取材協力/株式会社ストレート  取材・撮影・文/木村 圭吾  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2015年06月03日

趣味としてバイクやクルマのメンテナンスを楽しむ『サンデーメカニック』をターゲットにしたツールショップの先駆け的な存在がツールカンパニー・ストレートだ。さまざまな工具の入手が容易かつリーズナブルになったことは「サンメカ」の楽しみの拡大に大きく貢献してくれている。車載工具をアップグレードしたいビギナーにとっても、その充実の品揃えとスタッフの確かな知識は頼れるショップといえるだろう。

INTERVIEW

まずは覗いてみることから始めよう!?
気軽に立ち寄れるツールショップ

全国展開するツールショップの先駆けがツールカンパニー・ストレートだ。同店の創業以前から各地に工具を取り扱う「工具商」は存在していたが、そのほとんどが「プロの整備士」を相手にした店で、アマチュアが気軽に立ち寄れる雰囲気ではなかったのだ。

 

そんな中で、ストレートは顧客をプロに限定せず、趣味でバイクやクルマいじりを楽しむ『サンデーメカニック』もターゲットとした品揃えを展開してきた。入りやすい店構えと多彩な工具が陳列される空間は、サンメカにとって夢の空間であり、また実際に手にする機会が少なかった特殊工具を身近な存在にしてくれた頼れる工具専門店となったのである。

 

店名「ストレート」には、商品とユーザーを「直接結ぶ」という意味が込められていて、その想いは多くの商品がサンメカにも手の届きやすい価格帯に設定されていることにも現れている。多数展開されているオリジナルツールは、リーズナブルでありながらも高いクオリティーを持ち、消耗品を含まない物であれば、おおむね6ヵ月間。「FLAGブランド」では一部を除き永久保証というのもうれしい限りだ。なお、ツールの使用感などは随時フィードバックされ、使いやすさや品質向上にも余念がない。さらに顧客からのリクエストに応じて商品化されたツールも多く存在し、それらはプロにも重宝されているという。

 

創業から20年以上が経ち、現在の店舗数は全国28店。そして、オリジナルツールもバイク専用品だけでも200点以上と大きな成長を遂げているが、いつまでも変わらないのは敷居の低さ。これからメンテを始めるライダーも、ぜひ気軽に立ち寄ってみよう。

 

まず、ビギナーはどのようなツールを選んだら良いのかを、大阪市鶴見店 店長の釘島隆人さんに伺った。

 

「まずは車載工具のグレードアップでしょうか? 具体的なメンテナンス作業の提案としては、自分に合ったライディングポジション作りですね。左右のレバーやハンドルの取付角度が少し変わるだけでも操縦性や快適性が向上しますから。その後はワイヤー類に注油するインジェクターや、チェーン調整に必要なツールといった感じで増やしてみるのはいかがでしょう」

 

「気をつけていただきたいのは、ネジやボルトを締め過ぎることです。もしも捩じ切ってしまったら、かなり厄介なことになりますからね。そういった意味では、私が手にしているトルクレンチこそ、ビギナーの人に使って欲しいツールと言えます。『どんなツールがいいのか』などと悩んだならば、遠慮無くご相談ください。目的や御予算に合わせた提案ができると思います。ストレート各店でも同様の対応をさせていただきますので、まずはお気軽にいらしてみてください」

 

ネジやボルトをちょっとだけ緩めるだけでも、適正なツールが無ければ何も始まらない。ストレートの店内には、実に多様なツールがあるが、各ツールが作業の目的や精度、効率や安全性などの存在理由があるのだ。

 

例えば、プラスドライバーひとつをとってみても、柄からネジと接する先端部分までの長さが何種類もあったりする。大半は標準的なドライバー1本でカバーできるが、時には短い方が具合が良かったり、奥まった場所にあるような場合は長いものが必要になったりするというわけだ。また、代用品で何とか凌いでいたのが、専用品を導入したら作業時間が大幅に短縮されることもあり「もっと早く手に入れておけば」と後悔することも少なくない。

 

ツールを通じてバイクに触れることは、走ることとはまた違ったバイクの楽しみ方のひとつと言える。ただし、それは正しい工具を正しい方法で使うことが前提となる。車載工具のグレードアップやセット工具の購入など、ストレートには愛車メンテナンスのステップアップに必要なアイテムと情報が用意されている。もしツールの種類や使い方で迷いがあったら、ストレート各店で相談することが『正しい』解決法といえるだろう。

PICKUP PRODUCTS

ストレートのオリジナルツールによる
ミニバイクのタイヤの交換

ツールがあれば、整備や修理、カスタムなどバイクに関するすべてのことが自らの手で可能になると言っても過言ではない。こちらでは、ストレートのオリジナル工具を使ったミニバイクのチューブレスタイヤの交換行程を紹介しよう。使われる工具は、いずれもがタイヤ関連の作業以外には出番の無い特殊工具であるが、それらが比較的手の届きやすい価格で手に入れられ、さらに長い期間に渡って使えるクオリティーがあることは特筆すべき点だろう。なお、作業画像に登場していないが、新しいタイヤのビードを出すために、コンプレッサーも必要となる。なお、どんな作業でも安全には十分留意し、事故やケガなどが無いようにしよう。

 

タイヤ交換に必要な基本的なツール。前列左から時計回りに、リムプロテクター、ビードブレーカーバイク用、ビードワックス、タイヤバルブコアツールミニタイプ、タイヤレバー(300mmを3本)。

タイヤバルブコアツールミニタイプで、バルブのコア(ムシと言われることが多い)を取り外す。タイヤ内のエアが急激に放出されるので驚かないように。

ビードブレーカーで古いタイヤのビード(ミミとも言われる)を外す。タイヤ全体を回しながら、2~3カ所を押す。

タイヤレバーでホイールを傷付けないように、リムプロテクターを装着。

タイヤレバーをホイールと古いタイヤの間に差し込んで、両者を分離する。タイヤレバーを入れる間隔は、あまり広くせず7~8cmで。3本目を差し込んだら、1本目を抜いて、3本目の隣に差し込むを繰り返して、ホイールからタイヤを外す。

タイヤを交換する際には、同時に手前のバルブ(タイヤバルブL型タイプバイク用)も交換しておきたい。ゴム製品だから紫外線などで劣化すると、エア漏れの原因になるからだ。真ん中はL型タイヤバルブ装着ツール、上はタイヤバルブカッティングプライヤー。

ホイールの裏側からタイヤバルブカッティングプライヤーを用いて、バルブのゴム部分をカットする。バルブの交換行程で用いられる工具は絶対的に必要な物ではない(他で代用も可能)が、あれば作業性が格段に向上する。

古いバルブをホイールから取り外したら、新しいバルブを装着する。この際に用いられるのが、はL型タイヤバルブ装着ツール。てこの原理で余計な力が不要で、確実にバルブをホイールにセット。このツールはユーザーからのリクエストで生まれており、ストレートが特許も持つ。

ここからは新しいタイヤの装着となる。ホイールと接触するビード部分の両面にビードワックスを塗布する。

10リムプロテクターを装着し、タイヤレバーを使ってタイヤをはめる。古いタイヤの取り外しと同様に、使うタイヤレバーは3本で、間隔は7~8cm程度。作業時は膝などを使ってタイヤを押さえると良いだろう。

11コンプレッサーを用いてタイヤにエアを充填する際に、必要となるのがエアゲージだ。タイヤのエアは自然と徐々に抜けていくものだから、可能ならば乗り出す前に、少なくとも2週間に1回程度はエア圧をチェックする習慣をつけておこう。

12まずはコンプレッサーでエアを送り込んで、新しいタイヤのビードを出す。パン、パン、と2回ほど破裂音のような音が鳴ったらビードが出た目安だからエアを送るのを止める。バルブからエアゲージを外すと、エアが放出されるから、その後にバルブコアを装着し、再度エアを送り込んで適正空気圧に調整。バルブキャップを装着して、エア漏れが無いかを確認したら、タイヤ交換は完了だ。

BRAND INFORMATION

株式会社ストレート

大阪府大阪市鶴見区浜5-6-35
電話/06-4257-1159
FAX /06-4257-1145

1994年に創業され、全国各地に展開するツールショップの先駆け的な存在で、2015年5月現在では28店舗。いずれもが直営店であり、すべての店舗において、同様の品揃えとサービスを受けられる。ハンドツールから、リフトのような大物まで多数のオリジナル商品を展開しており、その使い勝手の良さなどからプロの現場でも愛用されているほどだ。