原チャでchacha茶

第六回 フェリーでワープ!房総半島で絶景+αを楽しむ旅(千葉県)

掲載日:2012年10月22日 原付漫遊記原チャでchacha茶    

文・写真/ 野岸“ねぎ”泰之  写真/野呂瀬悦史  取材協力/東京湾フェリー

第六回 フェリーでワープ!房総半島で絶景+αを楽しむ旅(千葉県)

フェリーでワープ
原付だと料金も安い!!

原付を使ってプチ散歩、いつも右に曲がる道をたまには左に曲がってみよう、そして最後においしいお茶を飲もう、がテーマのこの企画。今回はフェリーに乗ってドーンと千葉を目指すことにした。

神奈川県民である僕にとって、千葉はちょっと遠い場所。高速を使って大型バイクで行くにしてもけっこう時間がかかるし、ましてや原付で行くなんてとんでもない、と思っていた。ところが地図を見ると、東京湾の入り口はキュッとすぼまっており、なんとそこにフェリーが運航しているじゃないか! これに乗れば千葉は近いはず。そこで早速乗り場を目指したのだ。

相棒は、SYMのRV125i。大柄なボディは250ccクラスと比べても遜色がない。そのマシンを駆ってやってきたのは、三浦半島の先端に近い横須賀の久里浜港。ここと千葉県富津市の金谷を結んでいるのが、その名も 東京湾フェリー だ。実はけっこう歴史が古く、運航開始は昭和35年とのこと。今でこそアクアラインができて道路でつながってはいるが、長い間、物流やレジャーの要としての役割を担ってきた航路でもある。現在も朝6時台から夜19時台まで、ほぼ1時間に1本、1日14往復計28便が運航。これだけ便数があれば、お散歩ツーリングの移動手段としても、十分に便利だね。

港のターミナルで待っているとフェリーがやってきた。思っていたより大きな船だ。千葉からのクルマがすべて降りると、いよいよ乗船開始。金属のフラップを踏み越え、船に乗り入れるときは年甲斐もなくドキドキする。甲板の端に停めたマシンがテキパキと固定されていくのを見ていると、東京湾で、短い時間であってもやはりあぁ船なんだな、と実感。

ほどなく出航時間となり、いつの間にか船は動き出していた。あわてて上のデッキに移動すると、空が広い!なんという解放感!

船の中には空調の効いた、リラックスできるシートや売店もあってとても快適。座席でのんびりするのもいいけれど、船旅の醍醐味はやっぱりデッキで海を眺めながらボーッとすることにあるんじゃないかな。特にこの東京湾フェリーは、行きかう船の多い浦賀水道を横切る形で進むから、小さな漁船ややたらに速いモーターボート、巨大なコンテナ船などいろいろな船を見ることができて楽しい。港からついてきたカモメかウミネコか、多くの鳥が船の周囲を悠々と飛んでいる。お客の誰かが餌付けよろしく、スナック菓子をひとつまみ放り投げると、たちまちサッと寄って来ては器用に空中でキャッチして去っていく。そんな、船旅ならではの光景をあれこれ楽しんでいると、あっという間に時が経ち、船は千葉の金谷港に到着した。


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左上/フェリーに乗り込むときはいつもドキドキ。オレンジ色のゲートがさらにウキウキ気分を増幅 右上/ほとんど揺れることのない東京湾でも、バイクはしっかり固定。傷がつかないよう配慮したロープがうれしい 左下/船室内は冷暖房完備でリラックスできる。千葉のゆるキャラ「チーバくん」発見 右下/航路の真ん中あたりで、対岸から来たフェリーとすれ違う。つい見ちゃうんだよね

左/もうちょっと船に乗っていたかったけど、あっという間に千葉に上陸。さぁ走るぞ~ 右/鋸山ロープウェイはフェリー乗り場からすぐ。バイクで上まで行けないのだけが残念

わずか40分で房総半島へ
そして絶景を堪能

わずか40分の船旅で、房総半島に上陸できてしまった。気のせいか、空気感が三浦半島とは若干違う。東京湾を挟んでわずか11.5kmしか離れていないのに、湿気も温度も別の島に来たかのように、違いを感じる。このワープ感。フェリー旅の醍醐味はこういう部分にもあるし、原付のお散歩ツーリングにとっては、ものすごく価値のある40分だなぁ。それが大柄なRV125iでも片道1,340円、往復買えば2,490円で済むなんて、まさに原チャにとって、フェリーはどこでもドアかも!?

さて、船を降りてまず最初に向かったのは、港から走り出してすぐのところにある鋸山。読んで字のごとく、切り立った岩肌が見上げんばかりに屹立する鋭い山。とにかく船からも目立っていたので、訪れてみることにした。

山頂近くまで自動車道が通じているものの、残念なことに原付を含めて2輪車は通行禁止。ま、それならば仕方ない、ロープウェイで上を目指すことに。これはこれで、みるみるうちに標高を稼ぐとともに視界が広がり、またまた原付では味わえないワープ感を体感できておすすめなのだ。

山頂駅には小さな展示室があり、鋸山の歴史を知ることができる。江戸時代から石を切り出していた産地で、江戸城の石垣にもここの石が使われたとか。まるで一枚岩のように切り立った崖は、人の手によって作り出された景観だったのだ。そのすごさをもっとも体感できるのが、山頂にある通称「地獄のぞき」。突き出た岩の先端に立つことができ、絶壁と絶景、恐怖と開放感を両方楽しむことができる。先ほど渡ってきた東京湾はもちろん、意外と山深い房総半島の内陸部まで一望できる。ここからの景色を見るためだけでも、ロープウェイに乗ってわざわざ行ってみる甲斐があると思うね。

スルスルっと高度をあげ、バーンと景色が広がるのがロープウェイのいいところ。まさに空中散歩だね

上/今の鋸山の景観は、江戸時代から昭和にかけて採石が行われた結果、山肌の岩が露出したもの。ロープウェイ山頂駅ではその歴史がわかる 下/鋸山山頂の標高は329m。高さはそれほどでもないけど、晴れると抜群の景観と爽快感が待っている

左/鋸山のハイライト、通称「地獄のぞき」。突き出た岩の先端から見る景色は絶景で、僕には天国。でも高所恐怖症の人には地獄かな? 右/まるで南米ギアナ高地を思わせる絶壁と密林……というのは大げさだけど、この岩壁が人力で削った結果、と思うとすごい!!

HUB倶楽部
プロフィール
野岸“ねぎ”泰之
神奈川在住のフリーライター。バイクツーリング雑誌を中心に、防衛問題からデジタルグッズまで、興味の赴くままに幅広く執筆。原付バイクによる島旅も多くこなす。グッズからグルメまで、B級と名のつくものが大好物。愛車はヤマハTDM850、TT250レイド、カワサキKSRⅡ。好きな言葉は「人生は祭りだ!」。HUB倶楽部の主宰メンバーでもある

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