第三回 映画看板が躍る!?「昭和レトロ」な青梅を巡る(東京・青梅市) 原チャでchacha茶

原チャでchacha茶

第三回 映画看板が躍る!?「昭和レトロ」な青梅を巡る(東京・青梅市)

掲載日:2012年05月30日 記事カテゴリ 原付漫遊記原チャでchacha茶   

文/ 野岸“ねぎ”泰之  写真/野呂瀬悦史

第三回 映画看板が躍る!?「昭和レトロ」な青梅を巡る(東京・青梅市)

ふだんは通勤や通学に使っている原付バイク。でも、それだけじゃもったいない!? いつもの道をちょっと離れて、お散歩がてらにツーリングをしてみれば、新たな発見と新しい原付の魅力が待っているはず。お気に入りの場所で「お茶」すれば、旅はさらにおいしく楽しいものに! この企画は、そんなページです。さぁ、みんなでLet’s chacha茶~♪

名作映画の看板が
甘酸っぱい記憶を呼び覚ます!?

原付で気軽なお散歩ツーリングを楽しもう、という『原チャでchacha茶♪』、三回目に訪れたのは、東京都の西部に位置し、奥多摩の入り口にもなっている青梅市。ここは40代以上の人にとってはちょっと懐かしく、若い世代には新鮮な「昭和レトロ」な町なのである。そんな場所を探索する旅の相棒は、スズキのアドレスV125Sリミテッド。通勤の足として大人気のマシンで、市街地をちょこまかと走り回るにはうってつけのバイクだ。

 

出発地点となったJR青梅線の東青梅駅から、旧青梅街道を西へと進み、青梅駅方面へと向かう。旧青梅街道は甲州裏街道とも呼ばれ、青梅特産の綿織物や石灰の輸送路として江戸の昔から栄えた道。ゆるやかに曲がった道の両脇には古い町屋が並び、宿場町の雰囲気が色濃く残っている。すると突然、視界に懐かしい映画の看板が目に入った。昔は映画館の前などに普通にあった、手描きのやつである。あれ、青梅に映画館ってあったっけ?

 

「ローマの休日」「明日に向って撃て」「丹下左膳」「男はつらいよ」「鳥」などなど、邦画洋画を問わず、数々の名作映画の看板があちこちの商店や住宅の壁に掛けられている。駅前の観光案内所で尋ねてみると、現在青梅に映画館はないものの、かつて青梅に映画館があったころに看板絵師として活躍していた久保板観という方が描いたものだという。どうりで上手いはず、上映こそしていないものの、いわば本物というわけだ。板観氏は1993年(平成5年)の「青梅宿アートフェスティバル」で約20年ぶりに映画看板を描いたのをきっかけに、以来、町おこしの一環として映画看板を描き続け、最近では近くの明星大学の学生が制作したものも加わり、界隈で約100枚もの映画看板が町を彩っていて「青梅シネマチックロード」と名付けられているという。中心となっているのは映画の黄金期ともいえる昭和30~40年代の作品らしい。「見比べるとプロと学生じゃ、やっぱり出来が違うんだよねぇ」。案内所の人はそれもまた一興、とばかりに微笑んだ。

 


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左/出発地点の東青梅駅はのどかな雰囲気 右/旧青梅街道は町屋造りの家並みが残り、宿場町として栄えた青梅の姿を今に伝える

レトロにあふれる
JR青梅駅には
ツーリングでも
立ち寄りたい

街道に戻ってあらためて周囲をゆっくりと流すと、目立つ看板以外にもいろいろなところに小さな看板が隠れているのがわかる。じっくり見ると、学生が描いたと思われるものも発見。歴史を感じさせる古い建物と懐かしい映画看板が妙にマッチして、ストリートには独特の雰囲気が満ちていた。街道から脇へと延びる路地に迷い込んでみれば、小さなお豆腐屋さんが店を構えていたり、昭和の香りが漂う古いスナックが出現したりと、お散歩というよりまるで宝探しの旅みたいだ。「こういう町、昔あったよなぁ……」気が付けば、子供のころの記憶をたどって、どこか甘酸っぱい気分になっている。今回は立ち寄れなかったけれど、「昭和レトロ商品博物館」や「赤塚不二夫会館」、「昭和幻燈館」などの施設も、往時を思い出してなかなか楽しそうである。

 

「昭和レトロ」と呼ばれる青梅の町おこしの、もうひとつの見どころがJR青梅駅だ。入場券を買って構内に入ると、まずは昔の広告看板やポスターが出迎えてくれる。そして、ホームへとつながる地下通路には、出ました、またまた板観氏の映画看板。それも「終着駅」「旅路」「鉄道員」など、駅にぴったりの作品が多く、何とも心憎い。そしてホームに上がるとまた驚いた。駅名や番線を示す看板や電灯、ベンチなどがレトロな雰囲気のものになっているほか、待合室や立ち食いそば屋までも、わざわざ古めかしい木製の外観に仕立ててあるのだ。特にそば屋は「青梅想ひ出そば」と名付けられ、店内もレトロな調度品がしつらえてあって懐かしい雰囲気が満点。店の前にある食券の販売機は、サビの浮いたボロボロなものに見せておいて、実はSuicaも使えるという新型機。まるでテーマパークのような凝りようなのだ。昔の駅はこんな感じだったのかな、と想い耽っていると、すぐ脇をステンレスのボディを輝かせた最新の通勤電車が発着するという、なんともアンバランスで不思議な光景が広がっているのであった。

名画の看板が、普通に商店街の風景に溶け込んでます

左上/映画看板とともに、映画看板風のお店の宣伝看板が設置されていることも 右上/本物のバス停の前にはこんな待合室も 左下/普通の民家の壁にも発見。冷静に考えたらすごい光景かも 右下/左下に注目。板観氏が描いたものにはサインがしてあるのだ

「昭和レトロ商品博物館」「昭和幻燈館」「青梅赤塚不二夫会館」などがある住江町が、昭和レトロ散策の中心となる

最新の車両とレトロイメージの建造物が同居する青梅駅のホームは不思議な雰囲気の空間

わざとくたびれた風合いを演出している待合室。看板の文字は板観氏の手によるもの

古そうに見えて実はSuicaも使える券売機に驚かされる「青梅想ひ出そば」。入る前からワクワクさせてくれる

左/大きなかき揚げが載った「手作りてんぷらそば」は麺にコシがあってなかなか美味 右/古いブラウン管テレビが「昭和感」を盛り上げる店内

青梅駅周辺は路地裏探索も楽しい。原付でのんびり見て回るにはぴったりの町だ

 

HUB倶楽部
プロフィール
野岸“ねぎ”泰之
神奈川在住のフリーライター。バイクツーリング雑誌を中心に、防衛問題からデジタルグッズまで、興味の赴くままに幅広く執筆。原付バイクによる島旅も多くこなす。グッズからグルメまで、B級と名のつくものが大好物。愛車はヤマハTDM850、TT250レイド、カワサキKSRⅡ。好きな言葉は「人生は祭りだ!」。HUB倶楽部の主宰メンバーでもある

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