ヤマハ ドラッグスター400 長期インプレ vol.04【高速道路編】

掲載日:2016年04月19日 トピックス    

取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部)

ロー&ロングの直進安定性が光る!

ドラッグスター400をはじめ、この手のバイクのカテゴリーが、クルーザーやアメリカンと呼ばれるのは誰しもご存知でしょう。ロー&ロングのこのスタイルは、ハーレーをはじめ、アメリカの荒野などどこまでも続く単調な道を快適に走るため生まれたものだ。だから日本では高速道路で力を発揮する。されど、ドラッグスター400はその名のとおり400cc。この排気量のクルーザーが高速道路でどの程度快適なのかを今回はチェックしてみたい。

筆者の身長は175cm。車高が低いため(1,065mm)、やや小さく見えてしまうが、実際に車両を見ると全長が長く、大きく見える。サービスエリアなどでは「このバイク何cc? 大きいね」と居合わせたドライバーやライダーによく聞かれた。全長は2,340mmある。たとえば同じ400ccのヤマハSR400だと2,085mmで、30cm以上も長いわけだ。ホイールベースの長さはドラッグスター400は1,610mm、SR400だと1,410mm。

このホイールベースの長さと重心の低さ、フロントフォークの角度が直進安定性に大きく貢献する。400ccでありながら日本の高速道路の法定最高速度100km/hの巡航は、実際に走ってみて問題ないことが分かった。さらに快適性をアップさせたければオプションで大型のスクリーンを装着するといいだろう。

エンジンは最高出力が22kW(30PS)/7,500rpm、最大トルクが31N・m(3.2kgf・m)/6,250rpmで発揮する。スポーツモデルと比べればどちらも最大値の数値は落ちる(たとえば、同じ2気筒のカワサキ ニンジャ400だと、最高出力32kW(44PS)/9,500rpm・最大トルク37N・m(3.8kgf・m)/7,500rpm)。ただ、比較的低い回転数でピークパワーを達するため、一生懸命エンジンを回さずとも力強い走りをすることができる。高速道路をクルージング気分で走るに適しているのだ。

空冷Vツインならではのフィーリングもいい。発進時からパワフルで、中速~高速まで、大らかに悠々と加速していく。ガバッと開けて、瞬間的にスピードを上げるのではなく、ドシッと構えて穏やかにスピードを上げていくのが心地いい。

また、中型バイクで苦しくなる80km/h以上の速度でも余裕があり、遅い車が走っていても法定速度内での追い越しは無理なくできる。ミッションは5速で、4速時に100kmで走っていてもレッドゾーンに入っている感覚はなかった(タコメーターが付いていないので残念ながら正確な回転数は分からない)。

速度計は180km/hまで用意されている。さすがにそこまで出そうな印象はなかったが、最高で140~150kmくらいまでなら出せそうな気がした。あくまで感触の話だが。

高速道路クルージングに適したポジション

ドラッグスター400は足を前に投げ出すかたちのフォワードコントロールというペダル位置に設定されている。ペダルが遠くにあると不安に思う人もいるだろうけど、脚が短いとよく言われる筆者でも膝の曲がり具合に充分な余裕があった。シート高が660mmと極端に低いため(たとえばSR400だとシート高は790mm)、逆にペダルがシートにこれ以上近いと膝の曲がりがきつくなってくる。このフォワードコントロールのポジションは、高速道路を走っているとき、とても自由な気分がして心地いい。

足の位置とともに、高速道路の気持ちよさを感じられる要因は幅の広いハンドル。ハンドル幅(全幅)は840mm(比較:SR400は750mm)。腕を広げ、足を投げ出して走るこのスタイルはまさにアメリカンで、長距離を楽に走れる姿勢だ。

前方の景色が広いのもこのバイクの美点。写真は目線の位置ではなく、胸付近の位置から撮影しているため分かりにくいが、メーターが燃料タンクにセットされているため、ハンドルの先に視界をさえぎるものがない。ハイスピードで走っていると、次々と風景が自分に飛び込んでくるかのような感覚が味わえる。

楽な姿勢と視界の広さが演出する、「自由な旅」を感じさせてくれるスタイルこそ、このバイク最大の魅力かもしれない。

高速道路の長距離移動で、きつくなりがちなのがお尻。ライダーのシートは、後部が上がっていてお尻をホールドしてくれる。座面も広く、足を投げ出しているため、椅子に楽な姿勢で座っているような感じ。厚みも充分でこの日の200kmほどの走行でお尻が痛くなることはなかった。ただ、タンデマーは座面が狭く、捕まっていないと後ろに落ちる緊張感もあるだろうから、2人乗りでの長時間の移動はきつそうだ。

パーキングエリアにて

パーキングエリアに入り、駐輪場にドラッグスター400を停めた。やはり全長があるが、中型以上の駐輪場なら枠内に収まるサイズだ。

休憩をする際に嬉しいのがシンプルで使いやすいヘルメットホルダー。メインキーを同じもので施錠・開錠ができる。最近の車種は、付いていないものも多いのでこれはありがたい。

ヘルメットを引っ掛けるとこのとおり。ドラッグスター400はサイドスタンドを出すと左に大きく傾くので、そのデッドスペースを埋めるような形でヘルメットをかけられる。だからスタンドを出せる場所なら、たいていヘルメットもかけることができる。

高速道路インプレの結果、ドラッグスター400は快適に長距離ツーリングが楽しめることが分かった。北海道を旅していて見かける台数が多いのも、ロングツーリングをするためこのバイクを購入する人がたくさんいるのも納得だ。

次回はツーリングの醍醐味、ワインディングでのインプレッションを行ないます!

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