Photo/Takao ISOBE Text & Run/Bikebros Magazins 掲載日/2009年8月20日(木)

ゼン:「暑いぞジャージー!」

ジャージー:「知りまへんがな! 俺も暑いっちゅーねん!」

ある日の午後、バイクブロス×マガジンズ編集部でお約束となっているゼンとジャージーのわめき合いが始まる。編集部のマスター・ナベをはじめ、周囲の部署から注がれる冷ややかな視線、視線、視線。しかしすでに日常化しているから、彼らはまったく気にする気配はない。

ゼン:「しかしあれだな、こうも暑いと仕事に身が入らないな」

暑苦しい長髪を振り乱しながら、ゼンがおよそ言い訳としか思えない弁明をはじめる。

オヌ:「ホントに暑いねー。暑いよー、むーやーーーん」

むーやん:「夏なんてなくなればいいんだよ。太陽もみんな、なくなればいいんだ」

プリント用紙でパタパタ風をあおぐオヌとむーやんも、いささか夏バテ気味といった感じ。梅雨明けこそ例年に比べて遅かったものの、さすがは真夏の8月、その暑さたるやハンパない。

ゼン:「ジャージー、関西人なんだから何か涼しくなるギャグでも言ってくれよ」

ジャージー:「おい、誰がギャグの寒い関西人やねん! 俺に戦争仕掛けてんのかっ」

ゼン:「あ、ちょっと涼しくなったよ(笑)」

救いがたいやり取りしかしない編集部を見ながら、ため息まじりにナベが口を開いた。

ナベ:「だったら今夜、仕事を早めに切り上げて、みんなでナイトランにでも行こうか。それだったら涼しく走れて気持ちいいだろうし、気分的にも切り替えになるだろ?」

むーやん:「いいですね、ナイトラン。行きましょう、僕行きます」

世渡り上手なむーやんが即座に参加を表明する。

オヌ:「あたしも行きますー。ナイトランいいよねー」

ジャージー:「確かに日が沈んだら気持ちええしね」

オヌ、ジャージー、そしてゼンもすでに乗り気の模様。

ゼン:「ナイトランはアリだな。よし、今から行くか」

ナベ:「まだ仕事中だろ(笑)。全員就業時間までに仕事をまとめて、会社下に集合!」

一同:「へーーーーーい」

かくして、各々が普段から乗っている愛車でのナイトランがスタートした。

 

バイクブロス×マガジンズ編集部 ナベ

愛車:カワサキ W650

「W650は名車だ!」が口癖のウェブコンテンツ編集者。クルマ1台分の駐車スペースに3ナンバー1台と大型バイク5台をムリヤリ詰め込んでいるある種の病気持ち。

バージンBMW編集部 ゼン

愛車:ヤマハ SR500

手にするバイクはなにかしらイジらないと気が済まないくせに「バイクはノーマル状態が一番」と豪語。「どんなバイクに乗っても同じに見えるね」と言われる個性派ナイス・ガイ。

バージンドゥカティ編集部 むーやん

愛車:モトグッツィ ブレヴァ750

リトラ車やV型3気筒マシンなど、これまで所有したバイクは変態的なモデルが多いドゥカティ担当。「PASOっていいよね」と言っている時点でドゥカの好みにも不安を感じる。

バイクブロス×マガジンズ編集部 オヌ

愛車:ヤマハ WR250R

「バイク占い」でお馴染みヴィクトリー疾さんに「ものすごい星の元に生まれていますね!」と言われ、浮かれる日々。現在、WR250R/Xの2台を持つ奇特女子。

バージンハーレー編集部 ジャージー

愛車:トライアンフ ボンネビルT100

バイクをはじめ、身にまとうものなどすべてがイギリス系になってしまうハーレー担当。金欠のくせにハーレー・スポーツスターと2台の輸入車を所有と、すでに金銭感覚が鈍化しつつある。

 

夕暮れ時、仕事を済ませて(ホントか?)全員集合。

 

まずは都内を脱出! 法定速度内で走り抜けるぜ!(笑)

 

さて、今日はどこまで走りに行っちゃおうか?

 

 

東京都内を走り抜け、神奈川県のとある海辺の公園へとたどり着いた編集部一行。
ちょうど園内にアイスの自販機があったので、みんなで心地よいひとときを過ごす。

むーやん:「みんなで走るナイトランはやっぱりいいね。バイク乗りだけが味わえる特権だよね」

ジャージー:「あれ、いつもネガティブなむーやんがまともなこと言うてるで(笑)」

ゼン:「珍しいこともあるもんだねぇ」

ナベ:「ジャージーもゼンも、いちいち刺さなくていいから(笑)」

いつもと変わらぬやり取りだが、ナイトランでしか楽しめない爽快感を堪能したからか、心なしか会話そのものが弾んでいる。日常の夜に走るからこそ気持ちがいいナイトランは、休日のツーリングとはまた違った面白味があるものだ。潮風を浴びながら、和気あいあいとした時間が過ぎていった。

すると、ひとりバイクの群れを眺めていたジャージーがポツリ。

ジャージー:「…やっぱり俺のボンネビルが一番カッコええな」

ひとり悦に入っている馬鹿に、即座に反論したのはゼン。

ゼン:「は?何言ってんの、どう見たって俺のSRがバキっと決まってるから。全体的にコーディネートされたSRのバランスの良さが分からないとは…。ジャージーのボンネビルって、別にどこも触ってないでしょ?」

ジャージー:「いやいやいや、ノーマルの美しさを保ちながらアクセントを加えたボンネビルの流麗さが際立ってるやん。まぁ、一般人には分からへんかな~」

むーやんとオヌは「また始まったよ」と傍観を決め込む。

ナベ:「いい大人がつまらないことで張り合うんじゃないよー」

ナベがなだめに入った瞬間、ジャージーが禁句を口にしてしまった。

ジャージー:「うるさい、トライアンフのパクリバイクめ」

ナベ:「…キサマ、言ってはならないことを言ったな」

オヌ:「キレてどーすんのよ(笑)」

そこで仁王立ちになったナベが、こんな提案を口走った。

ナベ:「いいだろう、白黒つけようじゃないか。各々が自分の愛車を撮影して、どれが一番カッコよく撮れているか、プロのカメラマンに判断してもらおう。どうだ?」

ゼン:「いいね、受けて立つよ」

ジャージー:「よし、ほな全員でヤサツ大会や!」

むーやん:「え? 僕らもやるの? なんか勝手に巻き込まれてる…」

 

夜の湾岸線を走り抜け、神奈川県の某公園に到着!

夜の公園でアイス片手にひといき。粋な夜遊びだねー。

「みんなが俺のバイクに見惚れている」…ってお前だけっ。