カブ生活

ゆるカブ第六十一回「カブ小屋チロル」

掲載日:2017年10月29日 原付漫遊記松本よしえのゆるカブdays    

え・文・写真/松本よしえ

初公開の『カブ小屋チロル』です。ようやく上棟にこぎつけました。日本古来の「折り置き組」という工法で建てているので土台と柱、梁は釘を使いません。関わって下さった方々に心からお礼を申し上げます。

秋の一日、爽やかに晴れた空を見上げ、いつもならカブで走り回っているところですが今年はぐっと我慢。場所はまだ明かせませんが、カブに乗り始めたのと同時に通い始めた中部地方の山で大工仕事をしています。昨年から「カブ小屋チロル」と仮に名付けた小屋を建てるために作業しているのです。標高千メートル越えの山中の森はヤマネが巣をかけ、フクロウが大きな翼を広げて飛んでいきます。カブでトコトコと林道を走ると鹿の群れに出合うこともしょっちゅう。目の前にある借景の小さな池ではハチクマやサギが狩りをし、真冬は一面の銀世界になります。

そんな静かな山の佇まいを残したまま、カブを傍らに置いて森を楽しむかわいい小屋を建てたいと願うようになりました。小屋を建てた経験もないし、専門用語もさっぱりわからない。ともかく大それた夢を抱いたのですが、この森で大工さんと知り合い、ご近所さんができ、家族にも賛成してもらい、ようやく柱が建ち、構造物のカタチができ、淡々と作業に取り組んでいます。なんだか初めてバイクに乗った時みたいなまっさらな気持ちでいます。

おそらくカブに乗らなかったら「カブ小屋チロル」を建てる気持ちにはならなかった。偉大な本田宗一郎氏の遺伝子を汲むカブの普遍性や素晴らしさに触発されたのかもしれません。この小屋が完成した暁にはカブとの雄姿をお目にかけたいと思っていますが、これからは時々カブ小屋の様子も「ゆるカブ」な日々に交えていきます。どうぞよろしくお願いします。

限られた時間しかないのに雨には泣かされます。カバーの中は水が溜まってズブズブ。羽カブとともに懐かしい思い出になる日は来るのかな!?奥は仮宅の小さなトレーラー。知人から譲り受け、レストアしながら使っています。

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