カブ生活

第五回「新上五島町のカブ(1)」

掲載日:2012年03月15日 原付漫遊記松本よしえのゆるカブdays    

え・文・写真/松本よしえ

今年の2月、長崎県の五島列島へ行ってきた。五島列島は東シナ海に浮かぶ大小約140の島からなる群島で、わたしが訪ねたのは新上五島町。南北に長い五島列島の北の端にあって、中心となる中通島に若松島と頭ヶ島が橋で繋がっている。地元の人は上五島とも呼ぶ。

新上五島町の見どころは多いのだが、まず一番に挙げるなら教会だろう。なんと新上五島町だけで29もあるのだ。島の道を走れば、あちこちで教会に出合う。純白の教会が海を臨む高台に建つ姿にはうっとりするし、石積みや煉瓦造り、トンガリ屋根など、建築として捉えても面白い。だが、その教会も江戸時代には幕府の弾圧を受け、隠れキリシタンとして生きた信者も多かったという歴史がある。ようやく禁教が解けたのは1873年(明治6年)になってから。信者らの篤い信仰心から、たくさんの教会が建立された。日本各地の門前町へ行けば寺を身近に感じるように、五島では教会が親しまれているのを肌で感じるだろう。

さて、そんな祈りの島でのカブはというと、島の名物「五島うどん」の製造工場の前で大きな黄色い箱付きのカブを見つけた。車種はスーパーカブカスタム50でセルモーター付きが特徴。後ろの大きな箱はお手製のようだ。キャリアの天板から箱がはみ出し、その重さのためかシャコタン気味なのはご愛嬌。白いレッグシールド以外は紺色の車体に、黄色を配色するとは大胆だ。蓋の一辺に蝶番があって、それを支点に蓋がカパッと開く。残念ながら持ち主は現われなかった。箱の中身を知る人によれば工具が入っているらしい。

島ではほかにも数台のカブを見かけた。やはりお仕事用が大半で、もう一枚の写真は若松島の若松港ターミナルにやってきたインジェクションのプレスカブ50。島の新聞屋さんは働き者だ。前カゴに新聞、後ろのキャリアにはクーラーボックスが2個。牛乳が入っているのだろうか。ターミナルに新聞を配ると、あっという間に走り去った。プレスカブ仕様は広いキャリアが荷物を積むのに最適だし、サイドスタンドもスイングアームに直付けだから重量に耐える。これはキャンプ用品などの荷物を積むのにもよさそう。旅人仕様に改造してはどうだろう。

●お知らせ●

3月16~18日(金~日)は「大阪モーターサイクルショー2012」でステージ出演(金・土曜各2回)します。会場のブースにもいる予定です。お時間のある方はぜひ会場へ。「ツーリングセッション」を探してください。見かけたら声をかけてくださいね。

>>詳しくはコチラをチェック!

★耳寄りニュース!★

3月25日(日)、新上五島町では「五島うどん」のイベントが開催されます。チラシを持参すると島の9ヵ所の製麺所で「五島うどん」が無料で食べられますよ! 詳細は「まるごと体験!!新上五島」の新着ニュースをチェック!

頭ヶ島天主堂は2007年(平成19年)に世界遺産の暫定リストに登録された。この建物は1919年(大正8年)に完成するまで7年の歳月が掛かったという。信者が自ら島の砂岩を切り出して運び、積み上げて建てた

スーパーカブカスタム50の黄色い箱はお手製。だいぶ色褪せているけれど、最初はまっ黄色だったはず! 青い海、白砂の海辺が似合いそう

プレスカブ50のライトは前カゴの下。ハンドルについている方はスモールランプで、ポジションの役割になる

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