原チャでchacha茶

第四回 東京から日帰り圏内、原付で行けるブラジル発見!(群馬・大泉町)

掲載日:2012年07月13日 原付漫遊記原チャでchacha茶    

文・写真/ 野岸“ねぎ”泰之  写真/野呂瀬悦史

第四回 東京から日帰り圏内、原付で行けるブラジル発見!(群馬・大泉町)

ふだんは通勤や通学に使っている原付バイク。でも、それだけじゃもったいない!? いつもの道をちょっと離れて、お散歩がてらにツーリングをしてみれば、新たな発見と新しい原付の魅力が待っているはず。お気に入りの場所で「お茶」すれば、旅はさらにおいしく楽しいものに! この企画は、そんなページです。さぁ、みんなでLet's chacha茶~♪

町中にポルトガル語がおどる!?
ここは日本……だよね

毎回原付でお散歩ツーリングをして、おいしいお茶を飲もう、という当企画。今回は原付でブラジルに行こう! がテーマ。といっても地球の反対側まで走るわけではもちろんなく、目指すは群馬県の大泉町。群馬とはいっても、埼玉県の熊谷市から利根川を渡ってすぐのところ。都心からでも直線距離は70kmほどで、原付でも十分行ける距離なのだ。ここは周辺工場で働く日系ブラジル人が多く住むことから、ブラジル料理店やスーパーなどが多く集まる『ブラジルタウン』があるという。

というわけで、ホンダDio110を駆って国道354号線で大泉町に向かう。東武鉄道の西小泉駅に近づくと、いきなり街道沿いにポルトガル語を掲げたお店や看板が増えてきた。中古車販売店、携帯電話、さらにはタトゥーの店など。八百屋さんの店先にも、野菜の名前を書いたポルトガル語がおどる! まるで西部劇で見知らぬ町に差し掛かった主人公のような気分で、緊張感とワクワク感が同時に沸き起こってきた。

まずは町の概要を知るため、大泉町観光協会にお邪魔してみた。応対してくれたのは齊藤恵梨子さんと鈴木マリアナさん。お二人は「えりまり@おおいずみ」の名で 町の広報ブログ もやっている、観光協会の看板娘なのだ。お二人の説明によれば、大泉町の人口約4万2000人のうち約7000人が外国人で、多くはブラジルやペルーなど南米を中心とした人たちだという。

「人口の約15%が外国人で、この比率は日本一高いんです」とのこと。90年に入管法が改正された際に、労働力不足を補うために日系ブラジル人の雇用を積極的に行った結果、多くの日系人が住むようになったという。当初は出稼ぎの人が多く、日本人と外国人コミュニティの接点はあまりなかったらしいが、最近では家族を呼んで定住する人も増え、日本に溶け込もうとする考えの人も増えつつあるんだとか。観光協会としても『ブラジルタウン』を観光資源として積極的にPRしていこうという姿勢らしい。年に一度、9月に行われる「大泉カルナバル」のほか、毎月第四日曜日には「ブラジル横丁街歩き日帰りの旅」という、町内を満喫するためのツアーも開催されているとのこと。お二人の「異国情緒を楽しんでくださいね!」という言葉に見送られ、いよいよ町の探検を開始。もちろん、楽しんじゃいますとも!!


より大きな地図で 地図を拡大表示する

左/ブラジルタウンの中心的存在、スーパーマーケット「TAKARA」。明るくきれいな店内は入りやすい 右/大泉町観光協会の看板娘「えりまり」のお二人。左が齊藤恵梨子さん、右が鈴木マリアナさん。お世話になりました、オブリガード!

ブラジルをはじめ、南米系の人はお肉が大好き! 種類は多いけど日本のスーパーみたいな薄切りや小間肉は見当たらない

見慣れぬ商品!
言葉が読めない!?
店内は、まさに
ブラジルだ!

コーヒーやマテ茶の種類が多いのもすごいけど、パッケージがとにかくカラフルで見飽きない

最初に訪れてみたのは「TAKARA」というスーパー。店の外壁にはブラジル国旗がドーンと描かれ、入り口付近にはポルトガル語の自動車教習所の広告がある。中に入ると、ブラジル料理のレストランやパン屋があり、もうニオイからして日本のスーパーとは違う。陳列棚にはやたらとカラフルなパッケージの食品やお菓子、見たこともない洗剤や缶詰が並ぶ。ほとんどがポルトガル語かスペイン語で、日本語の表記は申し訳程度だ。ほかにもブラジルではポピュラーなマテ茶やガラナジュース、芋の粉のバリエーションがやたらと豊富なことや、肉売り場には薄切りでなく、ドでかい塊が当たり前のように並んでいるなど、思わずここが日本であることを忘れてしまう。脇には携帯電話ショップや先ほどの教習所の事務所などもあって、もちろんポルトガル語ばかり。

「TAKARA」のすぐ横には「キオスケ・シ・ブラジル」という、同じようなスーパーがあり、こちらも一般的な食品のほか、ケーキ類や衣料品、雑貨なども取り扱っている。この二つのお店がある付近が、いわばブラジルタウンの中心で、周辺には飲食店やレンタルビデオ店、派手な服を揃えた衣料品店など、さまざまなブラジル系の店が集まっている。どの店も、お客、店員ともに日本人らしき人はほぼ見かけない。だから最初に入るときには、ちょっと勇気がいるし、中に入っても言葉はポルトガル語ばっかりで心細く、思いっきり「ストレンジャー感」が味わえる。この感覚、これはこれで楽しかったりするんだけど、実は店員さんはかなりの確率で日本語OKなのだ。本来ラテン系で気さくな人が多いから、カタコトのポルトガル語で「ボン・ヂーア(おはよう)」「ボア・タールジ(こんにちは)」なんてあいさつするだけで、ニコっとしてあれこれフレンドリーに教えてくれたりする。お店をあちこちのぞいていたら、気が付けばお菓子やコーヒーなど、海外旅行のお土産気分でたくさん買い込んでしまい、メットインスペースがいっぱいに。買い物に疲れたら、お店でブラジルコーヒーを飲みながらちょっとしたブラジル料理やおやつを食べて休憩、なんて楽しみ方もできるから、ついのんびりしてしまう。

左上/ガラナジュースだけでいったい何種類あるんだ? インカコーラも要チェック 右上/雑誌コーナーもあり。ブラジルの雑誌以外に、日本語の教本も発見 左下/ブラジルの代表的なパン、ポンデケージョ。おやつ代わりにいい 右下/洗剤系も見たことのないブランドばかり。石鹸が意外と高いかも

軽食レストラン「ランショネテ・ド・パウロ」で休憩。スナック系の軽いブラジル料理がおいしい!

左上/西小泉駅前の「CANTA GALO」は小さいながら南米全般の商品が充実 右上/手前の「パステル」はブラジルの代表的なスナック。大きな餃子みたい 左下/八百屋さん。野菜の日本語表記がない、って実はすごいかも 右下/店先にフリーペーパー、多し。日本人向けのクーポンつき冊子もあるからチェックすべし

HUB倶楽部
プロフィール
野岸“ねぎ”泰之
神奈川在住のフリーライター。バイクツーリング雑誌を中心に、防衛問題からデジタルグッズまで、興味の赴くままに幅広く執筆。原付バイクによる島旅も多くこなす。グッズからグルメまで、B級と名のつくものが大好物。愛車はヤマハTDM850、TT250レイド、カワサキKSRⅡ。好きな言葉は「人生は祭りだ!」。HUB倶楽部の主宰メンバーでもある

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索