LML スターデラックス4S 200
LML スターデラックス4S 200

LML スターデラックス4S 200 – 造形美にあふれるクラシカルなボディ

掲載日:2012年11月20日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/河合宏介

造形美にあふれるクラシカルなボディ
新設計の200cc4ストロークエンジン

インドにあるLML社は、80年代から90年代にかけて、イタリアのピアジオ社と技術提携をし、ベスパPXをライセンス生産していた。そして技術提携の解消後、「STAR Deluxe」と車名を変えて、ライセンス生産当時のモデルを現在も製造している。そのため「STAR Deluxe 4S 200」は、スチール製セミモノコックボディやハンドグリップシフトなど、ベスパ伝統の機能を多数搭載している。

この「STAR Deluxe 4S 200」は、単なるレトロなスクーターではなく、新設計の4ストロークエンジンやハロゲンライト、そして油圧式ディスクブレーキなど、現代の環境問題や道路事情に見合った装備をしているのが嬉しい。ただし、最新のスクーターと同レベルの動力性能を期待してはいけない。スクーターを単なる便利な移動の手段としてだけではなく、自分のペースで走り、他人とは違うクラシカルな雰囲気を楽しみたいという人に選んでもらいたい。

LML スターデラックス4S 200の特徴

LML スターデラックス4S 200の画像

スチール製モノコックボディの艶やかさと、
考えながらハンドシフトで操作する楽しみ

航空機由来のモノコックフレームとは、外から見えているボディはカバーではなく、それ自体がフレームという構造で、内側にフレームがあるわけではない。さらにこのモデルはホーンのカバー、メーターカバー、テールランプなど、補機類の一部にプラスチックが使われているのみで、その他はスチール製である。石油由来のプラスチックに比べてスチールは再生可能であり、「STAR Deluxe 4S 200」のおよそ90%がリサイクル可能という、環境にも配慮した構造になっている。しかし、メリットはリサイクルだけではない。レッグガードのラインやぽってりとふくらんだリア周りなど、流れるような曲線のボディは、モノコックでしかなしえない造形美だ。スチールボディならではの、深みのある塗装も必見だろう。

LML スターデラックス4S 200の画像

そのボディ自体に、ステアリングとリアサスペンションが直接取り付けられているという独特の構造もポイントだ。フロントサスペンションは腰があって柔らかく、リアは少し硬めという印象なので、路面の段差はあまり吸収せずに、そこに段差があることをライダーに知らせてくれるという特徴がある。また、チェーンやベルトなどを介さない、ダイレクトトランスミッションも忘れてはいけない。トランスミッションのシャフトがリアホイールに直接つながっているので、独特のダイレクトな乗り味を感じることができる。アクセルを開ける右手の動きが、リアタイヤにそのまま繋がっているような不思議な感覚が堪能できるというわけだ。ただし、ギア抜けもあるので変速をしたら、しっかりギアが噛んでいることを確認してからアクセルを開けて欲しい。

LML スターデラックス4S 200の画像

変速するたびにクラッチレバーとウインカースイッチの角度が変わるハンドシフトは、LMLで一番戸惑うポイントかもしれない。クラッチレバーを握るとクラッチが切れ、グリップごと回して変速、そしてレバーを離すとクラッチがつながるという操作方法だ。変速とウインカーを同時に操作するのは難しいので、先にウインカーを出してから変速するといい。慣れないうちは左手ばかり見るかもしれないが、操作に慣れれば問題ないだろう。造形美あふれるボディには、これら独特の構造が詰まっているのだ。

LML スターデラックス4S 200の画像

LML スターデラックス4S 200の試乗インプレッションは次ページにて

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