スクーターの駆動系部品は消耗品だ 交換時期が判断できなければバラして確認!!

掲載日:2017年01月28日 特集記事&最新情報    

取材協力/ワイズギアヤマハ発動機
Photo / A.KURITA 栗田 晃 Text / A.MARUYAMA 丸山淳大
Model / MIKAN みかん

車体がフルカバードされたスクーターや1,000ccを越えるビッグバイクとなると、メンテナンス初心者はなかなか手が出しづらいように思えるかもしれない。しかし、どんなバイクでもメンテの基本は変わらないはずだ。特に日常的な点検やベーシックな消耗品交換などは、初心者にも挑戦しやすい作業である。最初は簡単なものからトライしてみてはいかがだろう。自分で行った作業で愛車の調子が変わる体験をすれば、バイクいじりの楽さを実感できるだろう。まずは工具を手に持って、休日に愛車と自宅で過ごしてみよう!!

スクーターの駆動系部品は消耗品だ
交換時期が判断できなければバラして確認!!

ライダーをクラッチ操作の煩わしさから開放した、スクーターのV ベルト変速機構は消耗品の集合体である。ストップアンドゴーを多用したり、高速連続走行しているスクーターは駆動系部品への負担が大きいので注意が必要だ。

スクーターの無段階変速機構は、プーリーとクラッチをベルトで繋いでおり、エンジン回転に応じてベルトがプーリーの斜面を滑るように動くことで変速している。

駆動系の分解点検
作業難易度★★★★☆ / 参考作業時間60分

駆動ケースを開ける前に、ベルトケースの樹脂カバーを取り外す。3番のプラスドライバーを使って、頭を嘗めないように緩める。固着していたらインパクトドライバーを使おう。

樹脂カバーの内側は吸音スポンジで防音対策されている。続いて駆動系ケースのボルトを緩めていく。見えにくい下側にもボルトがあるので、確認しながら全部緩める。

駆動系ケースのカバーはダウエルピンで位置決めされており、外れにくいのでプラハンでコツコツショックを与えつつ手前に引き抜く。急に外れて怪我をしないように!!

駆動系ケースのカバーに紙ガスケットが使われていると、外すときに切れてしまって再使用できないことが多いが、BW’S125やシグナスX SRはゴムガスケットだ。これは素晴らしい!!

プーリーのセンターナットを緩める前に合いマークを付けておくと、復元時に元の締め付けトルクで締め付けることが可能だ。マニュアルとトルクレンチがあるなら規定トルクで締め付けよう。

プーリーホルダーで回り止めをして、センターナットを緩める。プーリーホルダーのハンドルを地面に当てて固定すると、ナットを緩めるハンドルに力が掛けやすい。

プーリーとプーリーフェイス面に段付き摩耗が無いか確認する。段付があるとそこでベルトの滑りが悪くなってスムーズな加速の障害となる。油分は付着させないように。

プーリー内に組み込まれるウエイトローラー外周にフラットスポットがあると、そこでローラーの動きが止まって変速しなくなる。消耗品なので摩耗があれば交換しておこう。

クラッチ側もホルダーで回り止めをした状態でセンターナットを緩める。ホルダーがいきなり外れて、いきおい余って手をぶつけて怪我をする失敗が多いので気をつけよう。

クラッチユニットを外して、クラッチシューの摩耗を点検。クラッチアウター内側のシューの削れたカスをクリーンナップしておく。この部分も油分を付着させないように注意しよう。

ドライブベルトは内側を確認。山なりに反らせるようにしてヒビ割れが無いかチェックしよう。また、新品と比べて幅が狭くなってしまうと最高速まで変速できなくなってしまう。

ベルトケース底にはベルトが削れたカスが堆積するので、クリーンナップしておく。油分がある場合、ギアオイルの侵入が疑われる。ドライブシャフトのオイルシールもチェックすしておこう。

復元時はクラッチ側のセンタースプリングを指で押し縮め、ベルトが一番奥に位置するようにセットする。手は事前にしっかり洗って、油分が付いたらパーツクリーナーで拭き取ろう。

ベルトが一番奥の位置にある状態のまま、クラッチ、プーリーのセンターナットを締める。ベルトの余裕を作っておかないと、プーリーフェイスが奥まで入らない可能性があるのだ。

そのままエンジン始動するとたるんだベルトがいきなりパンと張って負担が掛かるので、ベルトを手で回転させてクラッチセンタースプリングのテンションを戻して置こう。

使用工具

駆動系の作業にはプーリーホルダーを欠かすことができない。メーカーや機種によって適合が違うので、愛車に合ったものを選んで所持しよう。長めのブレーカーバーがあるとなお使いやすい。

 

ついでに点検しておきたい
ベルトケースのエアフィルター

駆動系の部品は発熱するので、走行風を導入して冷却を行っており、異物の侵入を防ぐためにフィルターが付いている。このフィルターが汚れやすいので点検清掃よう。

フィルターは駆動系ケースの樹脂カバーの下に位置している。センターのプラスビスを3番のドライバーで緩める。ドライバーのボルスターを使うと力がかかりやすい。

新品と比べるとフィルターの汚れ具合は一目瞭然。10000kmごとの清掃が指定されており、フィルター洗浄液で洗って再使用できる。酷い汚れや破損があれば交換だ。

樹脂製のフィルターフレームもしっかりクリーンアップしよう。フィルターが綺麗になって、通気性が良くなれば駆動系の冷却性が良くなり、駆動系パーツの延命に繋がる。

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