取材協力/スネークモータース 取材・文・写真/モリヤン  構成/ストリートライド編集部

掲載日/2014年7月9日

ライダーが、とことん楽しくなるバイクを制作することをモットーとするスネークモータース。
そのネオクラシカルなデザインは、バイクだけでなく、街や人や風景までもコーディネイトしてしまう魅力溢れるものだ。
そんなブランドが、新しいスタイルをまた提案した。

INTERVIEW

スネークモータースは、不思議なブランドである

スネークモータースは、本来架空の会社である。所ジョージ氏の情報発信基地である世田谷ベース内で、会長を北野武氏、社長を所ジョージ氏としたスタンスで名付けられたものなのだ。そして、実際に北野会長用に製造されたバイクが、現在販売されているK16のベースとなった。

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デザインは、まったく現代のバイクとは違ったクラシカルなテイスト。しかしそのホビー感覚と高級な質感には多くのファンが生まれるという現象になっていった。このK16に関しては、ストリートライドの特集記事に詳しいので、そちらを参照してもらいたいのだが、夢を現実にしていくには、デザインから製品化するまでのプロセス等、様々な苦労があったようである。

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今回はそんな開発プチストーリーと、スネークモータースの第二弾、完全カフェレーサースタイルの77(ナナーナナ)を紹介する。

開発リーダー 藤澤芳史さん

「K16のデザインは、本当に自由な発想から生まれています。バイクというよりもクルマ好きが考えた新しいシルエット。でもクラシカルで落ち着いたイメージは大切に考えられたデザインなんです。それをたった一台試作するのは簡単ですが量産するのは大変ですよ」

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そう語るのは、開発リーダーである藤澤芳史さん。個性的なデザインを崩さないように制作するハードを厳選し、強度確保された設計に調整。そして海外に制作拠点を置くことでコストを削減しつつも、最終クオリティを上げる為のチェック機能も重要だったという。

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K16が原付きバイクベースなのは、普通免許で乗れるので、今までバイクに興味がなかった人にも注目してもらいたいという意図からだ。アソビ心を大切にする所氏と北野氏の信念が貫かれているのである。そして今回登場する第二弾の77。今度はクラシックバイク好きのハートに突き刺さるプレーンなシルエットで、デビューすることになった。

ニューウェーブカスタム/「77」ナナーナナ

クラシカルなシルエットは完全なる60年代グランプリレーサーそのものである。プレーンなフルカウルは、圧縮成形のFRP製として、軽量かつ強度も高い素材。塗装はこの赤のみという設定だ。今年度の生産計画台数は100台とのことなので、購入のお考えの人は早めの予約を。価格は59万8,000円(税別)

まず名前の由来だが、ラッキーナンバーの7をダブルにすることで、超ポジティブなネーミングになるという単純明快なものだった。そのナナーナナは、完全な60年代のロードレーサーレプリカである。当時のホンダワークスやMVアグスタのワークスレーサーと同じシルエット。もちろんこれまでそのようなデザインで量産されたバイクはほとんどなく、当時のレーサー好きなライダーは、ベース車両を購入して、独自にカスタムするより方法はなかったのだ。

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「Kの系譜」であるナナ-ナナは、K-16のアンダーフレーム前方のデザインを踏襲。フロントのアッパーとアンダーカウルの繋ぎ目あたりにゆるい曲線が付けられ、エンジンは230ccの空冷シングルを採用。高速道路も走行でき尚且つ車検の無い軽二輪としての登録が可能で、クラシカルレーサーで公道を走るという大きな夢を叶えられる1台となった。今回掲載するモデルは、フィニッシュ直前の生産試作車。細かい相違点はあるが、ほぼこのシルエットで販売されることになる。

フロントタイヤはトラディショナルな18インチ。現代的な2ポッドキャリパーのディスクブレーキを装備している。

カウリングはアッパーとロワーに分割でき、整備性も良く考えられている。ヘッドライトは特殊バルブを採用した丸型。

タンクは後部を絞られたロングなシルエット。スチール製で、容量は13リットル。タンクマークはエンブレムに変更予定だ。

シートは一見シングルに見えるが、シートストッパーを取り付けたダブルシートとして、なんとタンデムも可能なのだ。

マフラーは艶消しのブラック塗装がされたメガホンタイプ。実に雰囲気の良いマフラーが標準装備。リアサスはカヤバ製。

ライダーをワクワクさせるデザインのコックピットは、完全アナログなムード満点。トップブリッジは現在試作品を装備。

HOT TOPICS EVENTS

浅間ヒルクライムにスネークモータースが出展
様々な乗り物好きの興味を集めていた

2014年6月14日、浅間2000パークで開催された浅間ヒルクライム2014にスネークモータースがブースを出店。K16すべてのラインナップの展示と試乗車も用意。そして発売間近の「77」試作車も展示された。このヒルクライムイベントは、どんな車両でも参加可能なフェスティバルで、参加した車両は、欧米のクラシックスポーツカーやヒストリックレーサー。そして普段公道を走ることのないフォーミュラーマシンやモトGPに参戦しているホンダの現役グランプリレーサーなど、様々なモデルが浅間山を疾走するというもの。お客さんは入場無料で、会場の一番上に位置するイベントスペースには各社のブースが軒を連ねた。スネークモータースはその中でもやはりユニークな存在として注目を集め、幅広い年齢層の乗り物好きが、興味深そうに訪れていた。

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1スネークモータースの第一弾となった(左)KITANOスペシャルと、(右)最新の77。全く違うデザインながら、求めているトラディショナルなクラシカルテイストは共通な2台である。

2保安部品を装備しない完全レーサー仕様で制作されたのがKITANOスペシャルだった。ゼッケンの「16」は、北野氏お気に入りのナンバーで、その後販売されたKITANOレプリカでは欠番となった数字なのだ。

3エンジンは50ccと一人乗り限定。サドルシートと、極端に短いリアフェンダーがクラシカルレーサーの雰囲気を盛り上げる。その後の量産車でも、見事にイメージは踏襲されている。

4ヘッドライトやスピードメーターなどの保安部品が取り付けられた量産モデルでも、質感の高いフィニッシュと優秀なデザインが魅力的である。ガソリンタンクはカバーであり、中にスチール製のタンクを内蔵する。

5ヒルクライムの会場である浅間2000にブース展開するスネークモータース。現在ラインナップされているすべてのK16シリーズを展示し、試乗できるバイクも用意していた。

6最新型の「77」には様々な年代の乗り物好きが興味津々。特に10代の若者へのインパクトはとても大きいようだった。やはり、カッコ良いスタイルというものは、時代を越えて受け入れられるものなのだ。

7よりクラシカルなシルエットが特徴のTOKOROスペシャルに試乗した女性は、なんと普通二輪免許を取得したばかり。初めての試乗でも乗りやすく楽しい印象と話してくれた。

8普段はハーレーに乗る男性も、センスの良いデザインに惚れ込んだ様子。ベテランライダーも唸らせるハイセンスなバイクは、走らせても実に楽しく、本来のバイクらしさを感じさせられるものだ。

9スネークモータースの物販ブースでは、Tシャツやバッグなどのオリジナル商品も販売されていた。

10KITANOスペシャルのゼッケン番号がプリントされたトートバッグ。持っているのはスタッフではなく、お客さんである。ブースはとてもアットホームな雰囲気で、ゆったりとした時間が流れていた。

11ゼッケン①のK16レーサーの背後には、今回のヒルクライムイベントにスネークモータースからエントリーした、謎のスポーツカー「196RS」の姿が。

12クラシックカーからフォーミュラーレーサーまで、様々なクルマがエントリーしたイベントにあって、ひときわ異彩を放つ「196RS」。シルエットはクラシカルだが、ハードは最新スポーツカーなのである。

BRAND INFORMATION

SNAKE MOTORS

住所/東京都町田市忠生2-28-4 ムーンオート
Tel/042-794-4167

実際の運営は、東京都町田市にあるムーンオートである。現在、車両を扱うショップは、オフィシャル。サテライト含めて全国に84店舗。アフターケアも万全で、トラブル時にも安心なバックアップ体制を確率している。遊び心からスタートしたプロジェクトゆえ、年間様々なイベントを計画。K16だけのワンメイクレースは「TOKORO’s Challenge Cup」という名で開催され、その他、元GPSレーサー主催の青木宣篤カップにも参戦する。その他、様々なイベントにも出展し、キャンペーンガールも5人選出。レースクイーンやイベントでのアシスタント、ツーリングに同行などの活動も予定されている。