あらゆるシーンにて愛車の魅力が増すマフラー
取材協力/株式会社ケイツー・テック  取材・写真・文/木村圭吾  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2015年3月18日
レーシングライダーとしてマシンの開発にも携わった久保和寛さんが率いるマフラーメーカーがケイツー・テックだ。同社がリリースしている「GP-Rシリーズ」は、エキパイを手曲げとすることで、スタイルやポテンシャルアップを果たしている。手間の掛かる製作方法だが、装着したときの満足感は比類無いといえるだろう。

INTERVIEW

手間を掛けて作り出されるマフラー
小排気量用であっても妥協はしない

2004年に排気系をメインとするパーツメーカーとして設立されたのが、ケイツー・テックだ。2ストローク用のエキゾーストシステムである「チャンバー」の製作においては、国内でも屈指の存在となっており、小排気量から大排気量までのユーザーに高い支持を受けている。

 

「“見よう見まね”で、作れるようで、作れないのがチャンバーです」と代表の久保和寛さん。「一般的に4スト用のマフラーがパイプを曲げることが製作過程の主であるのに対して、チャンバーは溶接であり、その技術力が求められます。それに排気の熱による膨張を考えて作ることが必要であり、それが得られるパワーにも関わってきます」

 

久保さんは元々はレーシングライダー。1994年の地方選手権では、鈴鹿サンデーロードレースのGP125クラスチャンピオンをはじめ、翌1995年から2003年までは全日本選手権へと活躍の場を移し、その間には世界GPの檜舞台へと、国内外のサーキットを駆け抜けたのである。さらに、レーシングマシンのヤマハTZ125の開発ライダーや、レーシングスクールの講師としても腕を奮っていた経歴を持っているのだ。それと併行して溶接技術を取得し、そのレベルアップにも余念が無かった。つまり、久保さんには、バイクに乗って違いを感じ取り、フィードバックさせるための開発や解析技術に加え、製品を作るために必要な溶接職人としてのさまざまなノウハウも蓄積されているのである。エキゾーストによるパワー&ルックスアップに必要な総合的な知識と技術を持ち合わせているのが、ケイツー・テックというメーカーの特色と言えるだろう。

 

ケイツー・テックでは創業直後から2ストローク用のチャンバーと共に、4スト用のマフラーも手掛けており、今回取り上げるのは、その小排気量向けのGP-Rシリーズだ。

 

「小排気量のマフラーだから、大排気量に比べたら簡単に作れるかといったら、できません。製品化する上で特に難しいのが、音量を下げることですね。ビッグバイク用のようなサイレンサーならば容量が大きいですから、音量を下げるのは簡単です。でも、それを小排気量のバイクに装着してカッコいいかといえば、絶対的にカッコ悪い。車体が小さいですから、それに合ったサイレンサーの大きさでなければなりません。ですから、容量が少ないぶんは内部構造を工夫しています。また、音量が下がるだけではダメで、発する音の質も重要です。こもらすような、太めの音にしたいので、そうなるまで改良を加え続けます。さらに、音量は落としても、性能は落とさずが大前提です。ユーザーの方々からは『サイレンサーが小っさいくせに、いい音させる』との声をいただいており、また次の製品開発への苦労の道を歩むチカラになってますね」

 

「どれだけ性能が高くても、カッコ悪い製品は作りたくない」と久保さん。マフラー交換によって得られる性能もさることながら、スタイルアップが果たせることがケイツー・テックのポリシーでもあるのだ。前述の小排気量車の車格に対するサイレンサーの大きさへのこだわりも、そのひとつといえる。そして最も心血を注がれるのがエキパイの取り回しだ。

 

「開発段階では、数ミリ単位で調整するのですが、途中でスタッフに呆れられることも度々です(笑)。ですが、製品化するならば自分が気に入った物じゃないと」

 

GP-Rシリーズでは、エキパイに手曲げのステンレスパイプが用いられているが、これも描くアールの美しさに魅力を感じてのことだ。

 

「通常の機械曲げでは不可能なカタチを作れ、また、曲げの部分に段差が出来ないのも手曲げの特色だと思いますし、そのぶん排気もスムーズになっていると思います。1本1本パイプに砂を詰めて(曲げ部分のシワの発生を防ぐため)、バーナーで炙って曲げ、さらにステンレスでは表面が酸化するので、それを除去するために磨いて……と手間が掛かります。ですが、やはり見比べると手曲げだからこその魅力があり、だから成し得るスタイルアップが可能になると思っています」

 

こだわり抜いた曲線から生まれるスムーズなエンジンフィーリングとバツグンのサウンド。何より所有欲を満たしてくれる美しさを秘めたマフラーが、ケイツー・テックの「GP-Rシリーズ」なのである。

 

PICKUP PRODUCTS

実走テストで走行性能を煮詰める
サーキットでの全開走行も

ケイツー・テックの「GP-Rシリーズ」は、その開発段階では代表の久保さん自らが実走テストを繰り返しており、ストリートのみならずサーキットに持ち込んでの全開走行も行われて煮詰められていく。その実力は、2008年の鈴鹿mini-moto4耐OPENクラスにおいて予選4位、決勝レースでは一時期トップを独走したことでも証明されているといえるだろう。「GP-Rシリーズ」は、カスタムパーツとしてマフラーに求められる要素、すなわち、パワーアップと乗り易さ、手曲げによる妖艶なアールと、ミリ単位で調整された取り回しによるスタイリングのアップ、そして音量は抑えながらも音の質を高めたサウンドを高次元で達成している逸品なのである。

ホンダ グロム GP-R チタン サイレンサー形状/3ピースエンド

ホンダ グロム GP-R チタン サイレンサー形状/モタードエンド

GP-Rシリーズならではの美しい曲線は見る者を圧倒する

グロムマフラーは、S5エンド・モタードエンド・3ピースエンドの3タイプのサイレンサー

ホンダ PCX GP-R サイレンサー形状/スタンダード 3ピースエンド

中間加速を重視した性能とステンレス手曲げエキパイの美しさを兼ね備えたマフラーだ

ヤマハ シグナスX GP-R サイレンサー形状/メガホン

ヤマハ シグナスX GP-R サイレンサー形状/スタンダード 3ピースエンド

ヤマハ シグナスX GP-R サイレンサー形状/テーパー M1エンド

10スズキ アドレスV125 GP-R サイレンサー形状/メガホン

11スズキ アドレスV125 GP-R サイレンサー形状/スタンダード 3ピースエンド

12スズキ アドレスV125 GP-R サイレンサー形状/テーパー M1エンド

BRAND INFORMATION

株式会社ケイツー・テック

住所/大阪府羽曳野市野110
TEL/072-952-2958

世界GPの経験もある国際ライダーの久保和寛氏が率いるチャンバー・マフラー製造・販売会社。サーキットで実証された性能はもちろんのこと、性能追求によって得られる造形美にもこだわる職人集団だ。