ヤマハYA5デラックス(1962)のレストア その1

掲載日:2017年01月17日 特集記事&最新情報    

取材協力/パウダーコーティング・カトー  文/田口勝己  写真/田口勝己、栗田 晃

アラウンド1962年モデルで温故知新
ヤマハ初のロータリーディスクバルブ車は手強い!!

旧車のボディ作りに詳しいパウダーコーティング・カトーさんに助けて頂きました。「タグチくん、鈑金フレーム車はサビ封じから始めないと後々大変。エポキシ樹脂パウダーのプライマーが凄くイイみたいだよ!!」と。こんな感じです!!

YAMAHA YA5 Deluxe 1962

1961年秋に発売され、約1年生産されたYA5の初期シリーズ。ホワイトリボンタイヤとダブルシートを標準装備したデラックスもあった。我がYA5はフレーム番号から1962年製に間違いなさそう。

ちょっとした「きっかけ」なんです。無意味に「首を突っ込み過ぎてしまった……」からなのか?後悔してはいませんが、正直、かなり苦労している昨今であります。ボロボロ度合いでは、今から30年前にフルレストア途中でやめた初期型スポーツカブの方が酷かったように思えます。しかし、このヤマハYA5を全バラにしてわかったのは、想像していた以上にお腐れ部品が少なかったこと。ラッキーでした。それでも前周りやホイールのザクザクサビは酷く、前後ホイール、フロントフォークカバー、フロントフォークのボトムケース、フロントフェンダーは再利用するのをやめました。そんな気分になれないほどの凹やザックザク状態だったのです。

郡山のグリーンワールドで全バラにした数日後、某ネットオークションを見ていたら「おおっ!!」となりましたね~♪郡山のカワサキB8担当の橋本大工、グリーンワールドの大堀さんからも「出ましたよ~♪このタイミングでラッキー!!」なんて連絡が即ありました。バラバラにされた初期型YA5の部品が数多く出品されたのです。当然の如く、ライバルなんかは現れることなく、欲しいパーツはほぼ購入することができました。しかし、相変わらず「右側サイドカバー」だけは見つかりません。それと程度の良いゴム部品も皆無に等しい感じです。使わない部品をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非是非、情報を頂ければと思っております~。

仕事柄、出張取材に出ることが多いのが編集部員です。姉妹誌「絶版バイクス」の取材で名古屋方面へ向かったとき、豊田市のパウダーコーティング・カトーさんへ寄るタイミングがありました。どうやらYA5の記事をご覧になられていた様子で「まぁ~よくあんな状態でレストアする気になるなぁ~」と興味津々なご様子でした。僕自身、本格プレスフレームのバイクをフルレストアした経験が無かったので「フレームの内側や足周り部品のサビ、後々のことを考えると、どんな感じに防錆したら良いものか?聞いたお話はあっても、実際にやったことが無いから……」とカトーさんに相談。すると「いいプライマーがあるから試してみない!?」と即返答。

「エポキシ系樹脂プライマー」がサビの再発防止には特に良いという話しを、以前から聞いてはいたが、カトーさんの工房では、エポキシプライマーの「パウダーコート版」の施工実績があるそうだ。何しろ密着力が良く「かなり使える!!」とはカトーさん。カワサキB8のフルレストアでは、液体溶剤塗料のエポキシプライマーを吹付けて、金属地肌の防錆処理を行っていたが、どうやらそれと同じ効能のパウダーコートを取り扱っているそうだ。

そんなこんなでカトーさんのご協力を得ることができ、一番心配していた鈑金フレームやスイングアームの防錆処理をハイレベルで行うことができた。カトーさんの工房では、ホンダC100のプレスフレームやラビットやシルバーピジョンのボディや足周りパーツのペイント前に、直圧式ブラストでサビを効果的に一気に除去。そして、エポキシパウダーのプライマーを吹いて乾燥させてからペーパーで中研ぎし、それからオーダー色で仕上げると言った例もあるそうだ。ちなみに、そんな中研ぎの際に深いアバタや凹を見つけると、エポキシパウダーを二度吹きして乾燥させ、再び中研ぎすることで凹表面を減らすことができて都合が良いと言ったノウハウもお話して下さった。

数週間後に届いたパーツを見て驚き!!想像していた以上に鈑金部品の程度は良く、見た目もまさに「プライマー仕上げ」になってガレージに戻ってきたのだ。ハッキリ言って極上の鈑金パーツに生まれ変わったようでもある。こうなると早く「仕上げペイントに取り掛かりたい!!」なんて思ってしまうが、防錆処理でプライマーを吹付けているため、サビの再発なんて心配は、今のところはご無用だろう。希望する当時のヤマハ純正色「ゴールドグルテン」の調色が何とかなったら、必要な部分にパテ入れを行い、研いでからサフェーサーを入れ、仕上げペイントの段取りを進めようと思ってます。

福島のグリーンワールドでバラバラにするのを手伝って頂いたお陰で気楽なものです。サビでグサグサになっていたフロントフェンダーやボトムケースは諦めて、ポチッと購入。

まさかまさかのタイミング? 僕がYA5のフルレストアに取り掛かったら、YA5、しかも初期シリーズをバラした部品が某オクに複数出品された。まだ見つからないのは右サイドカバーです。

地面に接していた部品はやっぱりサビ腐りが激しく補修する気になれないパーツが多かった。ドリブンスプロケットは減りが少なくラッキー!! なんとフランジ部分が鋳物一体構造!!

名古屋方面取材のタイミングでPCカトーさんに立ち寄り、ペイント予定の鈑金部品の下塗りだけをお願いした。メインやサイドスタンドなどの黒物は、パウダーブラックで仕上げて頂いた。

フォークカバーや上下のチェーンケースはサビではなく鈑金凹が多かったので中古部品を購入した。競う相手がいなければ安く買えるのだが、そもそもの出品価格がそれなりでやや不運でした……。

さすがにリアウインカーは左右とも虫食い状態。他のモデル用で同じデザインがあり、我がガレージにもレストア待ちYD3があるのでスペアを使おう。ゴム部品以外は何とかなりそうですが……。

ユニクロメッキやクロームメッキ部品を先に仕上げておかないと、後々の組み立て作業で面倒なことになってしまう。これらの部品はすべて花咲かGタンククリーナーに浸して温めてサビ取り実施した。

YA5初期シリーズのピボットボルトやエンジンマウントボルトはすべてクロームメッキ仕上げだった。後々の整備性を考え、締結関係のボルトはすべてユニクロ仕上げに変更した。

200Vの双頭モーターにステンレスのワイヤーバフを取り付け、部品をフッ飛ばさないように注意しながら全面ゴーグルを掛けて作業進行。地肌を出すまで磨いて輝かせれば、ユニクロの仕上がりも良くなる。

バイク仲間が出しているユニクロメッキ屋さんへ一緒に出してもらえるようお願いした。青光りで最高の仕上がりに!! すべてのボルトをワイヤーバフで磨いてから依頼したのが勝因だろう。

高性能な直圧式ブラスターで一気にサビ落としを行った後に、パウダーコートペイントのエポキシプライマーを吹付けて下さった。このプライマーがサビの発生からボディを守ってくれる!!

バッテリーボックスとなる右側袋状の奥はアバタ凹を消しきれなかったとカトーさん。多少の凹ならプライマーの重ね塗りで消すことができるそうだが、ここは消せなかった。その他の部分はバッチグー!!

ツヤ有りブラックで仕上げて頂いたスタンドとドリブンスプロケット。ドライブチェーンが当たる部分を磨いてみたものの、頑強なパウダーコーティングは簡単に剥がれません。逆に嬉しいです!!

東名高速の豊田インターから10分程の場所にあるパウダーコーティング・カトー。加藤さんはヤマハDT1やスズキハスラーなどのVMXファン。旧車オフローダーに関しては特に詳しい。ありがとうございました。





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