ヤマハ TMAX530(2017) 試乗インプレ・レビュー

ヤマハ TMAX530(2017)

TMAX530 DX/SX
YAMAHA

ヤマハ TMAX530(2017)

掲載日:2017年05月16日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

取材・文・写真/田宮 徹

熟成の手を緩めることなく
このカテゴリーをけん引し続ける

ヤマハのTMAXシリーズは、スポーツバイクに極めて近い走行性能を持つビッグスクーターのパイオニアとして、2001年型でデビュー。その後、数年ごとにモデルチェンジやマイナーチェンジを繰り返し、常に国内仕様の設定も行われている。

近年では2013年型で、排気量アップをはじめとする大幅刷新を受け、2015年型でも各部をアップデート。そしてこの2017年型で、さらなる進化を果たした。マイチェンを含めるとシリーズ6代目となるこの新型では、電子制御が充実。国内仕様はDXとSXの2タイプ設定となり、とくにDX(今回の試乗モデル)は特徴であるスポーツ性を犠牲にすることなくビッグスクーターらしい快適装備が多数盛り込まれた。

ヤマハ TMAX530(2017) 特徴

電子制御化と装備充実化で
新世代のオートマチックスポーツに

ヤマハ TMAX530(2017)の試乗インプレッション

国内仕様が2017年4月から発売開始となった新TMAX530シリーズは、「Master of Scooter」をコンセプトに開発された。まず、ヤマハ製スクーターとしては初めてYCC-T(電子制御スロットル)を採用。出力特性選択機構のD-MODEを備え、市街地での扱いやすさを重視したTモードと、パワーおよびスポーティなフィーリングを優先したSモードを設定。さらに、トラクションコントロールを搭載している。

ヤマハ TMAX530(2017)の試乗インプレッション

車体は、新設計の軽量アルミダイキャストフレームを採用し、アルミ製リアアームやモノクロスサスペンションも新作。リアホイールの4.50インチ幅化や樹脂製リアフレームの採用などで、軽量化を図ってある。従来型と新型SXで比べると、7kgのダイエットに成功したことになる。もちろん、これらの変更に加えて外観やインテリアも刷新。TMAXらしさを十分に残しながら、洗練されたイメージとなった。スマートキーシステムは継承される。

ヤマハ TMAX530(2017)の試乗インプレッション

国内仕様の場合、SXがスタンダードという扱い。そして上級版となるDXは、クルーズコントロールシステム、電動調整式スクリーン、グリップおよびメインシートのヒーターを標準装備。リアショックは、DXのみプリロードと伸側減衰力が調整できる。

ヤマハ TMAX530(2017) 試乗インプレッション

よりスムーズな加速感と
洗練されたコーナリング性能

ヤマハ TMAX530(2017)の試乗インプレッション

これまで、スポーツ性を主題に開発が続けられてきたTMAX。この2017年型でコミューターとしての機能性も向上したが、走りを優先させるその姿勢に揺らぎはない。おかげでシートポジションは高く、身長167cmの筆者がバックレストに腰をつけたまま足を出すと、片足がようやく接地する程度。シート最前部に座っても、やじろべえ状態である。

欧州市場をメインターゲットとする機種ということもあり、大柄なライダーが乗ることを想定したようなコクピット設計。バックレストに腰をつけて足を前に投げ出すと、筆者の場合は完全に膝が伸びる。膝を軽く曲げ、フロアボードに足をつくと、大きなフロアトンネルがふくらはぎの内側に不快感のない程度に当たり、ホールド感を得られる。

ヤマハ TMAX530(2017)の試乗インプレッション

排気音は、ややこもった音質で力強い。またがるまでは大柄な印象だったが、ハンドル越しのフロントまわりは意外とスリムで、それほど大きさは感じられない。さらに、走り出すと印象はがらりと変わる。車重そのものも、今回試乗したDXでも先代より4kg軽いが、新作フレームによるエンジン搭載位置の見直しや、リアまわりを中心としたバネ下重量の低減は、その数値以上に効果を発揮している。軽快さは先代をさらに上回り、おかげで走っているときに極端な大きさや重さを感じることはない。

電子制御スロットルを採用したパワーユニットは、滑らかなフィーリングがプラスされたが、Sモードでガバッとスロットルを開けると十分すぎるほど元気よく加速。頼もしさは継承されている。TモードとSモードでは、俊敏性に大きな違いがあり、TからSに変更したことを忘れてスロットルを開けると、ちょっと驚かされることもある。ただし、どちらの状態でもまるで問題なく常用できる味つけだ。

ヤマハ TMAX530(2017)の試乗インプレッション

フロントフォークそのものは2015年型から継承されるが、足まわりも刷新。リアアームやリアショックなどの足まわりは新作され、前後タイヤの軽量化も施されている。これまでもスポーティで上質な動きが感じられたが、2017年型はさらに上。良い意味でスクーターらしくなく、スポーツバイクのように旋回できる。首都高速などでギャップを通過しても、あるいはハードにブレーキングしても、サスペンションがしっかり仕事をしてくれるので、安心してコントロールできる。

ブレーキは、前後ともコントローラブル。両仕様に標準装備されているアンチロック機構は、リア側の介入がやや多めに感じられたが、これは乗り方やスピードレンジや走るフィールドによっても、印象が変わる部分だろう。なんにせよ、頼れる足まわりとブレーキのおかげもあって、スポーティに駆けるのが楽しく、日常の移動にも安心して使える。

ヤマハ TMAX530(2017)の試乗インプレッション

安心といえば、この型でトラクションコントロールが新採用されたことも見逃せない。残念ながらというべきか、今回はウェット走行ができなかったので、未舗装の路面で作動を試してみたが、その制御は非常に繊細で、介入による不具合は感じられなかった。路面状況が刻々と変わるツーリング時などに、大きな安心につながるアイテムだ。

DXの場合、スクリーンは電動調整式。一番上にセットすると、前側からの走行風はかなりカットされる。ただしこの状態で筆者の座高だと、負圧による気流の乱れがカラダに感じられ、その点では快適ではなかった。せっかく無段階で調整できるのだから、闇雲に一番上側とか下側とかで使うのではなく、自分の背丈と優先する快適性を考慮して、自分なりのベストセッティングを見つけることが大切である。

発表されている最高出力では、先代よりも2馬力ダウンとなったが、Sモードでスロットルを開けたときの加速感は、その差をまったく感じさせず、むしろスムーズさが増したことで、シュイーンと加速していく気持ちよさがある。コーナリング性能はさらに磨かれ、ワインディングでは車体のどこかを擦るようなこともほとんどないまま、スロットルとブレーキの操作に集中したスポーティなライディングを楽しませてくれる。

まるでライバル車とし烈な競争を続けるスーパースポーツのように、大ブームが去ってからも改良と熟成を繰り返してきたTMAX。芯は変えず、時代に合わせて進化した2017年型のDXは、機能性も大幅に向上されたが、やっぱりスポーツバイクだった。

詳細写真

2015年型で新採用した、インナーチューブ径41mmの倒立フロントフォークとラジアルマウント対向4ポットキャリパーのフロントブレーキを継承。フロントフォークはシリーズ初代から、上下クランプで支持されるテレスコピック式だ。

リアブレーキも当然ながらディスク式で、スクーターらしい大径タイプ。2017型では、タイヤサイズはそのままにリアホイールリム幅が4.50サイズにナロー化され、前後タイヤも軽量タイプに。バネ下重量低減に貢献している。

アルミダイキャスト製のリアアームは、従来型よりも40mmロング。駆動力変化に伴う対地角変位量を最適化してある。リンク式モノクロスサスも新設計。Vベルトは軽量で強度に優れた25mm幅とされ、前後プーリーも新作された。

DXは、電動調整式スクリーンをシリーズで初採用。左ハンドルスイッチの操作により、上下135mm幅で任意の高さにスライドできる。またSXは、取り付けボルトの位置を変更することで、上下55mm幅で2段階から選択できる。

LED4灯ヘッドランプと導光体の組み合わせにより、エレガントで精悍なフロントフェイスを確立。レンズ輪郭にクロームのラインを入れ、エクステンションをシルバーとするなど、造形美に対する細かいこだわりが見える。

ハンドル下部右側には、財布やスマートフォンなどを入れておくのに便利なグローブボックスを装備。内部にはDC12V電源ソケットを備え、ハンドルロックなどと連動して自動で施錠や解錠される機能が盛り込まれている。

2017年型のシート下トランクは、新設計フレームと樹脂製ボックスのコンビネーションにより、スペース効率を向上。ジェット型ヘルメットなら、サイズや形状によっては2個同時収納が可能になった。内部照明を備える。

シートおよびフューエルリッドを解錠するためのスイッチは、シートの前側に配置されている。給油口は、そのスイッチの前方に。燃料タンク容量は、従来型と同じ15L。フロアトンネルは、幅と高さがかなりある設計だ。

DX仕様の左側ハンドルスイッチ部。電動調整式スクリーンやクルーズコントロールを標準装備するため、これらを操作するスイッチが巧みに配置されている。スイッチボックス下部に、パーキングブレーキ用のレバーを備える。

2017年型では新たに、YCC-T(電子制御スロットル)とD-MODE(出力特性切り替え機構)を採用。モードは、右手側ハンドルスイッチ部のボタンで切り替える。ハンドルカバー部に見えるのは、ハンドルロック用のスイッチだ。

メーターパネルも、2017年型でニューデザインに。左側に指針式速度計、右側に同じく指針式の回転計、そして中央部には新たに3.5インチのモノクロームTFT表示モニターが設置され、スポーティで高級感のある雰囲気にまとめる。

メーター中央部に配されたTFTモニターには、時刻やツイントリップ、外気温に加えて、半円メーター状の燃料計と水温計、モードの状態なども表示される。さらにDXは、標準装備されるヒーター類の作動状況も確認可能だ。

SPECIFICATIONS – YAMAHA TMAX530 DX/SX

ヤマハ TMAX530(2017) 写真

価格(消費税込み) =
DX=135万円/SX=124万2,000円

※表示価格は2017年5月現在

スポーティな走行性能と、フルオートマチック変速スクーターの利便性を、高い次元で融合。2017年型でシリーズ6代目となり、電子制御の充実化による運動性と快適性の向上を果たした。

■エンジン型式 = 水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ

■総排気量 = 530cc

■ボア×ストローク = 68.0×73.0mm

■最高出力 = 34kw(46PS)/6,750rpm

■最大トルク = 53N・m(5.4kgf-m)/5,250rpm

■燃料供給 = フューエルインジェクション

■トランスミッション = Vベルト無段変速式

■サイズ = 全長2,200×全幅765×全高1,420mm

■ホイールベース = 1,575mm

■シート高 = 800mm

■車両重量 = DX=218kg/SX=215kg

■燃料タンク容量 = 15リットル

■Fタイヤサイズ = 120/70R15

■Rタイヤサイズ = 160/60R15

■ブレーキ形式(F/R) = 油圧式ダブルディスク/油圧式シングルディスク

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