掲載日:2017年05月24日 試乗インプレ・レビュー
取材協力/Chops 取材・文/淺倉恵介 写真/木村圭吾
NAVI110の乗車感は、思った以上にバイクだ。マシンに跨ってステップに足を置くと、ステップ位置はかなり前で乗車姿勢はスクーターに近い。車体構成は基本的にスクーターのソレなのだ。だが、ニーグリップできるということが、これほどバイクらしい乗り味を生み出すのかと驚かされる。コーナリングでステップに荷重し、膝でマシンを抑え込む感覚が楽しい。ATミッションであることを忘れ、ブレーキングの度に右足のつま先がリアブレーキのペダルを探して、空振りを繰り返してしまったほどだ。走り込んでいるライダーであればあるほど、NAVI110の走りを楽しく感じるのではないだろうか?
原付二種カテゴリーの車種としては、エンジンのスペックは非力。だが、実際に走るとローパワーを感じさせない。停止状態からの発進加速にストレスを感じることはなかった。40km/h~50km/hの速度域で、回転上昇にモタつきがあるが、排気量を考えれば致し方のない部分。もちろん、驚くほど速いということはないのだが、市街地で交通の流れに乗ることになんの問題はない。最高速はメーター読みで80km/hを越えた辺り。同クラスのライバルと比較すると、この点で劣るわけだが、そもそも非合法な速度域の話。日常使用域の使い勝手を重視したミッション設定なのだ。
気になるところはブレーキの弱さ。前時代的な前後機械式ドラムブレーキは、絶対的な制動力こそ確保されているものの、初期制動の立ち上がりに不満を感じる。キビキビ走れる車体なだけに、惜しいというか不満を感じる部分。また、サスペンションもスプリングだけで動作している感じで、ダンピング性能には期待できない。ポジションが直立していることもあり、ギャップを越えるとショックがライダーにダイレクトに伝わってくる。
だが、車両の価格を考えれば、こんなものと納得できる。そもそも、快適性や優れた走行性能を求めるバイクでもないだろう。これほど気軽に、これほど安く、バイクらしい走りを楽しめるモデルは、他に存在していないのが現状。とにかく安く、日常のアシを手にいれたいという人だけでなく、バイクを楽しみたいと考えるユーザーにも乗ってもらいたい。NAVI110なら、いつも通っている通勤・通学の道が、楽しいツーリングコースに変わるかもしれない。