エンジン腰上チューンだけでは今ひとつ…… クラッチとオイルポンプを強化しましょう!!

登場車両：ホンダ リトルカブラ

昨年末、ガレージの仲間に加わった１株、Ｃ70行灯号。フレームナンバーから調べると、1972年に鈴鹿製作所で生産された型式Ｃ70Ｚのようだ。先日、カブ仲間のＣ90Ｍ２に引っ張られてバイパス全開で走ったら信号待ちのときにホンワカ、オイルが焼ける匂いがしました……。走行距離が少なくても、やるべきことはやりましょう。

50㏄のスーパーカブやリトルカブは法定速度30㎞/hなので、仮に「プラスα」の速度で走ったとしても、燃費は相当に良いはずだ。エンジンチューニングやオーバーホールの話題になると「燃費はどうなんですか？」と訊ねられる機会が、近年、なんだか増えている。

エコな世の中になっているのは当然ですが、時代はハイブリッドですからね～。ちなみにこの水色カブラのお話ではなく、ご本家スーパーカブ50をベースに88㏄にモディファイしたカブ仲間のお話では、我々のカモメカブ90のすっ飛びツーリングに同行して、スロットルの開けっぷりがかなり良い走りながらも、リッターあたり58㎞／ｈをマークしたそうだ（ハイオクガソリン利用）。つまり4.5リットルのガソリンタンクを満タンにしてスタートすれば、250キロは走れる計算になる。要するにツーリング途中で１回満タンにするだけで、大阪あたりまでは走り切れてしまう単純計算にもなる。

やっぱりカブってすごいよね～♪ この御方のチューニング内容は、以前の水色カブラと同じくシフトアップ製ノーマルヘッド用88㏄キットとデコンプ付きハイカムの組み合わせで、吸排気系はノーマルのままだ。3速ミッションのエンジンで、ファイナルレシオは15× 36Ｔ仕様である。こんな感じで登り坂のワインディングを我がカモメC90改にピタッとついてガンガン登ってくる走りをしても、その燃費なのだから上出来だろう。DE耐！モトメンテチームの経験では、横型エンジンはMAX9000rpm以下で走れば、かなりのチューンドエンジンでも、リッターあたり45キロはくだらないハイパフォーマンスがウリなのだ。

ということで、ここではエンジン腰下のモディファイを進行しますが、オイルポンプについては、個人的判断で敢えてオイルシェアを変えず、オリフィス径は拡大しませんでした。

メインスタンドやサイドスタンドで作業するのではなく、ハンドルを支えに車体を左側へ傾けて作業することで作業性は明らかに良くなる。ズッこけてしまうと後々面倒なクラッチレリーズ部分も復元しやすい。

マフラーを外してクラッチカバーを外しやすく段取りしてからメンテナンスリフターにハンドルを引っ掛けて徐々にリフターを下げているが、軽いバイクなので傾けて台に引っ掛ければ良いだろう。

横型エンジンには12V用と6V用の強化ポンプ以外にCD90専用のさらに大きなサイズの強化ポンプがあるシフトアップ。12Vと6Vではスピンドルのカップリング形状が異なる。価格は税抜3000円。

パワーアップエンジンに対応しクラッチのフリクション面積を増やした一次遠心強化クラッチを組み込む。ノーマルも強化品も表蓋の内側の部屋が遠心式オイルフィルターとなりクランクへのオイル給油をケアする構造だ。

アフターメーカーによっては強化スプリングのテンションが強過ぎてシフトチェンジが重くなってしまう傾向があるが、シフトアップ製は適度な踏み込みテンションだ。

前後14インチのリトルカブはご本家スーパーカブの前後17インチと比べれば、やっぱり直進安定性はやや劣っている。それでもフレキシブルな走りやワインディングが楽しいのがリトルカブだ!!

CD90専用サイズの大型オイルポンプを取り付けられない理由は、この遠心クラッチボディ端面との干渉問題。組み付け時に最低でも３ミリ近くのクリアランスが無いとリフト時に干渉してしまうのだ。

左の複雑なキリヌキ穴のガスケットが12Vエンジン用で右の丸抜きタイプが6Vエンジン用オイルポンプガスケットだ。12Vなのに6Vガスケットを使うとエンジンオイルが通過できず遮断されて焼き付きます!! 強化ポンプは本体が厚い。

昔のスーパーカブには13Tが多かったが、リトルカブはキック３速もセル付き４速も14Tドライブスプロケットが標準だ。ザム製15Tドライブスプロケットに交換。これでツーリングも楽になる。

今回のモディファイが完了したことでチューニングプランはひと段落。しばらくはひたすら走っていただき、後々、不具合が出たときやバージョンアップのときにはご相談を伺おうと思います。