ヤマハ ドラッグスター400 長期インプレ vol.01【装備・仕様チェック編】

掲載日:2016年03月03日 トピックス    

取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部)

2016年に20周年を迎えた
伝統の空冷クルーザー『ドラッグスター400』

1996年にビラーゴ400の後継として誕生したドラッグスター400。2016年に20周年を迎え、400クルーザー界において不動の地位を築いている。そんなドラッグスター400にスポットを当てたこの長期インプレ、ツーリングマガジン『アウトライダー』編集部員でもある西野がツーリングでの使い勝手を中心に、さまざまな角度からチェックしていきます。

1986年生まれの筆者が高校生・大学生だったとき、ビッグスクーターブームの全盛だった。そんななか、学校で真にモテるバイク乗りは400ccクルーザーに乗っていた印象がある。

そんなモテバイクは街乗りバイクかと思いきや、決してそんなことはない。夏の北海道では、荷物を満載にしたドラッグスター400とよく出合う。中型モデルの中ではトップクラスのロングツーリング性能を持っているマシンでもあるのだ。

ロー&ロングで存在感がある

ドラッグスター400にまたがっている筆者の身長は175cm。シート高は660mmでとにかく低いが窮屈ではない。ノーマル状態で、クルーザーらしいフォワードコントロール(ペダルが前部にある)のドラッグスター400は、走り出して両足を前に投げ出すような体勢になると、小さすぎず、それでいて大きすぎもないサイズに感じる。

当然、両足はかかとまでべたりと着く。ひざも充分に曲がっていて余裕がある。車両重量が234kgと中型車では重めのドラッグスター400だが、信号待ちなどでグラッときても問題なく支えられる。バイクに慣れていないビギナーや、背の低い女性でも安心して乗ることができるはずだ。

各部をチェック

ドラッグスター400のエンジンは、空冷・4ストローク・SOHC・2バルブ・V型2気筒・399cc。低速から高速までスムーズに回り、クセがなく扱いやすい。現在国内で現行販売されている空冷クルーザーはドラッグスター400の一種だけだ。そのためラジエターがなく、すっきりとしたクルーザーらしいルックスだ。ハーレーのような強烈な振動はなく、効率的に回るのが印象的だった。
最高出力は、22kW(30PS)/7,500r/min
最大トルクは、31N・m(3.2kgf・m)/6,250r/min

またがって足を乗せるとこうなる。V型の前側エンジンに沿うようにペダルが配置されていて、かっこよく、操作もしやすい。少し不安なのは夏場。冬場は気にならないが、空冷エンジンは熱を主に風で冷やすため、街中走行の渋滞時は熱そうだ。

ドラッグスター400のシートは、ライダー用とタンデマー用のセパレート式。ライダーのシートは後ろがちょっとした背もたれのようになっていて、加速時もお尻をしっかりホールドしてくれる。厚みも充分あり、すぐにお尻が痛くなることもない。前後のシートはともにボルトで固定されているので、キーで開けることはできない。

リアシートはラウンドしていて背もたれがないため、タンデマーは少し乗りづらいかもしれない。また、荷掛けフックらしいものがないため、荷物の積載は少し難を要しそうだ。それはドラッグスター400長期インプレのツーリング編などでコツをご紹介したい。

メーターはタンクに備わっている。速度計のアナログメーターの下に表示を変えられるデジタルメーターを装備。デジタルでは総走行距離(オド)、トリップ1、トリップ2、時刻の表示が可能。メーターの右横はガソリンキャップ。タンクの上部にあるが低いので、中を見ながらガソリンを入れられて安心だ。

ドラッグスター400のタンクは大容量(15L)で、ロングツーリングでは頼もしい。また、左右のふくらみが絶妙で、クルーザーながらしっかりとニーグリップができてコーナリングはもちろん、高速道路の走行時にも車体が安定する。

ハンドルは幅が広い。大きいタンクや、低く長いフォルムと相まってドラッグスター400をミドルクラスに感じさせない、堂々とした風格がある。メーターがタンクに付いているメリットは視界が広いこと。ミラーも手前にあるため、走っているとダイレクトに風景が飛び込んできて、爽快感がある。

後輪周りはドラッグスター400の特徴のひとつでもある。リアのサスペンションが見えず、オールドハーレーのリジッドサスのようだ。また、駆動はチェーンではなく、シャフトドライブを採用。見た目がすっきりしているのとともに、チェーンに比べメンテナンス頻度が圧倒的に低いのが美点。シャフトの内部でギアが駆動しているため、雨に降られても泥だらけになっても、ほとんど劣化しない。チェーンの注油にあたるギアのオイル交換は3年に一度くらい行なえば充分だろう。

シートが簡単に開けられないかわりに、左側のサイドカバーが開けられる。SR400などと同じシステムだ。プラスアルファで何か入れることはほとんどできない。

サイドカバーを開けると中に車検証などの書類と車載工具を入れられるスペースがある。この書類が巻かれた工具を引き出せば、ここにETC車載器を装着することもできるようだ。その場合、車載工具と書類は別に持たなければならないが、ハンドル周りの一体式のぼてっとした車載器を取り付けることによって、ドラッグスター400のイメージを崩したくない人にはおすすめの取り付け箇所だ。

ドラッグスター400の車載工具にはこれらのものが入っていた。最低限の装備だが、最近ではほとんど車載工具が備わっていない車種もあるので多い方とも考えられる。自分のバイクはもちろん、仲間のバイクや、バイク以外で工具が必要になったときなど便利。工具の収納袋には小さなスパナ1、2本なら追加できるくらいの余裕があった。

ドラッグスター400の2016年モデルカラーは2パターン

現行ドラッグスター400のカラーは、マットグレー(マットグレーメタリック3)のほか、この写真のホワイト(ブルーイッシュホワイトパール1)もある。シートやタンクがツートンでこちらも高級感がある。価格はどちらも消費税8%込みで78万1,920円。

次回は、実際にドラッグスター400を走らせた走行インプレッション〈街乗り編〉をお届けします!

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