【旧車メーカー別購入ガイド】ヴェスパ バイク購入ガイド

ヴェスパ

【旧車メーカー別購入ガイド】ヴェスパ

掲載日:2007年08月24日 記事カテゴリ バイク購入ガイド

世界のスクーターに
影響を与えた「ベスパ」

イタリア製スクーターの代表ともいえるベスパ。映画『ローマの休日』やドラマ『探偵物語』で活躍したことから、バイクに詳しくない人でも知っているブランドではないだろうか。第二次世界大戦直後にイタリアのピアジオ社が作り上げたベスパは、スチールモノコックボディや、後輪と直結したエンジン、片持ちフロントサスペンションをはじめ、当時の航空機の技術がふんだんに取り込まれていた。デザインは、Vespa(スズメバチ)の名のとおりふっくらとしたテール周りの造作や、レッグシールドからフロアへの一連のつながりなど、その後のスクーターのデザインに大きな影響を与えている。世界にスクーターはあまたあれど、“本物”を求めるとなればやはりベスパを思い浮かべてしまう。そんな、まさにスクーターの原点ともいえるのがベスパだ。そこで今回は20年以上ベスパに携わってきた「東京ベスパ」の石原 巧人氏に、そんなベスパの魅力を伺った。

ちょっと変わった外国スクーターは
高そうでカッコいい存在だった

イメージ東京ベスパはもともと親父がやっていた石原モーター商会といういわゆる“街の自動車屋さん”が発祥で、その頃から親父はラビットやベスパが好きで扱っていました。そんな環境だったためか、高校生のときに初めて買ったバイクも自然にベスパでしたね。ただ、当然周りの友達は250ccや400ccのレーサーレプリカなんかに乗っていて、僕も友達と一緒に走るときはそういうバイクでしたけども。でも、彼女を乗せて街を走るときなんかには、ベスパに乗っていってカッコつけてみたりしましたよ。当時、今ほどベスパは有名ではなくて、ちょっと変わった外国のスクーターくらい。「何だかよくわからないけれど高そうでカッコいい」という存在だったと思います。400ccクラスのバイクが40万円以下で買えた時代に、ベスパは当時で30万円くらいでした。

 

ベスパに乗り始めた頃からずっと感じるのは、やはり何よりも乗って楽しいということ。今、スクーターという意味では現行のオートマチックのモデルをはじめ便利な乗り物がたくさんあります。しかしやはり旧いベスパには、乗ることに独特の楽しさがあるんです。これはなかなか説明しにくいのですが、例えばハンドチェンジをガチャガチャやりながら走ったり、混合オイルを入れるのが面倒くさかったりということが、かえって乗り手との密接な時間を与えてくれました。

長時間の高速ツーリングが
楽しくなるキャラクター

イメージベスパはとても面白い構造を持ったスクーターです。屋台の後ろにある発電機のような小さなエンジンながら、2人乗りでも平気で時速70キロを出すことができます。そのエンジンは、チェーンやベルトを使わず、ピストンで生まれたエネルギーをクランクとギアを介して直接後輪に伝える独特のもの。モノコックボディやフロントの片持ちサスペンションは、ピアジオが飛行機屋さんだったから生まれた構造なんです。もともとスクーターやバイクを作る知識がなかったからこそ生まれた乗り物なのかもしれません。当時、イタリアにはランブレッタというもうひとつのスクーターメーカーがありましたが、こちらは現在のスクーターと同じようなエンジンやフレーム構造をしています。もちろん、こちらもとてもすばらしい作り。秀才が作ったスクーターだと思いますが、そういう意味ではベスパも天才が作ったスクーターだと僕は思います。

 

また、ベスパには独特の雰囲気というか造形的な魅力もありますよね。特にベスパが走っているときに真横から見たの姿や、後ろから見たフォルムは独特です。僕が特に好きなのは50年代のモデル。テール周りのデザインが左右で違っていたり、真横から見ると上に向かって走っていたりするようなデザインをしています。もちろん、ヒップラインは「Vespa=ハチ」の名のとおり、らしいフォルムを持っています。最近、僕は写真に凝っていて、ベスパもよく撮るんですよ。ベスパがいかにデザイン的に優れているのかを痛感しましたね。

 

当然ですが、旧いベスパは古い機械ですから壊れることもあります。でもベスパの場合、壊れても自分で直しやすいというメリットもあります。というのも、車両構造がきわめてシンプルだから。例えばタイヤを取り替えるだけでも4本のボルトを外すだけなんですよ。オーナーの方の中には自分自身で交換したことがあるという方が結構いらっしゃるかと思います。70~80年代のベスパはスペアタイヤを積んでいますが、ツーリングに行くようなときにはチューブを持って行く方もいらっしゃるほどです。もちろん、すべてこうしたユーザーばかりではありませんが、ベスパと付き合ううえで最低限のレベル、例えば電球を換えたり切れたワイヤーを交換するくらいなら、自分でやれるのも魅力のひとつではないでしょうか。自分で直していく中で、ベスパとの思い出ができていく。ベスパってそんな乗り物なんです。

石原さんに訊く!
ビギナーにオススメなベスパ

ショップマスター「ビンテージ」シリーズが日本で一番メジャーなモデルでしょう。、多くの日本人は、ベスパという名前をこのビンテージシリーズで覚えたのではないでしょうか。ビンテージシリーズには50cc、100cc、125ccがあり、いずれも同じボディをしています。人気があったため、日本では2000年まで輸入されていました。一方、この「スモールボディ」シリーズに対して、「ラージボディ」シリーズがあり、こちらには125cc、150cc、200ccというラインアップがあります。こちらは’78年頃から“ニューライン”という「Pシリーズ」に変わり、その後「PXシリーズ」へと進化していきます。『探偵物語』で松田優作が乗っていたのは、Pシリーズの比較的新しいモデルでした。

 

いずれにしても、旧いベスパという意味でお勧めなのは’70年代から’80年代のモデル。それ以前のものになると、旧くなればなるほど趣味性は高くなりますが、その分ハードルは高くなります。また、ベスパを購入するときに”年式による差”はあまり意識しなくていいと思います。それよりも、外観と中身の程度で値段が決まってきます。例えばビンテージの最終モデルでも2000年式ですから、すでに7年落ちの中古車です。程度のいいものは本当にオーナーが大事に乗っていたことになり、当然価格も高くなってしまいます。金額と内容は基本的に比例していて、残念ながら“安くていいもの”はなかなか見つかりません。「5万円で買ったけれど、後からいろいろ不具合が出て結局35万円になってしまった。それならば横にあった25万円のものにしておけばよかった」ということになってしまいます。

 

ベスパの部品供給は日本車と違い、海外の補修部品メーカーが充実しているので、そういう意味ではまだまだ大丈夫です。また、輸入車であるベスパのパーツは高いというイメージを持つ方も多いようですが、アフターマーケットのパーツは比較的安価です。マフラーが6000円から、ボアアップキットが2万円からというように、国産スクーター用と比べても安いと思いますよ。それに何より、世界中で愛されているベスパだけに、アクセサリーの数も豊富で、買った後はいろいろ楽しめるのが魅力です。

愛車DATA –

ライディング状況LML
スターデラックス150

ベスパのメーカーであるピアジオと提携して、インドでベスパの現地生産を行っていたLML社。イタリア本国でのPXシリーズの生産中止に伴い、その後、LML社だけが独自に生産を続ける2ストロークスクーターがこのモデル。当時のラージボディであるPXシリーズそのままの内容で、現在でも新車として手に入る唯一のハンドチェンジモデル。比較的安い新車価格も魅力のひとつ。石原さんはこのLMLのほかに、現行モデルのGTS250ieも持っていて、シチュエーションに応じて乗り分けているという。

 

取材協力

取材協力

1988年創業のベスパを中心としたイタリアンスクーター全般を扱う輸入スクーター専門店。現行ラインアップの新車だけでなく、レストアされた旧車を含む中古車も販売する。販売する中古車には「BUONO」、「OTTIMO」、「PERFETTO」という3段階の保証制度を設け、予算に応じた旧車を購入することが可能。2007年5月に移転した亀戸にある本店のほかに渋谷にも支店がある。

住所/東京都墨田区文花2-2-18

営業/10:30~20:00

電話/03-3610-4466

休日/水曜日


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