門司という歴史のある港町に拠点を置くマッドマックス。海岸線に走る国道沿いにある大きな倉庫型の建物の裏には広大な駐車スペースが確保されているが、ここにはかつて輸出待ちの国産バイクが大量にストックされていたという。
「以前は関門オートという名前の輸出業だったんです。社長はとてもユニークな人で、バイク関係の商売を国内だけではなく海外にも拠点を置いて仕事をする。それは今でも変わりませんが、2004年の4月にマッドマックスを立ち上げてからは、パーツ販売という路線に変更してきたということなんです」
インタビューに答えてくれるのは、小野誠司さん。実質マッドマックスの店長である小野さんを筆頭に、このショップを切り盛りするメンバーは若いスタッフばかりである。店内には数多くのバイクパーツが展示されていて、奥では通販に対応するための作業が忙しく行われていた。
主に扱うのは、ミニバイクやスクーターに装着するドレスアップ用パーツや、チューニングパーツ等。その他には、車種を特定しない汎用パーツ(ウインカーやバックミラー等)も数多くラインナップしている。そして大きなもうひとつの特徴ともなっているのが、国産の絶版スポーツバイクに適合する各種パーツの販売だ。それはウインカーやテールライト、シートなどが多いが、メーカーが完全に手を引いたモデルを対象にした外装パーツを揃えているのは、個性的であり、マッドマックスのもう一つの顔でもある。
若き店長の小野誠司さんは、昨年からのスタッフ。以前はまったく違う業種で中間管理職だったが転職。元来バイク好きで自身はカワサキ車のファンでもある。若いスタッフの牽引役である。
マッドマックスは、この門司のショップの他に、タイのバンコクと香港(中国/広州市)、そして台湾にも拠点を置いている。最近のスクーターを始めとするミニバイク市場が活発なアジアでの活動は、レースのシリーズ参戦等、積極的であり、そこに参戦する日本人のライダーをサポートするなど、モータースポーツ分野での経験を元に、新しいパーツ開発を手がけているのだ。日本でも、スクーター系のレースに参戦したり、走行会を主催したりと、やはりモータースポーツの分野には積極的であり、そのノウハウはグローバルにマッドマックスの活動を支える根本となっている。
現在、アジアでも特にタイと台湾ではモータースポーツ熱が異常な盛り上がりを見せていて、どんなカテゴリーにおいても参加者が増える一方という状況である。それは四輪二輪に関わらず盛況で、そのスタート地点とも言えるミニバイクやスクーターの部門でも実に激しいバトルが展開されている。どんどんと上を目指そうというライダーのために、日本のメーカーやショップも全面的にその状況をバックアップしているが、マッドマックスもまた、率先してレースサポートを行っている。特に「若い日本人ライダーに、今のアジアのバイクブームを体感してほしい」との想いは強く、国内レースを制して世界へ挑戦するライダーへのサポートはもちろん、成績だけでなく将来に期待がもてる日本人ライダーを発掘し、アジアのミニバイクレースへの参戦サポートなども展開している。
日本の若きライダーも、今や活動のフィールドを国内だけではなく、広く世界に求める時代となった。その登竜門がアジアでの活躍。そんな図式が成り立っている時代となったと言えよう。マッドマックスは、国内とアジアの両方に拠点を置き、グローバルな立場において二輪業界の活性化に積極的なのである。
門司のショップには、デモバイクとしてのグロムが展示してあった。グロムは2013年に発表されたホンダの小型二輪車で、生産拠点はタイである。国内での販売は6月からとなり、その運動性や遊び心満点のスタイリングには多くの興味を集めているが、マッドマックスでは、グロムを素材に様々なドレスアップパーツを開発した。現在、車検もいらず税制面でも有利な125cc以下の小型二輪車には改めて注目が集まっているが、大人のセカンドバイクとしても、若者のアイテムとしても大きくクローズアップされることが多いこのモデルを対象に、基本的にはすべて「ボルトオンパーツ」として開発するというマッドマックス。その理由は、リーズナブルで気軽に遊べるということをポリシーとしているのだ。
「やはりミニバイクやスクーターというのは、バイク乗りにとって気軽でなくてはなりません。だからこそドレスアップパーツというカテゴリーも成り立つわけで、それは単純に遊び心ですよね。本気でパフォーマンスを上げるパーツも重要ですが、もっとリーズナブルにバイクを楽しむことも必要だと思うんです。だから価格帯の低いパーツにも手を抜かないでしっかりと開発していきたいんですよ」
小野さんは、マッドマックスの商品郡をカテゴリーに分けて分析している。それは様々なライダーにレスポンス良く答えていくというこのショップの大きな特徴でもあるのだろう。
前後12インチホイールのミニバイク分野では、先駆者的存在のホンダ。1970年代にはダックスやシャリー。モンキーは今でも生産されているホンダの看板バイクでもある。そんな歴史のあるホンダ製のミニバイクに新しいスタイルを提案したのがグロムだろう。従来の50ccベースではなく、125ccというエンジンでデビューしたこのモデルは、単純なファニーバイクではない。もちろん初心者にも優しいカテゴリーながら、かなりの走行ポテンシャルを発揮するハイパービークルとして、その存在感をアピールしているモデルなのだ。そんなグロムをベースに徹底的なモディファイを施したマッドマックス。しかもほぼすべてのパーツが改造なしのボルトオンで装着できるというのである。ここではその詳細を紹介する。(パーツ価は税抜き価格表示)
住所/福岡県北九州市門司区西海岸3-1-41
TEL/093-331-5351
FAX/093-331-1524
営業時間/10:00-18:00
定休日/日曜・祭日
E-mail/info@madmax.jp
門司港からの海岸線を走る国道199号線に面した建物は、かなりの大きさがあり、一階がパーツ販売部となっている。建物がグリーン基調なのは、かつてカワサキ製バイクの逆輸入も手がけていた名残りでもあるという。現在は、車両の輸出入や販売は基本的には行わず、パーツの販売拠点として活動しているが、将来はどんな展開を見せてくれるか楽しみなショップでもあるのだ。
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