ヤマハ ドラッグスター400 長期インプレ vol.07【夜間&雨天編】

掲載日:2016年05月17日 トピックス    

取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部)

夜がよく似合うドラッグスター

私事から始めてしまい恐縮だが、筆者は神奈川県の藤沢で学生時代までを生活をしていた。高校生のときは、国道を気持ち良さそうに走るクルーザーモデルを眺めるのが好きだった。とくに夜の国道134号線を走るクルーザーはそれだけでかっこいい。当時、原付少年だったあの頃からいまでもその気持ちは変わっていない。

ドラッグスター400に乗っている仲間もいて、ドラスタ乗りというだけで、なぜかひとつ上の存在のような気がしていた。そして、実際ソイツは女子にモテていた。

ドラッグスターは夜がよく似合う。今回は夜間のインプレッションを中心に、雨天時のことにも触れていきたい。

まずはフロント周り。大径の砲弾形状のフロントライトが特徴だ。光量は充分で、横にも広く照らしてくれる。ハロゲンの温かみのある色が、熟成されたクルーザーのスタイリングとマッチしているのもいい。ポジションランプはないため、対向車や前方の歩行者へはこの丸いライトだけが自分の存在を気づかせるツールとなる。

約10m離れた壁へ向け、ロービームとハイビームで照らしてみた。ロービームは「すれ違い用前照灯」、ハイビームは「走行用前照灯」とされ、基本的に夜間はハイビームで走ることと教習所では習うが、実際の市街地ではロービームのまま走り続ける人がほとんどではないだろうか。

そんな現状ではまずロービームがどのくらいの範囲を照らしてくれるのかが大切になる。小排気量車や軽量化を優先したオフロード車などは極端に範囲が狭く光量が弱い車種もある。

ドラッグスター400は不満のないものだった。むしろありがたいくらいに広い範囲と充分な光量を持ったロービームだ。東京の都心と郊外を通勤などで何度も走ったがハイビームにしないと前方が見えにくいと思う機会はなかった。

ハイビームは街灯のない田舎道や峠道を走るときに役立つだろう。

テールランプは楕円形で、こちらも大きめ。また、すぐ下に反射板があるため、合わさって被視認性が高い。テールランプもヘッドライトと同じくLEDではなく電球が採用されている。

ハザードランプも備わっている。スイッチはセルの上にあり、右手で行なう。点灯させた状態でキーをオフにしてもハザードだけは消えない車種もあるが、このバイクはキーと連動してハザードも消える。

メタルのカバーの中で浮かび上がるメーターもかっこいい。アナログ・デジタルともに暗い場所の方が見やすいくらいの発光量。

ドラッグスター400の嬉しい装備のひとつに、イモビライザーがある。イグニッションをオフにして2分ほどすると、数秒感覚でメーターの右下が赤く点滅する。夜間にグレーのバイクカバーをかけても光っているのが分かるほどだったので、盗難抑止効果は高そうだ。ただ、揺らしたりした際のアラーム機能は搭載されていないので、油断は禁物。

今回の長期インプレで日々乗っているこの車両は2016年モデルの「マットグレーメタリック3」というカラー。マット塗装されたタンクと、マフラーやヘッドライトカバーなどのメッキパーツの陰影が夜に映える。

これは予断だが、ベストセラーの車種でありながら、このバイクに乗っていると道行く人に「何ていうバイク?」「高そうなバイクだね」「大きいね、何ccあるの?」などとたびたび声をかけられる。しかも、その誰もが100万円くらいはするだろう、750ccくらいはあるだろう、といい方に予想していた。マットで高級感のあるテイストと大柄な車格がそう思わせるのかもしれない。〈かっこよく見えること〉これはバイクとして絶対必要な条件だと筆者は思っている。

雨天時の走行性能をチェック!

夜間に並び悪条件として苦手な人も多いのが雨天だ。雨天時も通勤やツーリングでたびたび走ってきた。いくつかチェックすべきポイントがあるのでお伝えしよう。

上の写真を見ながら、雨水の当たり方や流れ方を想像してほしい。まず、ドラッグスター400はノーマル状態ではスクリーンなど風防がいっさい備わっていない。乗車姿勢も直立気味なので、雨が降ったらもろに当たる。しいて挙げるならタンクが横に張り出している分、わずかながら走行中に脚の付け根は濡れにくいという程度だ。

シートの形状からは雨天には不向きな車種だといえる。タンクとリアシートに降った雨はライダーのシートへ流れてくる。少しの雨ならレインスーツを上着だけしか着ないというライダーもいるが、このバイクでは上着を着なければいけないくらいだったら、パンツも履いたほうが絶対にいい。

もうひとつ、高圧洗浄機で洗車したときのこと。全体をしっかり拭き上げて、表面を完全に乾かしてから乗ったのだが、シートの中に水がしみこんでいて、気づいたらお尻の下が濡れていたことがあった(泣)。

シートの座面と側面の縫合から水が染み出ていたのだ。高圧洗浄機のせいとも考えられるが強い雨のなかにしばらく駐車することになった際は、次に乗るときに注意(覚悟)をした方がよさそうだ。

タイヤから巻上げられる雨水はライダーにはほとんど当たらない。前輪のフェンダーがもう少し長くて幅もあれば嬉しいが、スタイリングが崩れてしまいそうなので文句は言えない。

リアタイヤの巻き上げはリアフェンダーの太さ・長さが充分なのでしっかりと抑えてくれる。

メッキのマフラーは一度雨に当たってしまうと、ケミカルを使ったり、再度水拭きをしてその後空拭きしないと水アカがいつまでも残ってしまう。

ノーマル状態で装着されているタイヤはダンロップの「Kabuki D404」。ウエットグリップを重視した排水性の高いパターンを採用していて、たしかに雨天時での安心感は高かった。

このタイヤはクルーザーモデルへ向けて開発されたもの。直進安定性の高さを追求するとともに、リアのトラクションをしっかり利かせることをコンセプトに作られた。雨天だけではなく、乾いた路面の峠や高速道路でもタイヤへの不満はなかった。

タイヤサイズは下記のとおり
前 100/90-19M/C 57S(チューブタイプ)
後 170/80-15M/C 77S(チューブタイプ)

珍しいサイズではないので、各社から適合するものが多様に販売されている。いろいろ試すのも面白いし、ツーリング先での交換が必要となった場合も安心だ。

以上が夜間&雨天編でした。次回はクルーザーモデルを買ったら絶対やりたいタンデムでの記事をお送りします!

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