第二十七回「バースイヤーカブ」 松本よしえのゆるカブdays

カブ生活

第二十七回「バースイヤーカブ」

掲載日:2014年06月17日 記事カテゴリ 原付漫遊記松本よしえのゆるカブdays    

え・文・写真/松本よしえ

カブ生活

中古のカブにはいろいろ思い入れがあるもの。なかには妻の生まれ年のカブをカスタムしてプレゼントした人がおります。

 

バイク乗りの間ではたくさんのバイクを所有している人のことを「バイク持ち」と呼んだりします。身体はひとつしかないのにどうして? 真っ先にそう思ってしまったら理解は及びませんが、何台ものバイクや部品を身の内に引き寄せ、自分好みのバイクをつくり上げるのが何物にも代えがたい喜びなのです。ちなみに「バイク持ち」さんの場合、たいていは動かない車体や部品も大量にストックしているもので、自分が何台のバイクを所有しているのかわからないこともしばしば。

 

さて、わたしの友人にも「カブのバイク持ち」さんが何人かおります。そのひとり、土田満さんはカブだけで都合16台分を持ち、自宅のガレージにぎっちりと詰め込んでおります。妻の証言によれば地震の際もバイク同士が支えあい、けっして倒れることはないのだとか。そのなかで土田さんの自慢の一台はバースデーイヤーカブ! 発端は満さんが手に入れたカブ(C102)が1963年製で奥さんの生まれ年と一緒だったことから。ならば妻のためにバースデーイヤーカブをカスタムしようと決めたそうです。こんな風に改まって書くと稀代の愛妻家のようですが、彼をよく知る友人は「カブをいっぱい持ち続けるための詭弁でしょう」などと言っています。

 

その後、車体色は妻のリクエストでピンクに決まり、二度の塗り替えを経てたどり着いたのがこのド派手なピンク色。結果として妻のアイデアとのコラボ作品になりました。ご覧のとおり、前後のホイールは小さめで14インチに交換してあります。バックミラーも小さくて、ノーマルのカブより小ぶりに見えるのです。これは小柄な女性が乗るのを意識して小さくしたのだと思いたいものですが、じつは彼の奥さんは身長171cm。大概のバイクに楽々乗れる恵まれた身長なのです。土田さんご本人も174cmという長身夫婦。あくまでもわたしの見解ですが、大きな人ほど小さくてカワイイものが好きなのでしょうか。

 

梅雨入りした6月の週末。以前もご紹介した田園調布の蕎麦屋「兵隊家」に新旧3台のカブが集合。奥から前澤一郎さんの1963年製CA100イギリス仕様、松本の羽根カブ90、土田満さんの「ジャパンブルー号」はプレスカブ50を88ccにボアアップしてある。じつはこの日、3人は東京新聞の記者さんとお会いしたのです。

梅雨入りした6月の週末。以前もご紹介した田園調布の蕎麦屋「兵隊家」に新旧3台のカブが集合。奥から前澤一郎さんの1963年製CA100イギリス仕様、松本の羽根カブ90、土田満さんの「ジャパンブルー号」はプレスカブ50を88ccにボアアップしてある。じつはこの日、3人は東京新聞の記者さんとお会いしたのです。

ピンク色がまぶしいシオリーナ号(奥さんの名前に由来)は1963年製C102(55cc)。チェッカーフラッグ柄のオリジナルシートは赤のパイピングがカッコイイ。

ピンク色がまぶしいシオリーナ号(奥さんの名前に由来)は1963年製C102(55cc)。チェッカーフラッグ柄のオリジナルシートは赤のパイピングがカッコイイ。

ところで土田家では奥さん号をつくった後、娘さんのバースイヤーカブにも着手しました。こちらは1986年製US仕様のハンターカブ110。自分と同じ年のカブに乗るってどんな気分なのでしょう。家族が丹誠を尽くしたのならば誇らしいですよねぇ。ただ残念なことにご土田さん自身の分はありません。なぜって、彼はカブより少しだけ年上なのです。で、ご本人は代わりにワールドカップで日本を応援する「ジャパンブルー号」を製作して乗っています。5月にはこのカブでラリーにも出場しました。太平洋岸を日の出とともに出発し、日没までに石川県の海岸にゴールするというSSTRというラリーに出場し、5位(U125クラス)でゴールしています。

 

 

※さきごろスーパーカブが立体商標に登録されたのにちなみ、「兵隊家」に集った3人で東京新聞の取材を受けました。掲載は2014年6月17日(火)朝刊の予定です。

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