによる抜群の空力特性、卓越したベンチレーション性能などが魅力。

価格/46,200円

問合せ先/SHOEI

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