イタリアの老舗ヘルメットメーカーとして長年に渡って数多くのグランプリライダーに愛されてきたAGV。MotoGPで長年活躍するトップライダーのバレンティーノ・ロッシもAGVを愛用するライダーの一人だ。AGVのフルフェイスヘルメットには数多くのロッシレプリカモデルが存在するが、今回はそのエントリーモデルであるK1を紹介しよう。
WGPの時代から数多くのGPライダーに愛されてきたイタリアのヘルメットブランドAGV。1947年に創業し、70年以上に渡って世界のライダーの生命を守ってきた歴史あるブランドだ。モータースポーツに直結したブランドイメージを押し出しているが、多くのライダーにとって印象的なのはMotoGPのアイコンでもあるバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi)選手との結びつきだ。彼のGPデビュー以来、長年に渡ってサポートを続けてきたAGVは「世界最高のライダー、ロッシが使うヘルメット」という印象を多くのライダーに植え付けてきた。
◎AGV K1 SOLELUNA 2015 3万5,640円(税込) サイズ: S(55-56cm)/M(57-58cm)/L(59-60cm)/XL(61-62cm)
チンガード先端に向かってスラントしたシャープな帽体デザイン。ロッシのイメージカラーである蛍光イエローも鮮やか。ストリートにおける被視認性という意味でもアドバンテージになる。
これまでAGVは最高峰モデルのピスタGPを筆頭に、実に数多くのロッシレプリカをリリースしてきた。全世界に熱狂的なファンを持つロッシだけに、限定モデルともなればすぐに完売してしまい、発売後数年たってもコレクターズアイテムとしての人気が一向に落ちなかったりするほど。とはいえハイエンドモデルの限定品ともなると20万円近いモデルもあるため、「ロッシモデルはなかなか手が出ない……」と嘆くファンが多いのも事実だ。しかし、AGVがリリースしているフルフェイスモデルK1には、レギュラーモデルとしてロッシレプリカが存在する。それが「K1 SOLELUNA(ソーレルナ) 2015」だ。
後頭部にかけてAGV独特の流線形を描く帽体はエアロダイナミクスを徹底的に追求して生まれた。スーパースポーツ車で上半身を思いっきり伏せても広い視界をキープし、なおかつ背中への帽体の食い込みを最小限に抑える形状でもある。
イタリア語で「SOLE」は太陽を、「LUNA」は月を意味する。ロッシは、WGPにデビューした頃からAGVを愛用しているが、ヘルメットグラフィックのモチーフに太陽と月を頻繁に使用しているのはファンならばご存知だろう。このSOLELUNAはロッシが2013年から使用していたグラフィックとなる。
帽体はAGVの新しいエントリーモデルラインとなるK1だ。非常に軽量なABS製の帽体はAGVの王道的シェイプを持つもので、エントリーモデルとはいえMotoGPで培ったエアロダイナミクス&セーフティテクノロジーは惜しみなく盛り込まれている。
シールドをわずかに開けて固定することでヘルメット内部を換気するマイクロオープニングシステム。ワンタッチでフレッシュな外気を取り入れることができる。
チンガード上部にはブレスディフレクターを設けている。吐息が直接シールドにかかるのを防ぐパーツだ。
前頭部には3か所のエアインテークを設ける。グローブをしたままでも簡単にスライドできる機構だ。
後頭部の大きなスポイラー。超高速域でも頭を安定させるためにAGVが用いる独特な形状だ。スポイラーには左右6ヵ所のベントが設けられている。
内装パッドを取り外して頭頂部を見る。エアインテークから後頭部のベントまでのエアフローが良くわかる。
ヘルメットの内装はアジア市場向けにフォームされたアジアンフィットを採用する。日本人の頭でもしっかりフィットしてくれる。
頭頂部のパッドをはじめ、チークパッドも取り外し可能。まだ、内装のファブリックは質感も高く、何より肌触りが良い。
内装は、眼鏡を使用するライダーのことも考慮して設計されている。
K1に限らず、AGVのヘルメットは帽体両サイドのボトムエンドに大きなアールを設けた独特のシェイプを持つ。これは、万が一の転倒時に、ヘルメットによる鎖骨への打撃を最小限に抑えるための形状なのだ。
あご紐はコンベンショナルなDリングとロック用のスナップボタンを備える。紐の長さは長すぎず、短すぎず。
AGVのヘルメットに共通する使い勝手の良さ、それがシールド交換のしやすさだ。赤い樹脂パーツをスライドするだけでシールドをピボットから取り外せる。脱着の際にシールドを割らないかヒヤヒヤすることは皆無。
同梱される赤・緑・青と3色の樹脂パーツは、シールドを固定する開度を好みのパターンからチョイスするためのもので、AGVではお馴染みの装備品だ。全閉・全開位置以外に、赤は3段階、緑は2段階、青は無段階と好みの位置でシールド開度を固定できる。
撮影ではスモークシールドを使用したが、K1 SOLELUNA 2015の純正シールドはクリア。可能であればオプションのスモークシールドもそろえておきたいところ。もちろんどちらのシールドも曇り止めのピンロックシステムに対応している。
これまでヘルメットブランドがリリースするレプリカヘルメットは、通常モデルに対するスペシャルモデル的な位置付けで比較的高額になるパターンが多かった。だが、このSOLELUNAは税込み3万5,640円というプライスを掲げている。世界屈指の人気を誇るバレンティーノ・ロッシのレプリカがこの価格で手にできるのは驚くほかない。
ロッシファン、GPファンはもちろん、これまでAGVに縁のなかったライダーたちにも「ちょっと試してみようか」と思わせてしまうのが、このK1 SOLELUNA 2015なのだ。