取材協力/スペシャルパーツ忠男 取材・撮影・文/淺倉 恵介 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部掲載日/2014年5月21日


SP忠男のパワーボックスに、満を持してフルエキゾーストタイプが登場。ラインアップされているのは、マジェスティS、PCX150、フォルツァSiというビッグスクーターの中でも注目度の高い3機種用。革新的なパワーボックス構造を搭載したフルエキゾーストが、今までにない刺激的な走りを実現。スペシャルマフラーの歴史に、SP忠男がまた新たな1ページを書き加えた。

新世代エキゾーストシステムPOWER BOXに
待望のフルエキゾーストタイプが新登場

SP忠男の開発した画期的なマフラーであるパワーボックスは、サイレンサーやエキゾーストパイプといったマフラーの一般的な構成パーツに加え、その商品名となっている「パワーボックス」と名付けられた膨張室を追加したものだ。

 

パワーボックス構造のメリットは、エキゾーストパイプの容量を物理的限界から開放したことにあるだろう。エキゾーストパイプはマフラーの性能を決める重要な要素のひとつ。長さと容量を変えることでパワー特性に変化を出すことができるが、バイクへの装着を考えれば自ずとそのサイズと形状には限界が出てくる。その点パワーボックスは、膨張室の容量と取付け位置を調整することで、様々な長さと容量のエキゾーストパイプの特性を持たせることができるのだ。

 

そういった特徴から、パワーボックスはスリップオンタイプのマフラーを中心にラインアップが展開されてきたが、新たに「POWER BOX FULL」のネーミングが与えられた待望のフルエキゾーストタイプのマフラーが登場した。現在は、マジェスティS、PCX150、フォルツァSiの、人気の高い3車種用8モデルが発売。今回、その試乗の機会を得て、SP忠男へと足を運んだ。

 

用意されていたマシンは、マジェスティSとPCX150。どちらも125クラス並のコンパクトな車体に150ccエンジンを搭載したパワフルな走りがウリ。高速道路の走行も可能なことで、コミューターとして高い注目を浴びている機種だ。

 

最初に乗ったのはマジェスティSに『POWER BOX FULL Sタイプ』が装着されたもの。走り出してすぐ「おやっ?」と感じたことがある、低速トルクの特性が想像していたものとは違っていたのだ。もちろん、ノーマルマフラーと比べればはるかに加速は力強い。個人的には、SP忠男のマフラーといえば、モリモリの中低速トルクというイメージが強かったのだ。だが、その違和感は回転が上がるとともに吹っ飛んだ。タコメーターが5,000回転を超えるあたりからのパワー感はまさに別物。スロットルを全開固定していると、ノーマルでは6,500回転あたりで走行負荷とエンジンパワーが折り合って加速力が鈍るが、パワーボックスでは8,000回転近くまで伸びていってしまう。高回転でのパワーを意識した特性で、これはなんとも面白い。

 

聞けば「もっとエンジンを回して、積極的に走りを楽しみたい」という、ユーザーからの声を反映しての、このキャラクターなのだという。確かに「もっとスロットルを開けて走りたい!!」と、感じさせるものがある。

 

続いてはマジェスティS『POWER BOX FULL Rタイプ』。これは、高速道路での走行を意識し、更に高回転域での性能を高めたマフラーとのこと。だからといって低中速が弱いわけではなく、Sタイプと同様な加速をみせる。ただ、比較すれば5,000回転付近とトルクがやや弱い。その代り、そこから上の高回転域のパワーはやはりRタイプが上。これは、高速巡航だけでなく、高速道路への導入路での加速に効いてくる部分。このパワーがあれば、150ccという排気量のエンジンでも余裕を持って高速走行が可能だろう。

 

PCX150で試したのは『POWER BOX FULL Sタイプ』。もともとジェントルなパワー特性で、裏返せば刺激が足りないPCX150。それが、全域でパワーが上乗せされ、レスポンスも向上。スポーティさが増して、”乗りやすく便利”なだけではない”走って楽しい”PCXへと生まれ変わっている。

 

最後に排気音についても触れておきたい。どのモデルもアイドリング時の静かさはノーマルと同等レベル。回転を上げても音量自体は大きくなく、耳障りに感じることはないだろう。パルスの効いた音質で、歯切れの良い単気筒サウンドは耳に心地良いものだ。これなら、深夜や早朝に自宅近くを走っても安心なはずだ。

 

SP忠男のマフラーで走ると、いつも感じることがある。それは、マフラーだけでこれほどバイクのキャラクターは変わるのかという驚きだ。今回試した、3本のPOWER BOX FULLでも、それは変わらない。実用的で速く、そして何より走って楽しい。それがSP忠男のマフラーなのだ。

 

  • これはマジェスティS用POWER BOX FULL Rタイプ。高速走行時の性能を強化したスペシャルバージョン。専用のチタンサイレンサーの焼け色が美しい。

    これはマジェスティS用POWER BOX FULL Rタイプ。高速走行時の性能を強化したスペシャルバージョン。専用のチタンサイレンサーの焼け色が美しい。

  • テールパイプに取付けられている筒状のパーツが”パワーボックス”。パワーボックスの装着位置、膨張室の容量を変化させることで、性能を大きく変えられる。

    テールパイプに取付けられている筒状のパーツが”パワーボックス”。パワーボックスの装着位置、膨張室の容量を変化させることで、性能を大きく変えられる。

  • マフラーの開発はトライ&エラーの繰り返し。幾度となく試作品が作られて、シャシーダイナモによるパワーチェックや、実走テストが繰り返されるのだ。

    マフラーの開発はトライ&エラーの繰り返し。幾度となく試作品が作られて、シャシーダイナモによるパワーチェックや、実走テストが繰り返されるのだ。

  • これは、マジェスティS用POWER BOX FULLの数多い試作品の内の1本。膨張室の位置とサイズが、製品版とは大きく異なっているのがわかるだろう。

    これは、マジェスティS用POWER BOX FULLの数多い試作品の内の1本。膨張室の位置とサイズが、製品版とは大きく異なっているのがわかるだろう。

スペシャルパーツ忠男

マフラーをはじめ、様々な高性能パーツをラインアップする老舗のパーツメーカー。SP忠男のトレードマークである“目玉のマーク”は、同社代表の元モトクロス全日本チャンピオン“忠さん”こと、鈴木忠男氏のルックスをモチーフにしたものだ。性能がアップするだけでなく“走りの楽しさ”を基本コンセプトに掲げるSP忠男のパーツは、ライダーならば一度は装着してみたい逸品だ。

 

■住所/東京都台東区北上野1-7-5
■電話/03-3845-2010
■営業時間/11:00~19:00
■定休日/毎週水曜日、毎月第3火曜日

SP忠男マフラーのキーマン大泉氏に聞く
POWER BOX FULLが誇る高性能の秘密

パワーボックスの出発点は、スリップオンマフラーでも走りのキャラクターを変えられないか? と、考えたことにあります。そこで膨張室を装備させたら、エキゾーストパイプを変えたような効果が得られたんですね。おかげ様で、ユーザーの皆様からは大変ご好評をいただいています。

 

今回、フルエキゾーストタイプのPOWER BOX FULLを開発することになった理由は、対象車種のマジェスティSとPCX150の純正マフラーが一体式のため、フルエキゾーストでなければならなかったということもありますが、主な理由はユーザーさんからの声です。最近のユーザーさんは、刺激的なパワー特性を求める方が増えています。フルエキゾーストとパワーボックスを組み合わせれば、全域で性能アップしながら、実用的な扱いやすさと刺激的な乗り味を両立できるだろうと考えたわけです。

 

パワーボックス構造は、パワー特性を変えるのには非常に有効なシステムなのですが、性能を出すのにピンポイントな部分があり、開発には時間がかかります。我々も経験を積んできていますから、設計段階でだいたいの位置決め、膨張室のサイズ決めはできますが、最終的には実走を繰り返して煮詰めていきますね。シャシーダイナモ上で良いデータが出ていても、実際に乗って楽しいかは別の問題なんです。

 

マジェスティSとPCX150で苦労したのは、150ccという排気量にどう対応させるかというところですね。これが125ccクラスなら走る場所は一般公道だけですから、高速道路の速度域は考えなくてもいい。その点、150ccだと高速道路の走行も視野に入れねばなりませんし、全域で性能を上げるのは当然のことです。もともと排気量が小さいので、絶対的なパワーは小さい。それをマフラーだけで性能を上げようとすると、なかなか難しいんです。

 

当初は最高速を上げようとトライしてみたんですが、パワーと走行抵抗が折り合う部分からは、どうしても車速を伸ばすのが難しい。ならば、と発想を変えて、高速道路への導入路の加速性能と、巡航時に周囲の流れにラクに着いていける高回転域のパンチ力を重視しました。開発には苦労しましたが、その分納得のいくマフラーに仕上ったと自負しています。

 

高速性能に関しては、マジェスティS のRタイプが面白いと思います。これは、他の部分を多少犠牲にしても、高速域での性能を追求したらどうなるか? と考えて作ったマフラーです。最終的には低中回速域も、ほとんど性能を下げずに高速域のパワー感を引き上げることが出来ました。実は、RタイプはとSタイプは、サイレンサーだけでなくエキゾーストパイプから違う設計になっているんです。性能と走りの楽しさを考えると、そうせざるを得なかった。ある意味で、採算度外視のマフラーなんです。マジェスティSユーザーで、高速道路を多用する方には、是非この走りを味わってみてもらいたいですね。

 

  • スペシャルパーツ忠男
    大泉 善稔

    SP忠男のマフラー開発を統括。スペックやデータにこだわらず、SP忠男のモットーである“気持ちイー!”を大切にした、乗り手の感性に訴えかけるマフラー造りを身上としている。

POWER BOXをさらに知るには、こちらの記事もチェック!

キャラクターの異なるPOWER BOX FULLがラインアップ
アナタ好みのPOWER BOX FULLはどれだ?

  • 高速性能を重視したスペシャルモデル。

    ヤマハ MAJESTY S 「POWER BOX FULL “R” TitanBlue」

    9万2,000円(税抜)

    SP忠男ダイレクトストアで購入する

  • フルステンレス製のスタンダードモデル

    ヤマハ MAJESTY S「POWER BOX FULL “S” SUS」

    6万4,800円(税抜)

    SP忠男ダイレクトストアで購入する

  • スタイリッシュなメガフォンサイレンサーを採用

    ヤマハ MAJESTY S 「POWER BOX FULL “Megaphone” SUS」

    6万4,800円(税抜)

    SP忠男ダイレクトストアで購入する

  • PCX150の乗り味を刺激的に変えるマフラー

    ホンダ PCX150「POWER BOX FULL “S” SUS」

    6万4,800円(税抜)

    SP忠男ダイレクトストアで購入する

  • 超軽量なステンレス製メガフォンサイレンサー

    ホンダ PCX150 「POWER BOX FULL “Megaphone” SUS」

    6万4,800円(税抜)

    SP忠男ダイレクトストアで購入する

  • 全域トルクフルでどこまでも走っていたくなる

    ホンダ FORZA Si 「POWER BOX FULL Cruise」

    6万9,800円(税抜)

    SP忠男ダイレクトストアで購入する

  • 都会を駆け抜けるキビキビとした走りが特徴

    ホンダ FORZA Si 「POWER BOX FULL Urban」

    6万9,800円(税抜)

    SP忠男ダイレクトストアで購入する

  • メガフォンサイレンサーはモトGPマシンをイメージ

    ホンダ FORZA Si 「POWER BOX FULL Megaphone」

    7万9,800円(税抜)

    SP忠男ダイレクトストアで購入する

SP忠男ではユーザーへのサービスを充実させるため、ネットでダイレクトストアを展開中。
ダイレクトストアでは様々な購入者特典が用意されているので、SP忠男製品を購入するなら、
SP忠男ダイレクトストアがお薦めだ。

 

SP忠男ダイレクトストア

機械イジリが苦手な人にとってマフラー交換はたいへんな難作業。ショップに依頼しても思った以上に工賃がかかるものだ。ところが、SP忠男ダイレクトストアでSP忠男製マフラーを購入した場合、なんと取付け工賃が無料! しかも、世界中どこでもSP忠男のメカニックが出張してくれるのだ。申し込みはマフラー購入時に「出張取付け希望」と申し出るだけ、交通費はユーザー負担となる。

 

 

マフラーを交換した後、始末に困るのが取り外されたノーマルマフラーだ。JMCA取得、政府認証マフラーのSP忠男製マフラーは車検対応なので、ノーマルマフラーを保管しておく必要も無い。しかし処分するには費用がかかる…。SP忠男ダイレクトストアでマフラーを購入した場合、不要になったノーマルマフラーを無償で回収してくれる。マフラー出張取付けを依頼すればマフラー交換時に回収してくれるし、それ以外はSP忠男上野店にマフラーを送ればいい。その際の送料はユーザー負担となる。

SP忠男ダイレクトストアでのマフラー購入者向けサービスとして、ダイレクトストア限定エンブレムが用意されている。専用デザインを採用しており、カラーは赤と青の2タイプから選択可能。他では絶対手に入らない、プレミア感抜群のエンブレムだ。

 

通常版のエンブレム(写真上)と、SP忠男ダイレクトストア限定のエンブレム(写真下)。限定エンブレムは写真の赤の他、同デザインで青いタイプも用意されている。どのエンブレムを選ぶかはユーザーの自由だ。