カブ生活

第四回「札幌と長崎で」

掲載日:2012年02月22日 原付漫遊記松本よしえのゆるカブdays    

え・文・写真/松本よしえ

2月の初め、札幌の深夜の気温は零下7℃。1週間後には「さっぽろ雪まつり」が開催される大通り公園近くでカブを発見。丸3日間の北海道滞在中、ようやく出合ったカブだった。このときは函館から江差、札幌、上富良野、旭川と巡る出張の旅で、当初は真冬の北海道ならばチェーンを巻いた郵便カブに出合えるよね……なんて気軽に考えていたのだ。ところがどっこい、道内をバスや列車で移動する間も窓外をずーっと眺めていたのに、まったくカブに出合わない。もう無理かとなかば諦めていたら、深夜の札幌で、雪が小止みになった路上にポツリとカブが停まっていた。お見かけしたところ、厳冬期なのにハンドル回りはナックルバイザーだけという潔さ。大容量のカゴ付きってことは、仕入れなどの業務用? それとも、ちょい乗り専用なのかな。

さて、北海道から戻って12時間後、バタバタと長崎へ向かう。縦に長~い日本列島を約2,000キロも南下したのに、長崎は年に一度あるかないかの寒波が襲来中。長崎市内を散策中も頬に打ちつける雪の粒が痛い。凍えて老舗カステラ店へ逃げ込んだら、郵便カブの女性が店先にいた。画面に白いものがチラチラと見えるの、わかりますか。これ、雪です。なのに彼女の手元は指抜きニットの手袋だった。「グリップヒーターありますから!」と元気な声が頼もしい。

お仕事中なので、パパッと写真を撮らせていただきつつ、注目したのはハンドルに付けた大きなガマ口状のバッグ。巷では「郵便バッグ」と呼ばれていて、昭和レトロな趣きに見入ってしまう。払い下げの中古を手に入れるファンもいるのだが、郵便物がどっさり入った重さを支える頑丈な取り付けも気になるところ。特別製なのかな。それから珍しいのは腰に付けたバッグ。こちらはお金などが入っているようだ。どちらも郵政省時代の名残りを感じる革製バッグなのがシブイ! 近ごろは布製のウエストポーチを付ける方が多いから珍しいのでは。ちなみに腰のバッグはベルト付きらしいのだけど、確認はできなかった。ウワサによれば、ガマ口バッグも腰バッグも、内側に管轄郵便局名が押し型になっているとか。機会があればぜひ拝んでみたいが、どなたか、見た人はいる?

真冬の北海道で見かけた唯一のカブ1台。持ち主の方には会えなかった。札幌の中心部は除雪されているけれど、住宅地や郊外はガッツリと雪が積もっていた

笑顔が素敵な配達員の女性に元気を分けてもらう。長崎は坂が多い。集配地域によってはチェーンを着けることもあるという

ふだんはなんとなく見ていた郵便バッグ。昭和な雰囲気がシブイじゃないの。じつはガマ口内部も見せてもらったのに、郵便物に隠れて押し型に気づかず。残念だったな~

冬の長崎を彩る「長崎ランタンフェスティバル」(2月6日まで)は、長崎の華僑の方々が中国の旧正月を祝う行事として始めたもので、いまや街ぐるみのイベントとして発展した。期間中は街中に中国提灯や飾りがあふれ、市内7ヵ所の会場にはランタンの巨大オブジェも並ぶ。日暮れにランタンが灯る光景は夢見心地。異国情緒を盛り上げる

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