ヤマハ マジェスティS
ヤマハ マジェスティS

ヤマハ マジェスティS – 原二感覚ながら高速道路も走れるコンパクトなシティコミューター

掲載日:2014年01月14日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/田宮 徹

ヤマハ マジェスティSの試乗インプレッション

ヤマハ マジェスティSの画像

日本の道にジャストフィットする
エンジンとボディサイズ

さて実車にまたがってみると、まずは意外とシート高があることに気づく。発表されているスペックは795mmで、シート幅がそれなりにあることから、身長167cmで体重63kgの筆者がまたがると、シート前側に座った状態で両足の裏が1/3ほど、後ろ側に座った状態ではつま先のみが接地する感じだ。小柄な女性などは、少し不安を覚えるかもしれない。ただし、車両重量が145kgと軽めなので、べったり足が着かなくても、問題なく支えていられる。

一方で、高めにセットされたシートは、走りだしてしまえば市街地における高いアイポイントにつながり、結果的には状況判断がしやすくて乗りやすい。もちろん、幅が広めなシートは優れた快適性を生みだしている。

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エンジンは、原付二種クラスのシグナス-Xが11馬力なのに対し、15馬力と発表されている。ストップ状態からのアクセル全開加速では、出足でクラッチがつながりはじめるほんの一瞬だけはごく普通だが、その後はかなり元気の良いダッシュを披露する。レッドゾーンが9500回転なのに対し、すぐに7500回転をキープした加速状態になることを考えると、かなり高回転を多用する変速機構と言ってよいだろう。

従来、日本仕様のスクーターは、厳しい加速騒音規制への対応から、常用速度域である30~60km/hあたりで加速が鈍ることも多いが、このマジェスティSのパワーユニットにはそのような落ち込みも感じられない。つまり、とてもスムーズな加速が続いていく。

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市街地での日常ユースを考えると、これだけでもかなり高評価だが、さらにその加速は、100km/h付近まで衰えることなく続いていく。さすがに、100km/h超の世界では余力が少なくなるが、それでもプラス20%ほどの性能は秘めている。日本の法定最高速度を考慮し、この範囲内での性能を重視したような変速設定が与えられていて、かなり好感が持てる。

ちなみにエンジン音は、近年の国内仕様スクーターからすると、やや力強い印象もある。とはいえ、もちろん厳しい規制をクリアしている国内仕様車のため、十分に静か。早朝や深夜に住宅街を走らなければならないユーザーでも、気にすることなく使用できるだろう。

一方で車体も、エンジン同様に日本の市街地に向く設定となっている。前後13インチホイールを履く車体は安定性に優れ、しかも軽い車体は交差点やカーブをひらひらと旋回できる。ハンドリングにこれと言ったクセはなく、だれでもすぐに自在に操れるようになるだろう。

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操縦しやすいニュートラルなコーナリング特性のため、かなり無理が効くことから、郊外のカーブでスポーティに走るとメインスタンドが接地してしまうこともあるが、バンク角が極端に少ないわけでもない。

また、ブレーキは前後ともコントローラブル。とくにフロントは、優れた車体バランスや13インチ径の前輪、よく動くフロントサスペンションの恩恵もあり、スクーターとしてはかなり強く握り込んでいける仕様となっている。スクーターが本来は苦手とするフロントブレーキだけの急制動も、まるで怖さがない。このモデルでスポーティに走り続けるという人は少ないだろうが、市街地においても、安心感につながってくれる。

スリムな車体は、混雑した道路や狭い裏路地でも、ストレスなく扱うことが可能。とくに都市部においては、抜群の機動力を発揮してくれる。

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もちろん、前述のようにいざとなれば高速道路に乗ることができ、原付二種クラスを大きく凌ぐ加速力はタンデムも十分にこなす。ライダー側だけでなく後席の居住性にも優れるため、ある程度の長い距離をタンデムで移動することも問題ない。

原付二種クラスとの大きな違いは、保険や税金などのランニングコストと、駅前などにある原付二種クラスまでOKな駐輪場が使用できなくなる点。しかし代わりに、優れた動力性能と、高速道路の使用許可を得ることができる。

どちらを取るかはユーザーの生活スタイルによっても異なるだろうが、単純にひとつのシティコミューターモデルとして、マジェスティSは非常に優秀であると断言できる。

ヤマハ マジェスティSの詳細写真は次ページにて

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