永遠のジャパニーズスタンダードSRはメンテナンス初心者にも最適!! かつ奥深い!!

掲載日:2017年02月02日 特集記事&最新情報    

写真・文/田口勝己

「メンテナンス初心者に最適」という言葉の意味は、メンテナンスが簡単だよ!! と言った意味では当然に無い。トラディショナルスポーツであるヤマハSR でメンテナンスを覚えれば、様々なバイクに応用できるという意味である。1978 年の発売開始から30 数年。大きなモデルチェンジ一切無く生産され続けた今後のSR にも期待したい!!

スズキGS400Eを新車購入した当時、とある縁で知り合いが所有するSR400を預かることになった。同じ400㏄でもフィーリングがまるで違い、回転馬力でシャカシャカノイズを放ちながら走るGSに対し、5000rpmも回せば楽しめるトコトコバイクがSRだった。

それから10数年。雑誌編集の仕事に就き、ほぼ同時期にメンテナンス企画用にと中古のヤマハSR400を編集部で購入。オイル交換に始まり様々なメンテナンスを実践したが、ヤマハSRの特徴を知り、長所や短所も知ることができた。オイル交換の際には「徹底的オイル交換」と題し、ドライサンプのオイルタンク内に残ってしまうエンジンオイルの徹底的な抜き取りに挑戦。エンジン内へとオイルが流れていくダウンチューブエンドに締め付けられている、太いオイルストレーナーの洗浄にもチャレンジした。メインスタンドでもサイドスタンドでも、フレーム内に残ったエンジンオイルは、完全に抜き取ることができなかったのだ(ヤマハSRシリーズはフレームのメインパイプがドライサンプのオイルタンクになっている)。

そこで、前輪を取り外して車体を前のめりにしてみた。それによりメインフレーム後方に溜まってしまう残油の抜き取りに成功!!さらにダウンチューブの真下から締め付けられている大型ストレーナーを取り外すと、その中からは驚くほどのヘドロやスラッジが出てきた。ストレーナーボルトは太くて締め付けトルクが強烈だったので、大型ソケットレンチにブレーカーバーを差し込み、さらに不要なインナーチューブを差し込み、さらにさらに、車体は大人2名で押さえながらグンッと弛めることで取り外すことができた。もう25年ほど前の出来事だが、あのときのことは鮮烈に今でも覚えている。

そんなメンテナンスコーナーでSRとお付き合いしてきたことが影響して、通勤快足用にSR400、SR500を乗り継ぐことになった。最初に預かった初期型400と合わせて、5万キロくらいは走ったと思うが、オイル交換だけは高性能オイルを使ってしっかりやっていたので、高速道路でぶっ飛ばしても壊れず、煙が吹くことも無く、雨の日のツーリングでもヤマハSRを楽しむことができた。

他のバイク雑誌には無かったメンテナンス企画が大好評で(クラブマン誌の「テクニカルレクチャー」コーナー)、継続的かつ半連載のように進行していったが、実は、一度だけSRメンテで企画倒れになりそうなことがあった。それは「シリンダーヘッド内部の点検」といったテーマである。SRファンの方ならご存じかと思いますが、タペットキャップが付くヤマハSRのヘッドカバーは、フレームにエンジンが車載された状態では、ヘッドカバーだけを取り外すことができなかった。サービスマニュアルにもその解説があったが、それを読み落した僕は、車載状態のエンジンからヘッドカバーを取り外そうと撮影開始。

しかし!!ヘッドカバーが外れるわけありません。ここで普通なら諦めるところだが、ヘッドカバーは取り外せなくても、カバーとヘッドの隙間から指が中に入ることに気が付いたのだ。

実は、これが「ひょうたんからコマ」のようなことになり、指先を突っ込めば「ロッカーアームのスリッパー面を点検できる方法!?」として誌面展開。初期のSRはロッカーアームが摩耗しやすく、そうなるとタペット調整してもノイズがまったく消えなかったので、この実践企画が大好評だった。まぁ、90年代に入る頃にはスリッパー面に硬質チップをロウ付けした仕様になり、その後は摩耗や不快なノイズとはオサラバしたヤマハSR。僕にとってこのモデルには思い出がいっぱいなのであります。

初めて乗ったときから30数年、その後はマイナーチェンジを繰り返しながらも新車をまだ購入できるこの現実!!僕の人生を変えた「メンテナンス企画」もSRがあってこそ。そしてこのメンテナンス入門書での再会……。いつまでこんなことが続くのでしょうか? でも、ヤマハにはラインナップし続けて欲しいバイクですよね。そう思えるバイクは、他にはありません!!

ヤマハSR最高!!

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