ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー 試乗インプレ・レビュー

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー
ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー

掲載日:2017年03月09日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/山家 健一  衣装協力/HYOD

誕生以来の伝統を受け継ぐベスパの
「冒険」をテーマにした最新モデル

イタリアン・スクーターの老舗ブランド、ベスパは1946年に誕生して以来、一貫してスチール製モノコックボディやエンジンと駆動系が一体となったスイングユニット方式を採用。航空機に由来するテクノロジーを取り入れたモノコック構造や片持ち式フロントサスペンションなどが特徴となっている。ベスパ(Vespa)とはイタリア語でスズメバチを意味するもので、その名の由来となったふっくらとしたボディラインや2ストロークエンジンの甲高い排気音が特徴のハンドシフトモデルを生産していたが、現行ラインナップでは4ストロークエンジン搭載のATモデルが主流となっている。ちなみにベスパはかつてパリ・ダカールラリーをそのままの姿で完走し、そのタフネスぶりを世に知らしめた実績がある。今回ご紹介する「スプリント150ABSアドベンチャー」はそんなベスパの冒険心をイメージしたモデルと言えるだろう。

動画『やさしいバイク解説:ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー』はコチラ

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー 特徴

スプリントにキャリアラックを装備し
専用カラーで仕上げたカスタム仕様

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャーの試乗インプレッション

ベスパの伝統的な角型ヘッドライトを採用したスポーティモデルであるスプリント150をベースに、冒険をイメージしたヘビーデューティな装備とテイストを取り入れた最新モデルが「スプリント150ABSアドベンチャー」である。

スプリント150と共通のスペックとしては、パワーユニットに新設計の空冷単気筒SOHC3バルブ150cc「 i-Get 」エンジンを採用。よりコンパクトに静寂性を高めたエキゾーストシステムや新型ドライブシャフトとエアーボックスの採用、FIシステムの改良などによりパワーと燃費を向上させている。

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャーの試乗インプレッション

車体面でもモノコック構造を徹底的に見直した新型スモールボディを採用し、ホイールベースの延長によりライポジの余裕と快適性を向上させつつ車体剛性を大幅に向上。前後ホイールを従来の11インチから新たに12インチに大径化するとともに、デザインを上質感のあるスポークリムタイプに変更するなどアップグレード。さらにABSシステムをフロントブレーキに装備することで安全性も大幅に高められている。

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャーの試乗インプレッション

また、スマホなどのIT機器に対応したUSB給電ポートをグローブボックス内に設置、電動サドルオープナーを標準装備するなど利便性も向上。LEDポジションランプや液晶ディスプレイと一体化したスポーティで上品なインストルメントパネルなどの装備もベスパならではだ。

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャーの試乗インプレッション

なお、「スプリント150ABSアドベンチャー」だけの特別装備としては、前後に大型キャリアーラックを装備するとともに、防風効果を高めるスモークスクリーンをハンドルにマウント。マット調の専用カラーを基調にホイールやミラー、マフラーカバーなどのディテールをマットブラックで仕上げるなど、実用性に遊び心をプラスしたユニークな冒険マインド溢れる仕様となっている。

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ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー 試乗インプレッション

元気なエンジンに信頼感のある車体
エレガントな無骨さが実にカッコいい

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャーの試乗インプレッション

ベスパに「アドベンチャー」というネームはおよそ似合わない感じがするかもしれない。だが、実は1980年の第2回パリ・ダカールラリーにおいて4台の ベスパP200Eが参戦し、何とそのうちの2台が完走するという快挙を成し遂げている。パリダカと言えば、世界一過酷と言われる冒険ラリーの代名詞。ファクトリー体制でのバックアップがあったとは言え、荒涼たる砂漠やガレ場を超えてのスクーターでの長旅は想像を絶するものだ。そんな男のロマンに現実味をもって応えてくれそうなモデルが「スプリント150ABSアドベンチャー」である。

「アドベンチャー」は元々、ベスパの生産拠点があるベトナムからの要望により開発が進められたという。ベトナムに限らずだが、東南アジアの田舎に行くとまだまだ未舗装路が多く、バイクやスクーターは庶民の足であり荷物を運ぶ実用車でもある。このモデルに独特の雰囲気を与えている前後に装備されたキャリアーラックは、まさに“使える道具”を連想させるものだ。お洒落なベスパに剥き出しの荷台を無造作にくっ付けたミスマッチ感に最初はやや戸惑うが、見慣れるとこの無骨さがなんともカッコよく思えてくる。砂漠をイメージしたという淡い黄褐色のアースカラーと黒塗りの機能パーツ、そしてシンブルなスモークスクリーンがまた実によく似合っているのだ。

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャーの試乗インプレッション

ベースとなったスプリント150ABSは2016年にモデルチェンジを行い、エンジンと足まわりが変わっている。アドベンチャーも同様で、新設計の「 i-Get 」エンジンは最高出力が1psほど増えてより元気になった。旧型と乗り比べたわけではないので明確なことは言えないが、加速にメリハリが出てきた気がする。

最近乗った同じくベスパのプリマベーラ(125cc)に比べても、やはり上乗せされた力強さを感じる。スロットルを開けたときの出足の良さや、中間加速からの伸び感などは排気量以上のものがある。150ccということで普通二輪免許になってしまうが、タンデムで高速道路にも乗れるというのが魅力。そのために高速巡行できる動力性能も備えているということだ。スクリーンも視界の邪魔にならない程よい大きさで、走行風から顔の下半分をプロテクトしてくれる。取り付けもしっかりしていて強度も十分だ。

乗り味に関しては、ベスパ独特のスチールモノコック構造が影響していると思うが、カッチリとした剛性感が印象的。新型ではホイールサイズが拡大され、前後12インチが採用されたおかげでコーナリングでの安定感も高まっている。加えてABSがフロントに装備されたことで、万が一の急ブレーキも安心してかけられるようになったし、リアブレーキもこれに合わせてロックしにくい設定になっている。

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャーの試乗インプレッション

車体の前後に装備されたラックは耐荷重4kgということで、けっこうな荷物も詰めるはずだが、畳むためのバネが強いので柔らかいモノは向いていないだろう。雰囲気からいって林檎を詰めた木箱などを積んでお洒落に街を流すか、アタッシュケースを括り付けてビジネス街を疾走しても絵になるし、キャンプ道具を満載して冒険への旅立ちを演出してみるのもいいかも。

見栄えのする大柄な車体に存在感のあるシルエット。ベスパが本来持っているエレガントさの中にワイルドな冒険マインドを詰め込んだロマン溢れるスクーターである。渋い大人の男性にこそ是非乗ってもらいたい一台だ。

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャーの試乗インプレッション

詳細写真

空冷4ストローク単気筒SOHC3バルブにFIシステムを組み合わせた新型「i-Get 」エンジンを搭載。現代のスクーターでは一般的なCVT(自動無段階変速機構)や自動遠心クラッチなどの駆動系が一体となったスイングユニット方式はベスパが最初に導入したシステムである。

エキゾーストシステムの見直しや新型ドライブシャフトとエアボックスの採用、FI効率の向上により従来モデルに比べて馬力は1.1psアップの12.7psに、トルクもさらに向上。加えてカテゴリー最高レベルの燃費性能を実現している。

伝統的な角型ヘッドランプは1963年発売のVespa GLに初めて装備されて以来、ベスパのスポーティモデルに採用されている伝統的デアイテム。そのライトを取り囲むようにマウントされたスモークスクリーンはアドベンチャーの特別装備。

メッキパーツで縁取りされた大きな角形テールランプが印象的なリアビュー。ボリューム感のあるボディ一体型リアカウルの左右にはフロント同様ビルトインタイプのウインカーを装備する。

前後ホイールを12インチに拡大しABSをフロントに装備することで安全性とハンドリングを向上。ブレーキはフロントφ200mmディスクタイプ、リアφ140mmドラムタイプをそれぞれ採用する。ホイール脱着が容易な片持ち式フロントサスペンションはベスパの伝統だ。

レッグシールドに内蔵されたグローブボックスの容量は少なめ。右側スペースにはヒューズ関係、左側のスペースにはUSB電源ポートを装備する。

ブラックレザーと白いダブルステッチやパイピングのコントラストが美しいシート。他のベスパ同様、クッションはコシがあってスポーティな乗り心地。ホールド性に優れ、タンデムでも十分ゆとりのあるスペースを確保している。

電動サドルオープナーによりスイッチひとつでロックを解除できるシート下スペース。ジェット型ヘルメットなどが余裕で1個収納できるスペースだ。右後部には給油口が見える。

他のベスパのモデル同様、シート下スペースのトレーは簡単に取り外すことができ、ユニットスイング部分に容易にアクセスできるなど整備性の良さもポイント。ボディを形作る外装そのものが強度部材にもなっているモノコック構造がよく分かる。

耐荷重4kgのキャリアーラックを前後に装備。シート後方のラックはグラブバーと一体化した構造で、普段はバネ仕掛けで折りたたまれている。荷台のスペースは広くはないが工夫次第でいろいろなモノが積めるはずだ。

乗り降りしやすいフラットで広々としたフットレストまわりを確保。滑り止めのゴムが前後方向にセットされていて雨の日でも安心感がある。レッグシールドの縁に取り付けられたブラックカラーのモールはアドベンチャー独自の仕様。

シンプルでエレガントなメーターまわり。アナログ式速度メーターの下にはマルチファンクション液晶パネルを採用。オドメーター、ガソリン残量、トリップ、時計などを表示する。

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー 動画でチェック!

SPECIFICATIONS – VESPA Sprint150ABS ADVENTURE

ベスパ スプリント150ABS アドベンチャー 写真

価格(消費税込み) = 52万8000円
※表示価格は2017年3月現在

ベスパの伝統的な角型ヘッドライトを採用したスポーティモデルであるスプリント150をベースに、「冒険」をイメージしたヘビーデューティな装備とテイストを盛り込んだ最新モデル。

■エンジン型式 = 空冷4ストローク単気筒 SOHC 3バルブ

■総排気量 = 154.8cc

■ボア×ストローク = -

■最高出力 = 12.7ps/7,750rpm

■最大トルク = 12.8Nm/6,500rpm

■トランスミッション = 自動無段階変速

■サイズ = 全長1,863mm×全幅695mm×全高1,160mm

■車両重量 = 130kg

■シート高 = 790mm

■ホイールベース = 1,344mm

■タンク容量 = 9リットル

■Fタイヤサイズ = 110/70-12

■Rタイヤサイズ = 120/70-12

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