近年注目されているインドネシア製スクーターを独自のカスタムワークで輸入販売する『オートサロンオギヤマ』
掲載日/2018年8月9日
取材協力/オートサロンオギヤマ
写真、文/森下光紹  構成/バイクブロス・マガジンズ
スクーターは手軽な街のコミューターとして、その利便性だけが評価されがちだが、最新モデルはそのデザインやスポーツ性も飛躍的にアップしている。日本メーカーのスクーターのほとんどは、現在海外が生産拠点となっているが、日本国内で販売されるモデル以外にも優秀なスクーターは存在する。『オートサロンオギヤマ』には、そんな逆輸入モデルが数多くあるのだ。

便利という理由だけでスクーターを選ぶ時代は終わった
個性的なモデルでライフスタイルを演出するという提案なのだ

オートサロンオギヤマは、1951年に『オギヤマ自転車店』として創業。以来、東京都内を拠点に、バイクショップや自転車店を営む老舗である。現在の店舗は環状7号線の馬込銀座交差点。大田区山王で街のバイクショップとして営業している。

2013年から東京都大田区の山王へ店舗を移転したオートサロンオギヤマ。環七とジャーマン通りの交差点、「馬込銀座」の角にある。ビルの1階がショールームで、その隣がサービスピットとなっている。

インポートモデル、いわゆる逆輸入車を販売するきっかけは、元々海外への輸出業務のなかから、最近の時勢でメーカーの生産拠点が海外に移っていく過程を見て、発想が逆転していったという。

「1996年にインドネシアのバリ島にレンタルバイクを持ち込んで、日本人観光客を相手にしていたこともあり、現地に拠点ができていたんです。するとヤマハの生産拠点がインドネシアにもできて、向こうで一気にスクーターが普及したんですね。それで、国内では販売されていないモデルも含めて逆輸入しようという発想になったわけです」

そう話すのは、店長の吉原章男さん。現在はヤマハ製のスクーターだけではなく、各日本メーカーのスポーツモデル等も輸入販売している。

明るい店内には数多くの車両が展示されている。奥の一角がインドネシア製スクーターの展示スペース。今回紹介するショップオリジナルカラーが施されたスクーターも、ここに展示されていた。

扱う車種はスクーターから中型車がメインのようだが、もちろん国内販売モデルも扱うし、バイク用品も数多く揃えている。街のバイクショップとして老舗であることの証でもある。

ここ数年のインポートモデルの販売実績を伺うと、2016年が数十台。2017年も伸び続け、2018年の上半期で、すでに2年前の実績を超えそうな勢いだとか。まさに右肩上がり。しかも、今までは排気量125ccクラスが主流だったが、2018年は250クラスも好調とのこと。その理由も伺ってみた。

「国内に同じモデルがある場合でも、オリジナルカラーのカスタム仕様として販売しています。もし、国内モデルを購入してカスタムペイントを施すと、たぶん20万円程度の予算が必要ですが、私たちは現地で日系の塗装会社と提携してクオリティーの高いカラーリングを安価で提供しています。インポートモデルは製品の信頼性に不安を抱かれる事もありますが、昨今のインドネシアモデルは国内モデルと同クオリティーの完成度だと思います。そこに加え同社の現地スタッフによる、迅速なパーツ供給体制を完備しているので、輸入車でも保証付きで販売をしているのです」

壁には、NMAX用の外装キットが展示されていた。オリジナルカラーで外装だけ衣替えするという発想も、スクーターならでは。もし他店で購入した国内モデルでも、個性的に演出できるというわけだ。

インポートモデルは、製品の信頼性に不安を抱かれることもあるが、インドネシア製のモデルは、その点でまったく問題ないと吉原さんは太鼓判を押す。

「販売したモデルでクレームがついたものはほとんどなく、国内モデルと同じレベルです。生産管理がしっかりしているんですね。もちろんウチは整備工場を完備していますから、一般整備やカスタムも引き受けます。つまり、各メーカーが国内で販売しているモデルとまったく変わらない状態で乗れるということですね」

ショールームのとなりにあるサービスピットでは、日常整備から重整備、カスタムまで、幅広い業務が行なわれる。別の場所に陸運局認定工場も整えておりアフターケアに力を注ぐショップだからこそ、街に根付いているのだろう。

ショップスタッフは店長の吉原さん(写真手前左)含め総勢5名。みな気さくな人柄なので、このお店を訪れるのに気構えは必要ない。バイク初心者からベテランライダーまで、様々なユーザーニーズに答えられるショップである。

最新デザインのMAXシリーズに
ワークスカラーをコーディネイト

今回紹介するヤマハのスクーター3台は、すべてオートサロンオギヤマスペシャルとして、インドネシアで別注されたカスタムスクーターである。3台ともに、ヤマハのMotoGPメインスポンサーであるモビスターのカラーリングに変更されている。国内モデルは基本的にソリッドカラーで、一部モビスターカラー仕様も存在するが、オギヤマスペシャルは、よりワークスマシンのイメージを濃くしている。

クラス最高の加速性能と言われる新型エンジンを搭載して2018年1月に登場した『XMAX250』は、国内販売モデルがソリッドカラーのみ、オギヤマスペシャルはモビスターカラーで個性的に仕上げている。基本スペックは国内モデルと同様。トラクションコントロールやABSは標準装備。

メインスイッチは遠隔操作可能なスマートキーを採用。ホイールはクラス初の前輪15インチサイズ、さらにボディカラー同色にペイント。フロントフォークはスポーツモデル同様、トップブリッジまで伸びるテレスコピック方式で、軽快さと高い剛性を両立した。

『NMAX155』は、125ccクラスの車格に排気量155ccエンジンを搭載したモデルと思われがちだが、じつは最初から155ccエンジンありきの発想で開発された。軽快な車体に剛性感の高いフレームワークは高速道路での安定感も抜群。総合的に見て大きな評価を得ているのが特徴だ。

オートサロンオギヤマスペシャルは、インドネシア製の特徴であるツインショックのリアサスペンションに、ガス室別体構造の高級バージョンを装備。また、乗り心地の良いシート後部にNMAXのロゴが刻印されている。

日本国内では販売されていない『AEROX155(エアロックス155)』は、現地ではNMAXと併売されているモデルである。120kgを切る車体重量はスポーツスクーターとしての役割を担い、デザインもよりアグレッシブなイメージ。ABSが装備されないことやリアブレーキがドラム式など、シンプルにスポーツフィーリングを楽しむには手ごろなスクーターと言える。

メーカー純正のモビスターカラーも存在するが、よりMotoGPのイメージを強くするためホイールも車体同色に塗装されている。大きな特徴でもある前衛的なフロントマスクは、このカラーリングでいっそうアグレッシブなイメージを醸し出す。

BRAND INFORMATION

住地/東京都大田区山王2-41-2-1F
電話/03-3776-1537
営業/10:00-20:00
定休/火曜日
1951年の自転車店創業から続くバイクショップの老舗。現在はバイクショップのほか、関連会社として電動アシスト自転車の専門店も東京を中心に多く展開している。