クラフトマンシップにのっとった、スピードラのプロダクト

掲載日/2019年3月27日
取材協力/株式会社SSK
取材、写真、文/稲垣正倫
構成/バイクブロス・マガジンズ
茨城県龍ケ崎市の由来は、平安時代末期の武将に遡るのだが、江戸時代の豪商「小野瀬家」の活躍によって栄えた街であった。名前の勇ましさもさることながら、現代においても都市部と密接に関係する地方都市として機能する。今回訪れた新ブランド「SPEEDRA」もSPEEDとDRAGONを合わせた造語だとのこと。代表の椎名氏は言う。
「龍ケ崎の知名度を向上させたいという想いもこめて、名付けました。ここ龍ケ崎には、多くはないのですがバイク関連の企業もあり、実直に二輪の文化を高めるために活動していることを知ってもらいたくて」と。

当のSPEEDRAは250cc以上のオートバイをドレスアップし、機能を向上させるために創出したブランドだ。会社名でもあるSSKとして、幅広くパーツをラインアップしてきたものの、2018年を機にセグメントを分けることで、特化していこうというもの。また、今季FIM CEV REPSOL Moto2 ヨーロピアンチャンピオンシップにチャレンジする石塚健選手をサポートし、今後この経験を活かしロードレースのパーツ開発も視野に。セパレートハンドルや、エンジンカバーなどのパーツを主軸に、レースシーンと連携してR&Dを進めることで、ブランド自体の機能を向上させていく狙いだ。

3Dプリンターの導入で上がった開発スピードとクオリティ

そんなSPEEDRAにおいての開発現場は、近年大幅に変わったと言う。具体的には「3Dプリンターの導入ですね。安いものではないのですが、これを導入することで図面ではわからないことをテストでき、現物合わせもスピーディにできるようになりました。これまでは、図面を引いた上で想像で試行錯誤し、コストをかけて試作をしてはじめてフィッティングができたのですが、今は図面を引いたら3Dプリンターで試作品を作り、すぐにオートバイとのフィッティングができるのです」と椎名氏。

特に同社は、アルミのビレットパーツとドライカーボンを得意とするため、3Dプリンターとの相性は抜群に良かった。図面は2〜3日で引き、プリンターが4〜5時間で試作品を作り上げてくれる。「つけてみて、スタイリッシュかどうか。それは試作してみないとわかりません。一つの試作品で製品に落とし込めるようなことはほとんど無い」という。

当然、開発にかかる時間の短縮にもつながるし、開発の集中や、あるいは以前よりもトライ&エラーを繰り返せることで、クオリティを上げることができるようになったのだ。特に、ドライカーボンの場合は、試作にも金型を作る必要があるため、その合理化の効果は想像に難くない。

PICK UP PRODUCTS

2018年を飾るマシン、KAWASAKI Z900RSをはじめとしてアルミビレットパーツ、ドライカーボンパーツを次々とリリースしているSPEEDRA。今回は、こちらのZ900RS CAFEをカワサキグリーンで纏め上げた極上のルックスを題材に、紹介していこう。

名車Z1-RをイメージソースとするZ900RSは、ライムグリーンが映える。そのギラッとしたレースルックに負けない、グリーンアルマイトの発色の良さがわかるだろうか。この鮮やかさこそ、SPEEDRAの魅力だ。

アルミ削り出しのエンジンガードや、美麗なエンジンマウントなどが光る。ドライカーボン製のフレームガードもSPEEDRA製だ。

タンデムステップは、切れ味鋭いビレットによるもの。同社が育ててきたSSKのブランド名が刻印されている。

航空機などにも使われているプリプレグを使用。バキュームパッキング、オートクレーブで焼き上げるドライカーボン製法で製造されたサイドカバーは、美しいカーブを描く。

テールカウル、フェンダーレスキット、インナーフェンダーの造形美はさすがの一言。なお、SPEEDRAではカーボンに関して平・綾織、艶あり・なしの4種からチョイスできるのも嬉しいポイント。

売れ筋のアクスルスライダー。POM、アルミ切削の製造に自信のある同ブランドならでは。

ハンドルクラップ、マスターシリンダーに投入されたグリーンのビレットパーツは、乗り手の満足感を高めてくれる。

フロントのフレームカバーは、艶有り綾織りのタイプでまとめた。カーボンの模様を強調するだけでなく、高級感を演出してくれる。

ラジエターサイドカバーは、シックなパーツ。この手の主張抑えめの部分にカーボンが入るだけで、マシンを引き立たせてくれる。

あえてチタンカラーを投入した、レバー周り。アジャスターのグリーンが映える。可倒式で不意の転倒にも折れづらく、デザインにも優れた溝加工で操作性も高い。

美しさがほとばしるドライカーボンフロントフェンダー。

INFORMATION

住所/茨城県龍ケ崎市川原代町5570-4 SSKビル
電話/0297-85-4031
定休/土日祝
2011年の設立以来、ドライカーボンとアルミビレットパーツを中心に、自社ブランドのパーツを企画、開発、販売している。また、海外製の質の高いパーツの輸入、販売も行なっている。商品はオンラインショップのほか、全国のバイク用品店などでも注文が可能だ。2018年にブランド名をSPEEDRAに変更した。