スズキ アドレスV125S
 スズキ アドレスV125S

スズキ アドレスV125S – 通勤特急としての正常進化版

掲載日:2010年08月13日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

通勤特急としての正常進化版
新世代アドレスV125Sの誕生

アドレスV125。言わずと知れたスズキの通勤特急スクーターである。都市部での俊足ぶりと高い耐久性に目を付けたメッセンジャー(バイク便)からの指名買いも多いようで、軽量コンパクトな車体にパワフルなエンジンを搭載したこのモデルの用途はメーカーの想像を超えた広がりを見せていると言ってよい。こうした人気にも支えられ、原付二種市場を牽引してきた1台がこのアドレスV125であることは疑いようも無い事実なのだが、近年ではその牙城を崩すべく他メーカーからも続々と強敵が出現。このような状況に対応するためスズキが満を持して市場投入したのが、今回ご紹介するアドレスV152Sというワケだ。恐らく、目下の最大仮想敵は好調なセールスが伝えられるホンダのPCXであろう。アイドリングストップに大径ホイール、パワフルなエンジンで武装した強敵に対して、新型アドレスV125Sはどのような手法で守りを固めたのか…。試乗を通してじっくりと検証してみたい。

スズキ アドレスV125Sの試乗インプレッション

スズキ アドレスV125Sの画像

都市部での俊足ぶりは健在
ビジュアルと使い勝手を熟成

新型アドレスV125Sの発表に対して、多くのメディアはホンダPCXのような新機軸の搭載を期待していたようだ。しかし、我々の目の前に姿を現したのは愚直なまでに使い勝手を追求した通勤特急としての正常進化版だった。目新しい提案や新機能といったものは見当たらず、試乗しない限りその変化を感じ取れる部分はない。しかし、新型アドレスV125Sがデザインのみを変更した単なるフェイスリフトモデルと解釈するのは早計だ。いたずらに大型化することなく軽量コンパクトを貫いたボディに、125ccらしからぬ強力なパワーユニットを搭載。鋭い出足が健在なのはもちろんだが、新型アドレスV125Sは最初の交差点から実にシャープなハンドリングを披露してくれたのだ。開発陣によると、先代のアドレスV125Gに対して新型は膝回りのレッグスペースを前後に55ミリも拡大しているという。これが実に効いているのだ。イスに腰掛けるような体勢で乗車するスクーターの場合、運動性を左右する荷重の移動は上半身と膝下のアクションがメインとなる。

スズキ アドレスV125Sの画像

しかし、新型アドレスV125Sの場合は膝回りの自由度が非常に高く、脚さばきだけでも自由自在に車体をコントロールできてしまうのだ。当然ハンドリングはクイックでシャープ。混雑した都市部を泳ぐように走り回ることが可能だ。エンジンに関しては取り立てて大きな違いは感じられなかったが、相変わらず自動遠心クラッチの繋がり方が絶妙でスクーター特有のモッサリ感がない。この鋭い出足とそれ以降のスピーディな加速はやはりアドレスV125の独壇場と言えそうだ。前後のサスペンションに関してはよりハードになったと感じたが、これぐらいの設定が好ましい。すぐに抜けてスカスカになるような足回りでは、日々過酷な環境の中で使い倒されるであろう通勤特急としては失格だからだ。乗り心地は良くないが、慣らしが進めばもう少ししっとり感もでてくることだろう。前後ブレーキに関しては用途や好みによって評価が分かれるのではないだろうか。リアのドラムブレーキに関してはタッチが硬いものの制動力、コントロール性ともに十分で、すり抜け時に多用するブレーキを引き摺りながらの走行もイージーだ。一方、フロントブレーキに関してはやや制動力を重視しすぎだと感じる。リアに重量物が集中しているスクーターは構造的に前輪荷重が不足しがちだが、そのフロントに強力なブレーキを組み合わせているのでラフな扱いは禁物。ベテランであればこれぐらいが丁度良いのかもしれないが、やはり乗り始めはタイヤや路面と相談しながらのブレーキングがベターだ。アイドリングストップや大径ホイールなど、クラスを超えた装備と新機軸によって多彩な使い方を提案しているホンダのPCXに対して、通勤特急としてのあり方を忠実に貫く道を選んだ新型アドレスV125S。分かり易いキャッチーな要素が無いのでかなり不利な印象だが、トータルバランスで考えれば実力は非常に拮抗していると言ってよい。その勝敗はいずれ市場が決定してくれることだろう。

スズキ アドレスV125Sの特徴は次ページにて

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