ホンダ ジャズ(1986)

掲載日:2014年09月30日 絶版原付    

文/櫻井 伸樹

HONDA JAZZ(1986)

最初で最後の本格派
原付きアメリカン

1980年代の日本はまさにバイクブーム。特に原付一種に関しては、マイナーチェンジや派生モデルも含めると、それこそ多種多用なバイクが毎年かなりの数リリースされていた。

そんな原付き黄金時代のまっただ中である1986年に登場したのが、このジャズだ。

なんといっても、このバイクの魅力は徹底的に作りこまれたアメリカンスタイル。スクーターを筆頭にスポーツバイクが幅を効かせていた時代に突如現れたベタベタなアメリカンだけに、デビューの衝撃は大きかった。

エンジンはスーパーカブ系の空冷OHC49ccを搭載。非常にコンパクトなエンジンに対して、車体は大柄で、アメリカンモデルの鉄板要素である「ロー&ロング」をきっちりと完成させているところがニクイ。

16インチの大径フロントタイヤに始まり、長いフロントフォーク、きっちりと曲がったプルバックハンドル、ティアドロップタンク、低く設置されたソロシート、メッキのバッテリーケースやシーシーバータイプのナンバーステー、そしてワイドなリアタイヤなど、そのスタイリングはじつに秀逸。

個々のパーツの質感も高いが、全体を通してみたアメリカンとしてのデザインが非常に整っていて美しささえ感じる。

通常こうしたパロディ的なモデルはデフォルメが難しく、少しでもバランスを崩すとすぐに不格好になってしまうものだが、このジャズに限っては、大型Vツインを搭載したアメリカンモデルを、そのままうまく縮小した絶妙なスタイリングを持っていたのだ。

そのうえ低いシート高や軽い車体のおかげで、初心者や女性でもアメリカンが気軽に楽しめると、幅広い層から人気を得ることに成功。他社から類似車種がリリースされなかったこともあり、ジャズは爆発的な人気を勝ち取ったのだった。

その後、1995年に同社から「マグナ50」というアメリカンタイプが発売されたわけだが、マグナはジャズに比べれば骨太で、デフォルメもちょっと微妙だった。

しかしいっこうに他メーカーからはこの手の原付きアメリカンのリリースはなく、結局今日まで「本格原付アメリカン」と呼べるモデルは、このジャズ以外には存在しないのである。

MACHINE SPEC

型式 A-AC09
全長×全幅×全高 1.910×0.775×0.995mm
ホイールベース 1.325m
乾燥重量 77kg
車両重量) 83kg
排気量 49cc
最高出力 4.0ps/7,500rpm
最大トルク 0.43kg-m/6,000rpm
サスペンション (前)テレスコピック/(後)スイングアーム
燃費 110.5km/L(30km/h定地走行テスト値)
変速機形式 常時噛合式4段リターン
始動方式 キック
点火方式 CDI
燃料タンク容量 6.0リットル
Fタイヤサイズ 2.50-16-4PR
Rタイヤサイズ 4.50-12-2PR
価格 19万9,000円(北海道・沖縄・一部離島を除く)

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