大幅ポテンシャルアップ確実!!NRマジックのグロム用パーツ
取材協力/エヌアールマジック  取材・文/淺倉恵介  写真/木村圭吾  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2016年1月20日
4stミニバイクのカスタムシーンで、今や主役の座に躍り出たと言っても過言ではないグロム。中でも人気が高いのが、性能アップを目的としたパフォーマンスパーツ。ミニバイクレースの強豪として、高性能マフラーメーカーとして知られるNRマジックも、グロム用パーツを豊富にラインナップ。速いグロムを造りたいのなら、NRマジックで決まりだ!

INTERVIEW

ミニバイクレースの強豪が
本気で作った超速グロム

新しいコンセプトのミニバイクとして、高い人気を博しているホンダグロム。カスタムシーンも過熱中で、数多くのパーツが揃い百花繚乱の様相を呈しているが、真打ちと言って差し支えない逸品が今回紹介するNRマジックのグロム用パーツだ。

 

NRマジックはミニバイク専門のパーツメーカーで、数々の高性能パーツをラインナップ。レース活動にも積極的で、多くの実績を残してきた実力派だ。看板パーツであるマフラーには、NRマジックだけのユニークな設計思想が盛り込まれている。中でも特筆すべきはPVS(Power Valve System)だろう。PVSはサイレンサーにリードバルブを内蔵し排圧をコントロールする、特許取得済みのNRマジックの独自技術だ。

 

1本のマフラーで、すべての回転域でベストな特性を持たせることは難しい。そのひとつの解決策が排気デバイスだ。排気デバイスは、機械的にマフラーの容積や経路の太さを変えることで、1本のマフラーで複数の異なった特性を持たせるメカニズム。ビッグバイクの純正マフラーが排気デバイスを採用する例が多いことが、その有用性を証明している。その排気デバイスと同様の効果を、マフラー単体で実現しているのがPVSなのだ。

 

更にPVSの効果の秘密に迫ってみよう。エンジンは断続的に排気ガスを送り出すため、そこに脈動が発生する。その脈動をコントロールすることで、混合気の排気ポートへの吹き抜けを防ぎ、充填効率を向上させる。これこそがPVSの狙いなのである。PVSの開発者である、NRマジック代表の中里さんは、こう語る。

 

NRマジック代表 中里芳郎さん

十代の頃からミニバイクレースで活躍。チューニングも自ら手がけ、その速さが評判を呼び19歳でNRマジックを設立。オリジナリティ溢れるパフォーマンスパーツを次々とリリースし、“エジソン中里”の異名をとるアイデアマンである。

V-JET グロム “PVS”のインプレッションはストリートで行った。繋がりが良好なパワーデリバリーは、ワインディングでも武器になる。クローズドコース(平地)での計測結果では、サブコン無しで最高速118km/hに達しているという。

「PVSの基本設計を思いついたのは25年程前のことです。ミニバイクレースに全力で取り組んでいて、とにかくバイクを速くしたいという一心で捻り出したアイデアでした。その当時も効果は確認できていたのですが、主に素材の問題で耐久性に難がありました。5年程前に、現代の技術と高性能な素材を使えば、もっと完成度の高いものに出来るのでは? と考え、再びトライして完成したのがPVSなんです。通常の排気経路とリードバルブを併用してみたり、リードバルブの枚数を変えてみたり……。様々なテストを繰り返して、ようやく納得いく性能を出せるようになりました」

 

なるほど、苦難の末に生み出された力作なのだ。それでは早速、PVSを装備したマフラーV-JET グロム“PVS”を試してみる。車両はノーマルで改造点はマフラーだけなのだが、走り出してすぐに低速トルクが増していることに気付く。パワーの谷もなく、実にスムーズに回転が上昇していくのが印象的。そして本領を発揮するのは6,500回転から上。特に7,000~8,000回転の間はパワフルで面白い。レブリミットに当たる9,500回転までキレイに伸びていくので、リミッターが無ければ更に上まで伸びるだろう。排気音量は程よいもので、太く心地良い音が響く。聞けば“速くて静かなマフラー”も、NRマジックが目指すコンセプトのひとつであるとのことだ。

 

次に、サーキットでレース用にチューンされたグロムに試乗。この車両は、中里さんがレースで使用しているもので、いわばNRマジックのワークスマシンである。ミニバイクレースの強豪が作った本気のマシン、期待と緊張感を感じながらコースインした。慎重にコーナーをパスし、ストレートに差し掛かったところでスロットルを全開。その瞬間に、ブッ飛んだ。全域でトルクが太いのだが、5,000回転から上の加速力が段違い。猛烈に速い。しかも、ピーキーで扱いにくいものではない。中回転域から高回転域まで、パワーの繋がりがスムーズなので、スロットルが開けやすい。だから速い。

 

どれほどのハイチューンドエンジンなのかと想像していたのだが、チューニング内容を聞いて再び驚いた。エンジンのベースガスケットがNRマジックのレース用に交換され、圧縮比こそ若干上がっているが、それ以外はノーマルのまま。マフラーはレース専用品のV-RacingグロムIIが装着され、回転リミッターをカットしサブコンを使用して燃調を取り直しているだけの状態なのだという。それだけで、これほど速くなるとは驚きと言うほか無かった。

 

装着するだけで確実にポテンシャルアップ。その上、無用な騒音も撒き散らさない。コストパフォーマンスは恐ろしく高く、スマートなパーツ達。NRマジックのグロム用パーツは、選んで間違い無しの逸品だ。

 

レーサーの試乗を行ったのは、関西ミニバイクレースの聖地と呼ばれる名阪スポーツランド。ツイスティなコーナーが多いテクニカルなコースのため、太いトルクを活かした立ち上がりの強さが光っていた。

PICKUP PRODUCTS

排気脈動を征すればマフラーを征す
流体力学に基づく独自設計

他にない独特な構造が特徴のNRマジックのマフラーだが、思いつきで作られているわけではなく、すべては理論の裏付けがある。基本的な設計思想は、流体力学に基づいたもの。流体とは“固体でない連続体”を表すもので、身近なものでは空気や水が流体を代表している。その流体の変形や応力を扱う物理学のことを流体力学と呼ぶ。マフラーの性能アップと密接な関係を持つ排気ガスは流体の一種。排気ガスが、ある構造に対し、どうのように運動するかを力学的に捉え、NRマジックのマフラーは設計されているのだ。中里さんは、少年時代にラジコンを趣味としていたという。当時、ラジコン飛行機に触れ、なぜ飛行機は飛ぶことが出来るのか? との疑問を持ったことをきっかけに、羽根と空気の関係性を学ぶため、独学で流体力学を身につけたという。(以下、商品価格は8%税込み価格)

 

V-Racing グロム II 8万2,080円
レース専用マフラー。速さを最重要視した、最強スペック。公道使用不可。

サイレンサーはセンター出しタイプで、バンク角の確保とマスの集中化を実現。

V-JET グロム “PVS” JMCA政府認証モデル 6万2,640円
独自のパワーバルブシステム(PVS)を装備する、ストリート用マフラー。耐久性に優れるオールステンレス製。音量:近接77db/加速71db。公道走行が可能な政府認証マフラーで、JMCA認証プレート付き。PVSを装備しないV-JET グロム JMCA政府認証モデルは5万7,240円。

サイレンサーには、パワー特性の向上に貢献する“トリプルジェット構造”を採用。3つの排気口は、排気ガスが渦を巻くように傾けられて配置されている。

5V-SHOCK Z グロム “PVS” JMCA政府認証モデル 6万2,640円
迫力の大口径テールエンドを持つVシリーズサイレンサーにPVSを装備。耐久性に優れるオールステンレス製。音量:近接77db/加速71db。公道走行が可能な政府認証マフラーで、JMCA認証プレート付き。PVSを装備しない-SHOCK Z グロム JMCA政府認証モデルは5万1,840円。

これがPVSの心臓部であるリードバルブ。これは高回転時の作動イメージで、排圧によりリードバルブが大きく開いて、効率良く排気ガスを排出して高出力化。低回転時にはリードバルブが閉じて排気経路を制限、排気ガスの抜け過ぎを防いでトルクフルな特性を実現。

グロムタペットカバー 6,264円
シリンダーヘッドを鮮やかに飾る。カラーは写真のブルーの他、シルバー、ゴールド、レッドから選択可能。装着に必要なOリングガスケットとボルト、専用レンチが付属する。

開発中の極秘パーツをスクープ。それが、このリヤサスペンション。最高レベルの性能と品質を持たせながら、リーズナブルな価格を目指し誠意開発中で、国内外の様々なコースで実走行テストを行なっているところだという。発売予定時期は2016年夏。期待大のパーツだ。

オーリンズ×NRマジック ワークス仕様リアサスペンション 20万880円
サスペンションのトップブランドであるオーリンズと、NRマジックのコラボレーションで生み出されたリアショックユニット。NRマジックがレース活動を通じて蓄積してきた、データとノウハウを注ぎ込んで開発されている。受注生産品。スタンダード仕様のオーリンズリヤサスペンションは7万4,520円(税込)

10スプロケットガード 8,640円
ノーマルのカバーと交換することで、軽量化とレーシーなルックスを実現。A2017アルミ製、アルマイト仕上げ、取り付けボルト付属。

11チェーンガード 8,640円
レース参戦に必要なチェーンガード。スプロケットへの巻き込み事故を防止する。A2017アルミ製、アルマイト仕上げ、取り付けボルト付属。装着にはスイングアームへの穴開け加工が必要。

12軽量クランクケースカバーボルト 1万638円
7075超々ジェラルミンを素材に使用し、硬質アルマイトで仕上げたハイクオリティなボルト。左右のクランクケースカバー固定に必要な23本をパッケージ。ワイヤーロック用の貫通穴がレーシー名雰囲気を醸しだす。純正品と比較して約128kgの軽量化を実現。isa製でカラーはEXゴールドとPTシルバーの2色。

13isa グロム リアスプロケット 各7,344円
スプロケットのトップブランドisaとのコラボパーツ。超々ジュラルミン削り出し製で硬質アルマイト仕上げ、高い耐久性を誇る。420サイズで、29T?40Tまで1T刻みでラインナップ。あらゆるコースレイアウトに対応可能。29T?40Tの12枚セットは8万8,128円もラインナップ。

14アルミハンドルKIT 1万2,960円
スポーツライディングに最適なポジションを構築。高剛性で強度に優れる7N01超々ジュラルミン製。カラーは、シルバー、ゴールド、レッドの3タイプから選択可能。ハンドルブレース、バーエンドキャップ、グリップが付属。

15グロムワンタッチゼッケンプレート 8,640円
レース参戦に必要なゼッケンプレート。専用ステーが付属するので、取り付けも簡単。レース専用部品、公道仕様不可。

16グロム張り替えシート革 7,344円
座面には撥水性に優れ、ライダーのホールド性を高めるエンボス革を使用。側面にはライディングの自由度を高める、滑らかな表面仕上げのレザーを配置した、スポーツライディングに最適なシートレザー。カラーは、写真の黒×赤と、黒×黒(Wステッチは赤)の2タイプが用意されている。

17レーシングベースガスケット 1,728円
全域でのパワーアップを手軽に実現するハイコンプガスケット。厚さ0.3mmのStage1と、厚さ0.2mmのStage2がラインナップ。圧縮比が上がるため、ハイオクガソリンを使用。レースで仕様する場合はレギュレーションを要確認。

BRAND INFORMATION

エヌアールマジック

住所/奈良県御所市幸町197
TEL/0745-62-1680
FAX/0745-64-2255

創業30年を数える、老舗のミニバイクパーツメーカー。2ストローク用チャンバーから、4ストローク用マフラーまで幅広いラインナップを誇る。ミニバイクレースの世界では、広く知られている強豪。グロムが発売された当初より、レースマシンに使用。実戦で鍛え上げられたパフォーマンスは本物。原材料から製品化まで”made in japan”にこだわりながら、リーズナブルな価格も魅力。