写真/細谷智昭 文/淺倉恵介 構成/原付RIDE編集部
    掲載日/2012年1月13日

次々とリリースされるニューモデル、
なぜ今125がアツいのか?

今、125ccクラスのスポーツバイクがアツい。日本のメーカーも様々なモデルをラインナップしているし、ヨーロッパのバイクメーカーであれば、本当に多彩な車種を用意している。では、なぜヨーロッパでは125ccクラスが充実しているのだろう? EU圏にとって125ccクラスは日本の50ccクラスに相当するカテゴリー。多くの国で自動車免許があれば運転が可能だし、保険料も安い。125cc以下のバイクで何年かの運転経験がないと、大排気量バイクの免許が取得できない国もある。そのため、彼の地のバイク乗りの多くは125ccクラスを経験しているし、バイクメーカーにとっても重要なマーケットとなっているのだ。

 

対して、日本国内でリリースされている125ccクラスのバイクは必ずしも多くはない。なぜか? 原付免許では乗ることができず、高速道路を走ることもできない125ccクラスは、日本では中途半端なカテゴリーと認識されているからだ。そのために日本の125ccクラスはスクーターと実用車が中心。正直なところ、走りを楽しむために作られたスポーツモデルはあまり存在しない。

 

日本の125ccクラスは、なぜ実用車中心なのだろう? ひとつは経済性が高いこと、車両価格自体が安く、また任意保険が非常に安くかけられる。もうひとつは、50ccに比べて圧倒的に動力性能が高いことだ。ここで考えてみよう、コストが安いこと、動力性能が高いことは、排気量に関わらずどんなバイクでも歓迎されることだ。だとするのなら、125ccクラス独自のメリットが俄然立ち上がってくる。その上で、マシンが魅力的ならば、言うことがないではないか。

 

今回は、国内外5つのメーカーから、125ccクラスのスポーツバイクをピックアップ。一同に集め、インプレッションを行うことで、それぞれのマシンのキャラクターを浮き彫りにする。紹介するマシンはホンダのCBR125R、ヤマハのYZF-R125、アプリリアのRS4125、KTMのDUKE125、ハスクバーナのSMS4の5台。国内メーカーのマシンも、国内販売されていないものばかりなので、すべて輸入車となる。個性溢れる5台のマシンのインプレッションをお届けしよう。

HONDA CBR125R

■SPECIFICATIONS

エンジン=水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ

ボア&ストローク=58×47.2 mm

最大出力=9.8 kW / 10,000 rpm

最大トルク=10.41 Nm / 8,000 rpm

全長×全幅×全高=1,946 × 704 × 1,089mm

ホイールベース=1,313 mm

シート高=793 mm

車両総重量=136.9 kg

価格=420,000円

スペック詳細はコチラ>>

誰もが楽しめる全方位型高性能マシン
親しみやすいフレンドリーな乗り味

HONDA CBR125RホンダのCBR125Rは、日本でも人気の高いCBR250Rとデザインイメージを共有。生産されているのも同じタイであり、この2台は兄弟車的な関係にある。だが、250のフレームがスチールパイプのダイヤモンドタイプなのに対し、125はツインスパーを採用。姿形は似ていても、走りのキャラクターを左右するフレーム形式が異なるというのが興味深いところだ。

 

エンジンはトルクが全体的に太く、低回転域からピーク領域まで扱いやすいのが好感触。回転上昇もスムーズで、全域で振動が少ない。小排気量のスポーツバイクというと、とにかく高回転でパワーを絞り出すというイメージが強いが、そういった気難しさとは無縁だ。フラットなトルク特性のせいで、ピークパワーのパンチ力が弱く感じられるのは好みが別れるところだが、扱いやすさはピカイチだ。

 

試乗車はバックステップが装着されていたのだが、それでもポジションはゆったりとしており、窮屈さは感じられない。シャシーは安定感が強く、しっかりとした手応えが感じられるもの。スタビリティの高さはワンランク上で、特に高速域での安定感の高さは特筆モノ。コーナリング特性もニュートラルで、ハンドリングにヘンなクセは皆無。とてもフレンドリーな乗り味で、乗り手は気負うこと無く走りを楽しむことができる。

 

エンジンはSOHC2バルブで、最高出力は約13PSとやや控えめ。フロントブレーキのキャリパーは対向4ピストンが常識の中、片押しピンスライドの2ピストン。フレームもツインスパーとはいえ材質はスチール製であることなど、スペックだけ並べればライバル達から見劣りがするCBR125R。だが、フレキシブルなキャラクターはマシンのポテンシャルを引き出しやすく、実際の速さは引けをとることはない。完成度の高い1台だ。

 

吸気にはホンダ独自の電子制御式インジェクションPGM-FIを採用。スロットルボディ径はΦ30mm。ボアΦ58mmと47.2mmのストロークは、125ccクラスのスポーツバイクとしては標準的なもの。

フロントのブレーキキャリパーは片押しピンスライド2ピストンだが、Φ276mmの大径ブレーキローターとの組み合わせで、十分な制動力を発揮する。コントロール性も高い。

メーターパネルは、大きなアナログ式タコメーターを中心に、液晶マルチインフォメーションパネルを組み合わせる。燃料計や時計が常時表示されるため、ユーティリティは非常に高い。

CBR125Rの特徴は、なんといっても全体的なパッケージングが優れていること。全体的に安定志向のハンドリングは、どんなレベルのライダーが乗っても、楽しく走ることができる安心感がある。