取材協力/パパコーポレーション  記事提供元/モト・メンテナンス編集部
※この記事は雑誌『モトメンテナンス』129号 P14~15に掲載された内容を再編集したものです。記事の内容は雑誌掲載当時のものです(2016年12月16日発売)
掲載日/2017年4月27日

使い勝手が圧倒的に良いスプレーゾイル
久しぶりに走らせるバイクへの、ひと吹き!

メンテナンス初心者にとっても使いやすく、高い効果を実感できるとしてリピーターを増やしているのがスーパーゾイル・スプレーである。エンジン内部の部品用としての使い勝手はもちろん、車体各部へもひと吹きすることで、渋かった動きがスムーズに復活。もちろん、メンテ初心者のみならず、ディープなサンメカからベテランメカニックまで、ユーザーの技術レベルに関わりなく、高い効果と使い勝手の良さを認められているのもスーパーゾイル・スプレーの特徴だろう。金属表面のただれを改質再生し、摺動面を平滑にする効果を持つのがスーパーゾイルの効果だが、高品質な化学合成オイルにゾイル成分を添加し、それをエアゾールスプレーに詰めることで、どんな場面でも「使えるケミカル」と呼ばれているのがこの商品の特徴でもある。

SUPER ZOIL SPRAY
280ml 税別価格◎2,200円

潤滑したい患部へ直接吹付けることができるスプレーケミカル。高性能オイルにスーパーゾイル成分を配合し、エアゾールスプレーとして販売。その使いやすさからリピーターが増えている商品でもある。エンジン組み付けオイルとしても高く評価されている。ガレージの必需品だ。

まずはスーパーゾイルの効果を再確認しておこう。金属と金属が擦れ合う部分は、一見ツルツルに見えるものだが、顕微鏡でクローズアップすると、実は、想像していた以上に凸凹で細かなキズが多いことに気が付く。スーパーゾイル成分は、金属同士が擦れ合うときに発生する摩擦熱に反応し、金属化合物が摺動面に形成され、それがただれを埋めて滑らかにし、滑り抵抗を高める効果を持っている。高温になる摺動面では、より大きな効果を発揮するのがスーパーゾイルでもある。

2サイクルエンジンならスパークプラグを取り外してプラグ穴から吹付けよう。4サイクルエンジンで、しばらく( 数年間) 始動していなかった場合は、タペットキャップやカムカバーなどを取り外し、メカニズム部分へタップリ吹付けることで初期カジリを回避することができる。カムチェーンへもスプレーしよう。

海外製品に多い塩素系溶剤を含有した添加剤の場合は、塩素に金属表面が反応し(金属表面を溶かす)、摺動抵抗を低減しているのが特徴だ。しかも、塩素の含有によって燃焼時に有害ガスを発生するため、環境性能が著しく悪いのだ。一方、摩擦熱によって金属化合物を形成し、摺動抵抗を低減しているスーパーゾイルは、環境にも優しいのが大きな特徴でもある。そんな金属表面を改質再生する効果を「トリートメント効果」と呼ぶが、この呼び方を使い始めたのもスーパーゾイルが最初だった。

過走行車のように使い込まれたエンジンでは、摺動部分の抵抗が増え、スムーズに回りにくくなり、それが影響して微振動が発生するケースもある。そんな過走行エンジンでも大きな効果を期待できるのがスーパーゾイルだ。数多くの旧車オーナーから絶大な支持を受けているのは、そんな「ゾイル効果」を実感したユーザーが多いからに他ならない。

もちろんハイレスポンスな高性能エンジンでも、摺動抵抗の低減によって、これまで以上にスムーズな作動性を得られ、オーバーヒート対策のひとつとしても効果的である。高速走行時に、ある回転域だけで起きていたバイブレーションがスーパーゾイルの添加によってマイルドになった、といったお話は珍しくない。

旧車のポイント点火システムにはポイントカムとポイントヒールを潤滑させるためのオイルフェルトが取り付けられている。そのフェルトに染み込ませるように吹付けると効果的だ。

スロットルやクラッチケーブルは、体感的に潤滑時のビフォー/アフターを感じやすいが、切れて初めて潤滑不良に気が付くのがメーターケーブルだ。定期的に注油しておきたい。

アウターケーブルからインナーケーブルを引き抜き、細かなコイル状になったケーブルのコンディションを確認してみよう。真っ黒でベトベトだったら容器に入れたガソリンに浸すと良い。

アウターケーブル内側のコンディションも重要だ。カサカサに乾燥していたらケーブルが熱を持ち切れやすくなってしまう。内部にスーパーゾイル・スプレーを吹付けておこう。

ケーブル下側から吹付けたらエンド金具を持ち上げて、吹き付けたオイルがある程度奥まで流れ込むように促すのが良い。ウエスをエンド金具に寄せてオイルを流し出そう。

抜き取ったインナーケーブルが汚れていたらガソリンや灯油で洗浄し、乾燥してからスーパーゾイル・スプレーを染み込ませよう。コイル状のケーブルはオイルを保持しやすい。

機種によっては雨天走行時の雨水がケーブルを伝って立ち上がらないように、エンド金具とケーブルの間にはオイルシールが組み込まれる。洗浄時に落下紛失させることが多いので要注意。

今回は、20年以上に渡って倉庫で眠り続けていた(と思われる)帰国子女のスーパーカブのメンテナンス時に利用してみた。走行距離が500マイルと極めて少なく、こういった固体はエンジン始動時に様々な箇所へストレスを与えてしまうことが多い。特に、エンジンの主要可動部へはしっかりスプレーするのが良いだろう。タペットキャップを取り外せば、ロッカーシャフトやタペット周辺、カム山へも吹付けられ、金属の極細ノズルに交換すれば(他製品スプレー用廃ノズルを取り付けてみた)、先端を曲げることでバルブステムシール周辺に直接スプレーすることができた。また、カムスプロケットやカムチェーンへも、たっぷりスプレーした。この作業を行っておけば、しばらく振りのエンジン始動でも安心だ。

ブレーキレバーやクラッチレバーのピボット部( 支点部)が潤滑切れを起すと作動性が悪くなり、重くなったりキーキー音が出始めることもある。そんなサインに気が付いたらひと吹きしよう。

スロットルの操作性ひとつでそのバイクの乗り心地が様変わりする。スムーズかつ軽く作動してこそ本物だ。単純に注油やグリースアップするのではなく、まずは部品を分解して状況確認から始めよう。

スロットルケーブルはハウジングに取り付けられた状態のままでも注油することができる。乾燥カラカラのときにひと吹きすることで、その違いは手に取るように明確に伝わる。

復元前にハンドルやスロットルパイプ内側を拭き取ろう。汚れたグリースや砂利をキレイなウエスで拭き取ってから注油するのが基本中の基本だ。汚れたままの注油は逆効果なこともある。

フロントブレーキだけではなくリアブレーキペダルの作動性も確認しよう。ピボット周辺の汚れをウエスで拭き取り、サイドスタンドでペダルピボット部分にスプレーを吹き、オイルが流れ込むように促すのが良い。

ノズルの改造でより良い吹付け!!スーパーゾイル・スプレーのノズルは樹脂パイプ製だが、短くカットすることでメンテ箇所によっては使い勝手が良くなる。また、不要になった他製品の極細金属ノズルを利用することで、極狭い箇所へのスプレーも容易に行えるようになる。廃ノズルも大切に使おう!!