【キムコ GP125i試乗記事】新たに打ち出した「通勤快足」は日本車勢と真っ向勝負

掲載日:2018年11月07日 試乗インプレ・レビュー    

取材、写真、文/西野鉄平

【キムコ GP125i試乗記事】新たに打ち出した「通勤快足」は日本車勢と真っ向勝負

KYMCO GP125i

軽量コンパクトな車体と
衝撃の価格設定で日本上陸

2018年7月からAT原付二種免許は最短2日で取得が可能となった。それを受け、夏以降各社の原二ラインナップが拡充されている。台湾ブランドのキムコも125ccスクーターを続々とリリース。その1台が2018年10月1日に発売開始された『GP125i』だ。

軽量コンパクトをウリにした車体は、これまでスズキのアドレスシリーズや、ヤマハのアクシスシリーズをはじめ、日本で長く好まれてきた。通勤、通学の足として使うユーザーも多く、この手の車種は通勤快足車と呼ばれることもある。

GP125iは、日本メーカーが得意とするそのカテゴリへ驚くべき価格で切り込んできた。メーカー希望小売価格は消費税8%込みで18万3,600円! 20万円を下回る価格設定は、現行の日本車では原付一種(50cc)の相場となる。

キムコ GP125i 特徴

グローバルブランドらしい戦略車
用途を絞り込んだ設計が潔い

キムコ GP125iの試乗インプレッション

生産は中国工場。メインマーケットは中国、台湾、日本だろう。前後10インチサイズのホイールを採用し、狭い市街地の走行が中心となるライダーへ向けて開発された車種だ。道路の舗装化がまだ充実していない東南アジアや、いまも石畳が多く残る欧州ではもう少し大きなホイール径14インチ以上が好まれる。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

前後10インチの小径ホイールを採用している日本車は、現行ではスズキのスウィッシュとヤマハのアクシスZのみとなる。メーカー希望小売価格(消費税8%込み)で見ると、スウィッシュは31万8,600円、アクシスZは24万3,000円。同じ125ccスクーターで比べると、GP125iの安さがいっそう際立つ。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

全長1,810mm×全幅705mm×全高1,100mmの車体は、同セグメントでトップクラスのコンパクトさだ。バイクの置き場に悩んでいるライダーにはありがたい。乾燥重量は106kg。アクシスZと比べると6kg重くなるが、現行の125ccモデルでは充分に軽い部類に入る。

キムコ GP125i 試乗インプレッション

舗装路での小回りとスタートダッシュに特化した
軽快な走行性能が魅力

キムコ GP125iの試乗インプレッション

エンジンは空冷単気筒 SOHC 2バルブ。最高出力は6.5kW/7,000rpm。この数値は決して高い方ではない。ホンダのPCXは9.0kW/8,500rpmだし、キムコでも2018年10月9日に発売された「ターセリー S 125」は8.3kW/8,500rpmとなる。

ただ、今回ターセリーと乗り比べを行なったところ、初速と加速では完全にGP125iが上回っていた。125cc未満という限られた排気量でスピード感を上げるには、軽量化が手っ取り早い。装備満載のターセリーと比べると車重が24kgも軽く、出足が早いのは当たり前だ。体重70kgの筆者の場合6,000rpm前後で時速60kmに達した。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

小さなボディで狭い街中をキビキビと走れる車体は、まさに通勤快足と呼ぶにふさわしい。クイックネスなコーナリングこそ小径ホイール車の本領といえる。ハンドリングが非常に軽く、身体全体を使わずとも腕をクイッと動かすだけで車体を操れる。試しに私有地で蛇行運転をしてみたが、想像を超える軽さにコントロールが追いつかず慌てたほどだ。

あまり用途としては考えにくいが、峠道などワインディングは得意ではない印象だ。バンク角が浅く、思いのほか早くセンタースタンドが接地してしまう。日常的に生活の足として市街地を走る分にはまず問題ないレベルだが、ツーリングで峠を攻めたいと考えている人にはおすすめしにくい。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

それでもコーナリングが楽しい車両だとつくづく感じた。フットボード前方が斜めになっていて、しっかりと足の裏で踏ん張りが利く。コーナーのRが小さくなればなるほど、小径タイヤが活きてくる。

街中ではその俊足に高ぶる気持ちを抑えるのが大変だった。信号待ちで青になった瞬間の飛び出しは爽快そのもの。その反面、長距離となるとやや気が重くなる。小回り重視の設計で、短距離走に特化したスプリントマシンなのだ。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

サスペンションはフロントがテレスコピック式、リアはユニットスイングが採用されている。ベーシックな原付のサスペンションで、高い衝撃吸収性を望むよりも軽量化とコスト軽減に貢献している。そもそも10インチホイールを採用しているから、あくまで舗装路オンリーの使用が想定されている。ハイスピードで段差に乗り上げると肝を冷やすので、気を付けたい。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

フロントブレーキは冷却性能が高いペタルディスクが採用されている。リアブレーキはドラム式。これも原付ではベーシックな組み合わせ。急ブレーキも試してみたが、制動力は充分だった。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

ライダーの身長は176cm。50ccスクーターとまではいかないが、コンパクトな車体が分かると思う。ひとりで乗る分には充分に余裕があり、フットボードも広くて快適だ。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

シート高は745mm。同じ10インチホイールのスズキ・スウィッシュや、ヤマハ・アクシスZと比べて最も低い。一般的な50ccスクーターより20mmほど高いだけで、足つき性は抜群。パッと乗って近所のコンビニやスーパーへ行くときに嬉しい。日常の足として、乗ることに億劫さを感じさせない手軽さは大きなポイントだ。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

取り回しもラクラク。軽くてシート高も低いので、跨ったまま後ろに下がるのも容易。50ccスクーターからのステップアップも、何のプレッシャーを感じることなく扱えるだろう。

コストを抑えながらもデザインは凝っている。後方へ跳ね上がるように直線的に流れるラインはスポーティで、そのキャラクターを際立たせている。車体色は写真の「パーリーホワイト」と「ゴールデンブラック」がラインナップ。

キムコ GP125iの試乗インプレッション

単純に価格を見たときは「最低限の仕様と装備なんだろうな」と思っていたが、乗ってみると考えが変わった。軽量化に努め、装備の無駄を嫌い、その結果として部品を減らし、価格も抑えられている。小さなバイクで味わえる一番の魅力、クイックネスさを追い求めた走行性能に「探していたのはこれだ!」とハマる人もいることだろう。

ここからはユーティリティを含め、ディテールを紹介しよう。じつはUSB電源ソケットの装備やメーターが多機能だったりと、意外に機能性も高い。さらに、2018年末まではデビューフェアとしてリアボックスがもらえるお得なキャンペーンも展開中だ。

詳細写真

ハンドル幅は705mm。一般的な原付二種のサイズ感。キムコは台湾ブランドの外国車だが、スイッチ類の操作は日本の原付と変わらない。

メーターは多機能液晶とアナログタコメーターを組み合わせたコンビネーションタイプ。左側の液晶部分にはデジタルスピード、オドメーター、トリップメーター、時計に加え、燃料計まで備わっている。右側はアナログ表示のタコメーターと各種警告灯。

グローブボックスは500mlのペットボトルが縦に入る大型のもの。コンビニフックもフットボードが広いので重宝するだろう。

グローブボックスの左側上部はUSB電源ソケットが備わっている。位置もスマホの充電にぴったり。

シートはシンプルな一体型。2人乗りの際、タンデマーはリアウイングの付け根を掴むことができる。コンビニフックはシート前方下部にも備わっている。

アルミ製リアウイング。デザイン性が高く飾りに見えるが、ストレッチコードなどを使えば荷物を積むことも充分にできる。最大積載重量は5kgの設定。

シート下ラゲッジはイグニッションキーをオフの状態で左へ回せば開く。ラゲッジ内は底部分にでこぼこがあるため、ヘルメットは半キャップタイプが入る程度。2018年末まで実施しているデビューフェアで、車両と同時にリアボックスを手に入れるのが吉だ。詳細はこの記事の末にて。

給油口はラゲッジ内にある。鍵を挿すことなく開けられて便利。タンク容量は4.5リットル。推奨ガソリンはレギュラーだ。

タンデムステップはボタンを押すと開くコンパクトなタイプが採用されている。

ヘッドライトとウインカーはバルブ。クリアレンズのため充分に明るい。

テールランプのみLEDが採用されている。こちらもクリアレンズで被視認性が高い。

広めのフットボード。ふたつのコンビニフックが活躍する。レッグシールドの両サイドに備わったリフレクターが外国車らしさを示す。

マフラーは太めで排気音はとてもおとなしい印象。マフラーガードも広くマフラー本体を覆っているためタンデマーも安心。

スイッチ類はいたってシンプルだがパッシングが備わっている。ハザードランプの装備はない。

真っ赤なキャリパーが特徴的なフロントブレーキ。ペタルディスクの縁も赤い。キャリパーにはディスクが巻き上げる雨水などの泥よけまでついている。

テレスコピック式正立フロントフォークは、このクラスの原付では標準的な仕様。アンダーカウルの造形はまるでカスタムスクーターのよう。

リアブレーキはドラム式。不安さを感じる人もいるかもしれないが、このクラスではリアもディスクの車種は少ない方。車体が軽く、トップスピードもそこまで出ないため、充分といえる。

リアサスペンションのスプリングも真っ赤でフロントブレーキとともに挿し色になっている。ユニットスイング式を採用し、舗装路での使用を想定した設計。

徹底した軽量化のなかで、サイドスタンドとセンタースタンドの両方を標準装備。メンテナンスすることを考えての配慮だろう。キムコ車は日本車とほとんど変わらない構造なので、セルフメンテナンスもしやすいし、町のバイク屋さんも対応してくれる場合が多い。

このモデルでとくに気に入っているポイントが、カウルからシート、リアキャリアへと流れるラインの美しさ、デザインへのこだわりを感じるところだ。安さだけが魅力じゃないとあらためて思った次第だ。

2018年12月31日まで!
お得なキャンペーン開催中!

2018年12月31日までにGP125iを成約すると、先着300台限定でKAPPA製リアボックスまたはリード工業製ヘルメットがプレゼントされるフェアを開催中だ。

リアボックスの容量は30リットル。サイズ(約)は幅42cm×奥行39cm×高さ31.5cm。写真のようなジェットタイプや、オンロードのフルフェイスヘルメットが入る大きさだ。シート下ラゲッジには入らないため、これがあるととても便利。

同梱の取り付けプレートがリアウイングにそのまま装着できるため、別途キャリアを用意する必要はないというのも嬉しいポイントだ。

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