原チャでchacha茶

後編:湧き水の里を巡り、絶景のパノラマを堪能(神奈川・秦野)

掲載日:2012年04月13日 原付漫遊記原チャでchacha茶    

文・写真/野岸“ねぎ”泰之

大にぎわいの「葛葉の泉」で水を汲んだら
湧き水を使った絶品のそばを堪能

目指す『葛葉の泉』へは、渋沢駅からまっすぐ北に向かい、丹沢山系の懐へと飛び込んでいく。目印は、表丹沢野外活動センターだ。眼前には大きな山塊が立ちふさがり、だんだんと人家が少なくなって、勾配の急な坂道になる。と、突然駐車場に停まる数台の車と、その先に何人もの人がいるのが見えた。どうやらここが葛葉の泉らしい。

バイクを停め、近づいてみるとびっくり。なんと、そこいる人全員が、大きなペットボトルを何十本も持参して、順番待ちをしながら水を汲んでいるのだ。その様子は、まるで何かの聖地のよう。聞けば、横浜や東京都内など、けっこう遠くから定期的に水を汲みに来ている人が多いとか。「手軽に汲めて、おいしいんだよ」と慣れた手つきでボトルを交換しながら水を汲んでいた男性が言う。確かにここは車が横付けできるし、大量に汲むには良さそうな場所。水量も豊富だから、ボトル1本があっという間に満タンになる。しかし、やはり待つ人の数は多い。いつになったら順番が回ってくることやら、とあきらめ顔でいると、「どうぞお先に汲んでください。登山者優先ですから」と声がかかる。僕は登山者じゃないけれど、小さなペットボトル1本なので、お言葉に甘えさせてもらった。ここの水は、クセがなく口当たりがまろやかでとても飲みやすく、何となくだけどミネラルが多い気がする味。ついガブガブとその場でも何度も喉を潤してしまった。それにしても、待ってる人同士は和気あいあいなのにどことなくソワソワしているという、なんとも不思議な空気の流れる空間だったな~。

さて、眺めのいい場所でお茶を飲む前にちょっと腹ごしらえ、というわけで、山を下り少し東に走って、田原ふるさと公園内にあるそば処『東雲』へとハンドルを切った。その途中、小高い丘を抜ける道を走っていると、見通しのいい畑の向こうに富士山がドーンと姿を現した。「す、すごい……」思わずマシンを停め、しばしその姿に見入ってしまった。富士山って、不思議と見えただけでハッピーになれるし、なんだか得した気分だよね。

そんなウキウキ気分で到着した東雲で食べた手打ちそばは、喉がうなるウマさだった。ここは地元産のそばを水車で石臼製粉し、打つのも茹でるのも湧き水を使うというこだわりよう。地元のお母さんたちが打つそばは田舎風で素朴な味わいだけど、それに加えて水のよさと周囲の田園風景がいい調味料になって、きっとそばもさらにおいしく感じられたんだな~。

左上/「葛葉の泉」に向かう途中には、山肌から水が染み出た場所も通る 右上/急坂の先に駐車場、そして人の群れが現れた 左下/みんなすごい数の、しかも大きなペットボトルを持参 右下/ちょっと失礼してお先に汲ませてもらう。ものすごい水量の清冽な水には圧倒された?!

水がおいしい場所には美味なるそば屋あり、の法則発動。ざるそば大盛りもズババッ、ツルッであっという間に完食でした

上/ざるそば大盛り、750円なり。ほかに小鉢の煮物などがついてきます 下/そば処『東雲』の脇には売店があって、産直野菜や地元の名産品も販売している

自分で汲んだ湧き水を使い
絶景ポイントでコーヒーを楽しむ!!

お腹も満足したところで、いよいよお待ちかねの「chacha茶♪タイム」といきますか。今回目指したのは、県道70号でヤビツ峠に向かう途中にある「菜の花台」。田原ふるさと公園からだと、かなりの急勾配を登っていくことになるんだけど、PCXはパワフルで元気そのもの。他のクルマに道を譲ることもなく、目的地へと一気に走ってくれた。

菜の花台からは、秦野市街はもちろん、湘南方面や伊豆半島なども一望。そして木製の展望台に登れば、大迫力の富士山まで望めるという、まさに爽快絶景スポット。今回はここで、先ほど汲んだ湧き水を使ってコーヒーを淹れてみた。簡易ドリップ式のお手軽なものだけど、なんといっても水が違う。それに、目の前には湘南の大パノラマが広がっている。「おいしい水と豊かな自然が残る秦野って、ホントにいい街だよなぁ……」なんて今回の旅を振り返りつつ、家で飲むのとはひと味もふた味も違う、贅沢でリラックスしたコーヒータイムを満喫したのだった。

原付だからこそ楽しめる、お散歩気分のプチツーリング。次回はどこで「chacha茶♪」しようかな!?

上/ヤビツ峠への道。勾配はキツイものの、頂上付近からは富士山の姿も拝めて気分は爽快 下/菜の花台にてお茶タイム。インスタントのドリップコーヒーだけど、水と景色がいいから最高にうましっ!! 贅沢な時間だなぁ

今回のマシン【ホンダ PCX』……プチインプレ

街中で乗っている時より、ツーリングに連れ出した時によりアドバンテージを感じるのが、14インチのホイールが生み出す操縦安定性。郊外の流れの速い国道でも一切不安のない走りは、まるでスポーツバイクに乗っているかのよう。峠道でも、エンジンのパワフルさと旋回性の良さで、気持ちよく走ることができた。これでトランクの容量がもう少しあれば言うことナシなんだけど、現状でもツーリングマシンとしての実力は十分だ。

ツーリングプチ情報

■食事スポット

そば処 東雲

所在地/神奈川県秦野市東田原999 秦野市 田原ふるさと公園内

TEL/0463-84-1282

営業時間/11:00?16:00

定休日/月曜日(月曜が祝日の場合は翌日休業)、年末年始

■休憩スポット

菜の花台

所在地/神奈川県秦野市羽根1079-5

秦野市街からヤビツ峠へと向かう県道70号の途中にある絶景スポット。晴れた日には秦野市内はもちろん、相模湾から江の島まで一望できる。夜景の名所としても有名。駐車場、トイレあり。

■ヘルメット

SHOEI
J-FORCE III

SHOEIのトップレーシングモデルのDNAを受け継いだ流線型のスポイラーを装備し、流れるようなエアロフォルムを実現。吸排気効率の高いベンチレーションの効果も高く、ツーリングに使用しても疲労が少ないモデルだ。

問TEL/03-5688-5180(SHOEI)

■ジャケット

ラフ&ロード
デュアルテックストレイルツーリングジャケット

フロント部に4つの大型ポケットを配したトラディショナルなデザインのジャケット。防水、透湿素材のデュアルテックスを採用し、不意の雨でもあわてずに済む。ベンチレーションも装備しており、ツーリングユースに最適だ。シンプルで飽きの来ない、長く着られるジャケットといえる。

問TEL/045-840-6633(ラフ&ロードスポーツ)

HUB倶楽部
プロフィール
野岸“ねぎ”泰之
神奈川在住のフリーライター。バイクツーリング雑誌を中心に、防衛問題からデジタルグッズまで、興味の赴くままに幅広く執筆。原付バイクによる島旅も多くこなす。グッズからグルメまで、B級と名のつくものが大好物。愛車はヤマハTDM850、TT250レイド、カワサキKSRⅡ。好きな言葉は「人生は祭りだ!」。HUB倶楽部の主宰メンバーでもある

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