他人とは違うマシンや目立つマシンに乗りたい、とは誰もが一度は心に抱くことだろう。そんな人におすすめなのが、レトロな外観で最近注目されているロシア製のサイドカー『URAL(ウラル)』だ。その魅力はどんなところにあるのか、トライク&ウラルのプロショップである『ガレージエルフ』にお邪魔して探ってきた。
ウラルは第2次世界大戦で活躍したロシア製のサイドカーをルーツに持つ、排気量750cc水平対向2気筒エンジンのマシンだ。基本設計は当時からほぼ変わっていない。もともと軍用のためフレームもサイドカー専用として設計されており、不整地での運動性を重視して、側車のタイヤも駆動する2WDを採用しているモデルを持つのが最大の特徴だ。
千葉県柏市のウラル正規代理店『ガレージエルフ』の代表、植原学さんは、現在ウラルの主力となっている2WD(2輪駆動)モデル“URAL GearUP(ウラル ギアアップ)”の魅力について次のように語ってくれた。
「ウラルは後輪と側車の車輪がシャフトでつながっているパートタイム式の2WDなので、普通自動車免許で乗ることが出来る、これが最大の魅力でしょう。バイクの免許を取りたかったけど持っていない、バイク乗りで普通2輪免許しか持っていない、という人でも、クルマの免許があれば750ccのサイドカーに乗れる、と考えても面白いマシンですね」
唯一無二の存在、それがウラルの魅力だと植原さん。
「デザインや基本設計が75年以上前から変わっていないマシンが新車で買えるんですよ? それだけでも面白いじゃないですか。古いBMWと同様のボクサーツインエンジンを持つ武骨でクラシカルな外見も魅力的ですが、ダートの走破性や積載性も高いし、インジェクションを採用するなど現代向けにアップデートも施されていますから、意外と乗りやすいんですよ」
軍用車らしい武骨さやレトロな外観に惹かれる人はもちろん、キャンプに行きたいから、というアウトドア&アドベンチャー志向のお客さんも多いという。他にはない唯一無二の存在感を有するマシン、それがウラルの魅力であり、多くの人の心を捉える理由といえそうだ。
ウラル2WDの売れ筋モデルが“ギアアップ”だ。現代のコンピュータデザインにはない武骨でシンプルな外観は独特の存在感を放っている。側車のLEDフォグライトやスペアタイヤ、荷物ラック、シャベル&ジェリ缶などは標準装備となっている。
エンジンはOHV水平対向2気筒749ccで、最大出力は41hp/5,500rpmとなっている。ケイヒン製のインジェクションを採用し、安定した始動性と燃料供給を実現。セルに加えてキックスターターも装備する。ギアは前進4速とバックギアとなっている。
駆動はパートタイム式の2WDで、レバーによって切り替えが可能。後輪と側車のタイヤはシャフトで連結されており、デフ機構を持たないので両車輪は同じ回転数となる。2WDモードはダート専用の機能といえるが、走破性は高い。
サイドカーはバンクしないためコーナーリングの際、横方向に大きな力が掛かる。その力をうまく逃がすため、フロントはアールズフォークを採用。なおブレーキキャリパーはブレンボ製となっている。
軍用らしく側車もシンプルなデザインだ。スペアタイヤの下はトランクとなっており、多くの荷物を積載できることからキャンプツーリングを楽しむユーザーも多いという。2輪車では入れなかった山奥のキャンプ地にもウラルなら安心してアクセスできそうだ。