アディバ ADトレ 試乗インプレ・レビュー

アディバ ADトレ
アディバ ADトレ

アディバ ADトレ

掲載日:2014年03月05日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/田宮 徹

開閉式ルーフ機構で知られる
イタリアンブランドのアディバ

アディバは、ニコラ・ポジオが開発した開閉式ルーフ付きスクーターを主軸とするイタリアのブランドである。04年に国際特許を取得したこのルーフ付きモデルに加え、近年ではイタリアンテイスト溢れるデザインと台湾生産による価格低減を両立させたスモールコミューターシリーズを発売するなど、ラインアップを拡充している。このアディバから、日本市場へは13年末に投入されたニューモデルが、定評ある開閉式ルーフや大型トランクなどの利便性と、独自のフロント2輪機構を組み合わせたADトレ。全天候型で操縦安定性にも優れた、オリジナリティいっぱいのシティコミューターが目指されている。

アディバ ADトレ 特徴

アディバ ADトレ 写真 アディバ ADトレ 写真 アディバ ADトレ 写真


アディバならではのルーフ機構に
フロント2ホイール機構をプラス

アディバ ADトレ 写真ADトレ最大の特徴となるフロント2ホイール操舵機構には、「インディペンデント・クワトロウイッシュボーン」システムが採用されている。左右ホイールの中心にある支柱のような場所から、左右各2本のアームが伸び、その先にホイールを装着。左右のロアアームをつなぐように、モノショックを水平配置する。この説明だけでは、どのような機構かあまりピンとこない人も多いと思うが、つまりはすでに市場で大人気となっている同じイタリアの某ブランドが使っているのとは、まったく異なるシステムということになる。

 

開閉式ルーフや大型リアトランクなどの機構は、基本的にはこれまでのADシリーズを踏襲している。2ヵ所のロックを外して3つに折りたたむだけで、ルーフはリアトランクに収納可能。この状態でも、かなり大きなウインドシールドは残り、ライダーを走行風から守ってくれる。

 

エンジンは台湾のキムコ社製で、これまでAD200(ルーフ付きの2輪モデル)に使われていたモノよりも排気量がアップした、現在の主力タイプ。フルサイズの250ccに迫る出力を発揮する。

アディバ ADトレ 試乗インプレッション

二輪的でもあり新感覚でもある
独特なハンドリングを楽しみたい

アディバ ADトレ 写真排気量は約200ccだが、開閉式ルーフや大型リアトランクをはじめとする豪華装備に加えフロント2ホイール機構を備えた車体は、かなりの重量がある。エンジンが停止した状態での取り回しは、少し慎重に行いたい。またがると、シートは高さ740mmの設定ながら、幅がかなり広いため、前方に座った状態であっても、身長167cmの筆者だと足の裏が1/3ほど接地している感じ。また、フロントサスペンションのロック機構は備えていないため、停車時には基本的に、足を着く必要がある。

 

ただし、3点支持による安定感から、慣れてくるとかなりの高確率で、足を着かずに止まっていることができた。もちろん、その状態であってもライダーが少し動けば車体が傾いてしまうため注意が必要だが、バランス感覚に自信のあるライダーは、ぜひ挑戦してもらいたい。

 

アディバ ADトレ 写真フロント機構がかなり大きいため、フロアボード前方には足を投げ出せるようなスペースはない。しかし、ライダー側のシートは前後長があるため、タンデムライダーがいない状態でシート後方に座れば、まったく窮屈な印象はない。一方でタンデム時も、多少はライダーの座る位置が限定されるが、とは言え200ccクラスとして考えればかなり快適である。タンデムシートも、バックレストとサイドサポートのおかげで居住性は良い。ルーフを使用した状態では、タンデムライダーとルーフが干渉しやすいが、ルーフを折りたたんでおけばとにかく快適に乗れる。

 

ちなみにライダー側は、筆者の身長であればルーフから受ける圧迫感は皆無である。またハンドルは、やや幅が狭く、シートに対してはやや近め。その前方には、非常に大きなウインドシールドがあり、サイドにラウンドしながらライダーを守る。防風性に優れる一方で、視界の歪みが気になるところだが、かなりうまく設計されていて、実際には視界に対する不快感は皆無である。

 

アディバ ADトレ 写真ハンドリングは、ルーフの有無によっても少し変わるが、ルーフを装着した状態で言えば、フロントが2輪化されていることによるどっしり感と、ルーフがあることによる高い重心位置、そして独自のウイッシュボーンがもたらす影響により、これまで体験した3輪スクーターとは異なる、やや不思議な印象がある。

 

浅いバンク角では、フロントまわりに重さを感じる一方で、実際に車体を寝かせるのは拍子抜けするほど軽快。低速時にはとくに、ややハンドル舵角が多めの印象がある。またルーフなどによって重心が高めになっている影響から、寝た状態を保とうとする力も強めではある。とはいえ、一般的な二輪スクーターと、あまり変わらないフィーリングの部分も多々あり、慣れてしまえばまったく問題なく楽しめる。

 

ただし、この機種でそこまでのことをするライダーは少ないだろうが、かなり深くまで寝かせてコーナーを駆け抜けようとするときは、少し注意が必要。あるバンク角を境に、車体がかなり独特な動きをして、ライダーが意図するような倒し込みができないシーンがあるのだ。このあたりは、オーナーとなってからじっくりと慣れてもらいたい。

 

アディバ ADトレ 写真また、アディバのフロント2ホイール機構が持つアドバンテージのひとつに、フロントブレーキを掛けたままコーナーに進入しても、ライバルメーカーの3輪スクーターのような立ちの強さがでない点が挙げられる。ハンドリングにはクセがあるが、この点では普通の二輪スクーターと同じように操っていける。もちろん、フロントタイヤの接地面積が倍になったことから、フロントブレーキはかなり強く掛けられる。ウェットなどの滑りやすい路面でも、安心感は増す。

 

エンジンは、このクラスとしてはパワフルだが、さすがに車体がかなり重いことから、瞬発力という点ではそれほどでもない。とくに出足はマイルドだ。ただし、市街地や高速道路を普通に走る限り、とくにダルさがあるわけでもない。中速域では伸びも感じられ、シティコミューターとしては十分なレベルにある。

 

開閉式ルーフと大型のウインドシールドにより、ADシリーズは全天候型ともいうべき快適性を備えている。今回の試乗は気温5度の真冬に行ったが、この状況ですら夏用グローブが使えるほど、防風性も高い。複数個ある広大な収納スペースは、日常の利便性を高めている。

 

この特徴に、独自のフロント2ホイール機構を組み合わせることで、ADトレには走る楽しさもプラスされている。同じアディバの屋根付き二輪スクーターシリーズと比較すれば、クセは強い。ただし、このクセを「楽しい!」と感じられれば、いつものシティランを退屈な移動という位置づけから変えることができる。これは、大きな魅力のひとつだろう。そしてもちろん、フロント2輪による安全性の向上、何より目立ち度アップというのも、忘れてはならないアピールポイントである。

 

画像をクリックすると拡大画像が表示されます

SPECIFICATIONS – ADIVA AD Tre

アディバ ADトレ 写真

価格(消費税込み) = 72万8,000円
※表示価格は2014年3月現在

屋根付きスクーターで知られるイタリアンブランドのアディバが、13年に市場投入したフロント2ホイールの200ccスクーター。開閉式ルーフの利便性に、独自の前輪機構を組み合わせる。

■エンジン型式 = 水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ

■総排気量 = 205.3cc

■ボア×ストローク = 66.0×60.0mm

■最高出力 = 15.7kw(20.6PS)/8,000rpm

■最大トルク = 18.9N・m(1.9kgf-m)/7,000rpm

■燃料供給 = フューエルインジェクション

■トランスミッション = Vベルト式無段変速

■サイズ = 全長2,169×全幅1,080×全高1,795mm

■ホイールベース = 1,605mm

■シート高 = 740mm

■車両重量 = —

■燃料タンク容量 = 13リットル

■Fタイヤサイズ = 130/60-13

■Rタイヤサイズ = 150/60-13

■ブレーキ形式(F/R) = 油圧式ディスク/油圧式ディスク

あわせて読みたい記事