第7回 もしも…ホンダ PCX150に乗れたなら?【まとめ編】

掲載日:2014年11月04日 長期インプレホンダ PCX150    

文・写真/野岸“ねぎ”泰之  取材協力/本田技研工業株式会社

ホンダ PCX150の画像

今までスクーターを所有したことがなく、ギアつきのバイクばかりを乗り継いできた“ミッション野郎”の視点でお届けしてきたPCX150の長期インプレッションも、いよいよ今回がラストとなりました。走行距離は3000km弱と、それほどみっちり乗り込んだわけではありませんが、PCX150というマシンの魅力と、スクーターという乗り物の利便性をあらためて実感した約3ヵ月でした。最終回では、PCX150の良さをもう一度整理してみましょう。

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驚異の低燃費と
航続距離の長さは魅力

PCX150に乗り出してもっともインパクトが大きかったのが、その燃費の良さです。ホンダの誇る環境性能にも配慮したeSPエンジンと最適な燃料供給を行うPGM-FI(インジェクション)、数多く採用された低フリクション(摩擦)技術、リアの低燃費タイヤ、進化したアイドリングストップ機構などの組み合わせにより、驚きの省燃費ぶりを発揮してくれました。

ふだんは神奈川の郊外から都心への往復で、たまに首都高などに乗るような走りが中心で、穏やかな走りを心掛けると燃費は満タン法でだいたい42km/Lぐらい。高速カットビ&都心の渋滞両方でかなりブン回して荒い走りをした際の最低記録が36.9km/L、最高はツーリング時の46.4km/Lでした。普通に乗れば、40km/Lを切ることはまずないでしょう。この新型PCXは燃料タンク容量が前モデルに比べて2.1L増の8Lとなっているので、満タンで300kmの航続距離は余裕でクリアします。この意味はとても大きく、通勤・通学で乗る場合、日々の給油の頻度が減ることでストレスがかなり軽減されるのでは、と思います。燃費がいいことで知られるスーパーカブが通勤マシンとしてそれほど人気が出ないのは燃料タンクの小ささに原因がある、なんて話も聞くぐらいですから、航続距離の長さは非常にポイントが高いですね。

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燃費だけでなく疲れも抑える
優秀なアイドリングストップ

上にも書いたように、PCX150にはアイドリングストップ機能が付いていて、省燃費に貢献しています。このアイドリングストップに慣れてくると、たまにほかのバイクに乗った際、信号待ちでエンジンが止まらないと、それだけで「あぁ~余計な排ガスまき散らしてるな……」なんて罪悪感にさいなまれるようになってきます。それだけエコに関心が向くようになる、という効用もありそうですね。

それからもう一つ。信号待ちでアイドリングストップをすると、疲れにくい気がします。どんなに静かなマシンでもアイドリングをしていると細かい振動が手やお尻に伝わります。たとえ短時間でもその振動がないだけで体への負担が減り、結果的に1日乗った後の疲労度がかなり違う気がします。特に都市部で通勤、通学など毎日のように乗る人にとっては、アイドリングストップによって疲労の蓄積が減るのはありがたいことでしょう。

新型になったPCX150は、前モデルに比べてバッテリー容量が少しアップしたほか、全灯火類がLED化されました。それに加えて、バッテリー電圧が低下するとアイドリングストップを行わない機構が組み込まれたので、前モデルで不安がられていた「アイドリングストップを多用するとバッテリー上がりを起こすのでは?」という不安が解消されています。ACGスターターの採用で、アクセルをちょっとひねればすぐさま反応してスムーズに再始動するこのアイドリングストップ機構は、完全LED灯火とともに、エコで未来志向のマシンに乗っているんだ、という満足感を与えてくれます。これは、数あるスクーターの中でもPCXでしか得られない大きなメリットだと思います。

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125or150…!? 悩んだら
個人的には150を推します!!

PCXの購入を考えたとき、きっと多くの人が悩むであろう問題が「125にするか150にするか?」という点でしょう。150のほうが有利だと感じるのは、高速や自動車専用道路に乗れるという点や、信号スタート時の加速や坂道でのトルクフルな走りが挙げられます。

新車価格は150が約3万円高く、毎年の軽自動車税は125が1600円に対して150は2400円。また150は軽2輪のため、新車購入時に重量税6300円が必要になります。自賠責保険は1年あたりの保険料で比べると、約2000円ちょっと150のほうが高くなります。もっとも差があるのは任意保険で、125は四輪を持っていればファミリーバイク特約で年間約6000円程度に対し、150は単独で保険に加入する必要があるため、最低でも年間2万円程度はかかると思った方がいいでしょう。

コスト面では125がやや有利といえますが、この差をどうとらえるかは、個々の乗り方によるのでは、と思います。近距離の通勤や買い物に限った乗り方なら迷わず125でいいと思いますが、高速のアクセスがいい所に住んでいて、たまに通勤通学にも高速を使いたい、あるいは現在250ccクラスのスクーターやバイクをすでに持っていて、それの入れ替えとして購入する場合は、150を選んだ方が幸せになれるでしょう。ちなみに僕がもし買うなら、急いでいるときやたまにツーリングにも使うことも考慮して、やはり高速に乗れることのメリットを重視したいので、150を選択すると思います。この3ヵ月間、実際高速道路に乗れてよかった、と思うことが何度もありましたからね!

いざという時高速に乗れるという安心感と、125よりもトルクと余裕のある走りができるということだけでも、コストの差が気にならないほどの魅力をPCX150は持っていると感じました。連載途中では不満点もいくつか書きましたが、総合的に見てPCX150はシティコミューターとしての新しい未来と可能性を感じさせてくれる、素晴らしいマシンだと思います。

ホンダ PCX150のチェックポイント!

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低燃費と燃料タンク容量の大きさからくる航続距離の長さは魅力です。この時の給油量は7.1Lで、燃費は約42km/Lでした。

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シート高は760mmとそこそこあるのと、シートが硬めなので足着き性はそれほど良くはありません。テスターは身長170cm、足短めで、両足だとかかとが浮いてしまいます。

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高速道路に乗れるということは、友達と一緒にツーリングに行く機会も増える、なんてメリットもあるかも!?

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LEDの灯火類は、薄暗い雨の日でもよく目立ち、被視認性と安全性を高めてくれます。

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すっかり見慣れた、この精悍なフォルムともいよいよお別れです。ありがとう、PCX150!!

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