LITTLE WING ENGINEERING / 大平芳弘

LITTLE WING ENGINEERING / 大平芳弘

掲載日:2012年01月26日 記事カテゴリ インタビューライン

SHOP INFORMATION

LITTLE WING ENGINEERING

東京大田区にオープンして今年で18年を迎える、ハーレー&インディアンを扱うアメリカンモーターサイクルのスペシャルショップである。修理やチューニング、メンテナンスを主軸とし、カスタムや車両販売に至るまで幅広くバイク乗りをサポート。内燃機に関してはヘッドワークやボーリング/ホーニングといった特殊加工までを自社で行い、一般ユーザーを始め全国の同業者からも厚い信頼を集めている。またマシントラブルに対しては、原因や処置を明確に伝えることをモットーとする同店。かつて専門学校で講師を務めた経験を持つ大平氏の分かりやすく丁寧な対応は、その確かな技術と共に多くのファンに支持されている。

住所■東京都大田区北千束2-24-4

電話■03-3729-4007

営業■10:00~19:00(火 ~ 金)/10:00~18:00(土日、祝祭日)

定休■月曜/第2、第4日曜

ウェブサイト■http://www.lwe.co.jp/index.html

【1】バイクショップのエントランスとしてはあまりにもセンスの良いオールドアメリカンな作りとなる。 【2】ショップ奥には専門的スキルを要する、内燃機加工の特殊機械がほぼ全て揃う。 【3】店内にはハーレーを始め最近オーダーが増えてきたINDIANがリフトアップされ次の作業を待っている。 【4】通常のバイクショップでは腰上と呼ばれるシリンダーまでの作業が大半だが、同店では豊富な経験と高度な技術により腰下に至るエンジン全てをトータルで手掛けている。

バイクショップのエントランスとしてはあまりにもセンスの良いオールドアメリカンな作りとなる。

店内にはハーレーを始め最近オーダーが増えてきたINDIANがリフトアップされ次の作業を待っている。

ショップ奥には専門的スキルを要する、内燃機加工の特殊機械がほぼ全て揃う。

通常のバイクショップでは腰上と呼ばれるシリンダーまでの作業が大半だが、同店では豊富な経験と高度な技術により腰下に至るエンジン全てをトータルで手掛けている。

INTERVIEW

小さい頃からずっと
整備士になりたかった

――まず、バイクに乗るキッカケを教えてもらえますか?

僕はもともと、ちっちゃいころから4輪のほうが好きだったんですよ。今で言うモーターショーとかへ親父にいろいろ連れて行ってもらってた。当時は親父がオイル交換してるのを見てすごい作業してるんだなと(笑)。今思えば整備士になりたいっていうのがその頃からずっとありましたね。やっぱそういうのが好きだったんで必然的にチャリンコだったり、バイクに乗るきっかけもその延長線上で、“見た目がカッコ良い”ってことからは入ってないんです。移動手段というか、自分の行動範囲が広がるというか。もちろん金がなかったから燃料入れて乗るのが精一杯で。その頃は友だちのバイクを借りて乗ってました。乗り出したときって、イジるのもそうだけど乗ってるだけで楽しいじゃないですか。で、僕の中では硬派なイメージのCBRに乗ってた。兄貴と一緒に買って、それが一番始めのバイクですね。

――その後はどんなバイクを乗り継いでいくんです?

結構バイク遍歴があって、CBRではいろんな所を攻めに行ってたんですよ。でも当時はマフラーやハンドル換えるだけでも白バイに捕まってた時代なんで、昼間はコソコソ上野のバイク街に行くぐらいかな。夜はバイト終わってから戸田橋(※東京と埼玉の県境)の方へ走りに行ったり、休みの日は波乗りかバイクでどっか攻めにいくかしてたけど。その後は、友だちからKAWASAKIのFX400を譲ってもらって、17、8の頃ですね。それから興味の対象が古いのになっていくんですよ。ホーク II とかRZ250とか、オフ車のXT250Tとかいろんなのを混ぜこぜで、友だちが「もういらないから3~5万円で買ってよ」っていうのをどんどん集めて凄い台数になって。それを直して動くようにして、そんなことばかりやってましたね。

――独学で直してたんですよね?

そうですね。

――専門的な箇所も分かるものなんですか?

まあ先輩に教わったり。あとは僕ガススタンドに勤めてたんですよ。で、その隣が車のラリーショップで凄い有名な所で、仲良くなったそこのお兄ちゃんが教えてくれたり、「ちょっと溶接してよ」ってお願いすれば直してくれたり。あとは上野にサービスマニュアルを買いに行ってそれを見てやったり。そういうのが凄い好きだった。

 

 

19の頃に55万円で
ローライダーを買った

――国産旧車からハーレーに興味を持つようになったのは?

一番最初にハーレーを意識したのは髙山さん(※恵比寿のシルバーショップSTOP LIGHT主宰)? 僕ね16ぐらいの時から渋谷に行ってて、髙山さんがバックドロップ(※一世を風靡したアメカジショップ)で店長やってたのね。そこにいろいろ服とかを買いに行ってたんです。その時はあんまりしゃべってくれなかったけど、いつもハーレーが店の前に止まってて、革パンにエンジニアみたいな姿でいたんですよね。だから一番始めにハーレーがカッコ良いなって意識したのはそのバイク。でもその時僕は、古いバイクをどうにかして最新のレーサーレプリカに対抗できるようにイジるのが大好きだった。髙山さんとバイクを見て“ハーレーはカッコ良い”と思ってたけど乗りたいっていうのは全然なかった。それで今度は大型免許に行くわけですよ。16の終わりぐらいかな。計4回かかったけど無事に取れて。

――大型を取得してまずどんなバイクに乗ったんです?

KAWASAKIのZ2をイジくり倒して乗ってまして。ある程度スペシャルパーツを組み込んでたのでバイク屋さんにほとんどやってもらって。当時は走るのが大好きで、怖いもん知らずっていうかおっかないんだけど「グァー!」って200キロぐらいで首都高を走ったりしてた。その頃Z2とかイジってる人はいなかったんですよ。だから当時バイクの雑誌屋さんが取材させてっていうのがちょこちょこあって、お世話になってたショップの人が「この部品付けてあげるから取材に貸してよ」って(笑)。で、どんどん良くなっていって。だけど次にそういう特集の話があった時に、手放そうと思ってることを伝えたら記事に書いてくれて、その当時200万だったかな。結局5人ぐらい連絡があって、そのうち一番始めの人が買ってくれた。でも130万ぐらいローンがあったから、まずそれを払って55万円でローライダーを買ったんです。

――えっ!? そんなに安いんですか?

いや、当時の中古はそんなもんだったんですよ。僕が19の頃って。だから借金返してローライダー買って、サーフボードとウェットスーツを作って全部無くなって(笑)。

 

 

ヴィンテージスタイルには
FLHがベストだと知った

――そのローライダーはどれぐらい乗ったんですか?

早いです。どれぐらいかな。ひと夏超えたぐらいでFLHと取り替えたんですよ。

――ローライダーに乗ってからハーレーに魅了されていくんですね?

そうです。当時髙山さんにいろいろ相談してて、デン(※ハーレーの老舗カスタムショップ)にたまたま売り物であったのがローライダーだった。中古のバイクは凄い安いけど修理代は高くて部品も高いっていう時代でしたね。その後にFLH。僕ハーレーはローライダーとお神輿みたいなバイクしか存在しないと思ってたんです。そしたらでっかいやつはFLHっていうモデルだというのが分かって、そのストリップスタイルがデンに置いてあった。あのナセルって妙に「なんだこれ!?」って感じがするじゃない? ひとつ目のオバケみたいな象みたいな妙な感動を経て、それでハーレーの本とかをいろいろ見てて自分の好きなヴィンテージスタイルにするにはローライダーじゃなくてFLHなんだなって。そんな時にちょうど「取り替えようよ」っていう人が出てきてそれで取り替えた。

LITTLE WING ENGINEERING/大平芳弘

LITTLE WING ENGINEERING/大平芳弘

16でバイクに乗り出し、以来多くの国産車を経てH-D&インディアンに特化。26でショップを構え、内燃機のスペシャルショップとし広くその名が知られる存在に。現在47’INDIAN CHIEFを所有し、ショップ主催のツーリング等に使用。東京出身の44歳。

 

機械は正直。壊れる理由があって、
そこには直す方法が必ずある

――リトルウイングはオープンして何年目です?

94年の10月にスタートですね。だから今年で18年目。

――大平さんはそれまでは何をやってたんです?

アーリライダースさんっていう所にいて、その前は自動車屋さんにいました。

――当初からリトルウイング(以下LW)はカスタムメインでなく修理がメインだったんです?

“うちはなんでもやりますよ”っていうスタンスで始めたんです。ガキの頃からのあれじゃないけど自分がすべてに興味があったから。で、カスタムに関しても、基本的な道具があれば出来ないことは無いっていうのを前の職場で学ばせてもらったし、例えば経験値として「ココが純正品じゃないと駄目なんだよ」っていうのはやらないと分からないけど、駄目な物を直すとか良くするというのは車種に特化してやってこなくても出来ることじゃないですか。だからとりあえず“なんでもやりたい”ってところで始めた。当時はシーシーバーやハンドルを見よう見まねで作ったりしましたけど(笑)。

――最初はなんでも手掛け、除々にエンジンワークへ移行していったのは?

もともと凄い有難かったのが、前の職場が業者さんとかの外注を扱う機関系に強いところだったんです。だから自分がそうしていったというよりも、その色が強いところでやって来たから自然と「内燃機が強いんだな」みたいになって。そういうお店が少なかったのもあるし、各ハーレー専門誌が物凄くバックアップしてくれたり。スタートのときは滅茶苦茶みんなに助けられたというのはありますよね。

――20年近くやってきて大平さん的にもやはりエンジンワークが好きなんですか?

やっぱり好きですね。

――バイク屋だと大半がカスタムをメインに掲げると思うんですね。その点、エンジンワークというとどこか地味でストイックな印象があるわけで。一体どこに惹き込まれるんでしょうか?

偉そうなことは言えないんですけど、基本的に僕は同じことを淡々と出来ないタイプなんです。同じことのなかでも常に何か新しくなってないと飽きちゃうタイプ。要はトラブルシュートが好きなんです。“どうしてそうなったんだろう”とか“どうしたらならないのか”というのがすごい好きで(笑)。結局機械っていうのは正直なんで、壊れるには症状なり現象があって、そこには直す方法が必ずある。でもどうしてそうなったかを考えて分かった時点で、基本的な作業が出来る人なら後は大丈夫じゃないですか。だからトラブルシュートが出来た時点で、「ああ、もうこれ直っちゃったって(笑)」。で、また違うところに取り掛かる(笑)。まあ、ひとつをガーって集中してやるというタイプではなく、何個か別のものを平行してやってる方が多いかもしれない。だから一見この世界は淡々と見えますけど常に動いていて、「今まではこうだったけどこうした方が良いんじゃないか」っていうのが物凄く多い。

――具体的にはどんなところです?

例えば、オイルシールやバルブ周りの材料が新しく開発されたりとか。そういうのを試して考えてみたり。「じゃあこの車両にはこのクリアランスでやったらどうかな」って。カッコ良い言い方をすれば自分のところで畑を持ってて、「今年は堆肥の割合をこうしよう」。それで、“こうなった”というのを全部試せるわけですよ。ボーリング、ホーニングでこういう風に削り目を付けたほうが齧らないとか、バルブシートの辺りはこうした方がいいとか。“20年やってるからなんでも任せて”ということはなくて、常にゴールがないんです。だからきっとやってられるんですね。

アメリカでは各地を
何戦か出走してた

――では旧車レースについて教えて下さい。AVCC(※1965年まで米国で生産された車種による国内開催のヴィンテージレース)にはいつから参戦してたんです?

AVCCはずっとサポートの方をやってた。でもアメリカ行って本場のデイトナのレースを見たとき、結果はどうあれ自分で乗らないと始まらないと思ったんですよね。その頃ちょうどインディアンが自分のなかで除々に膨らんでいくんです。ローライダーとFLHしか知らなかったハーレーの時と一緒で、インディアンもチーフぐらいしか知らなかったけどいろんな文献を探して読んでるうちに、レースでやり合ってたモデルがあることを知るようになって「あっ、これだ!」と。そこで37年のスポーツスカウトを探しにお客さんの買い付けも合わせて2週間ぐらいアメリカを大陸横断して、デイトナに着いたときにそこで自分のバイクを見付けるわけなんです。ヨレヨレのじいさん2人が品評会みたいのに持って来てたバイクで、その人たちは売ろうとしてたわけじゃなかったんですね。でも話して、ずっと交渉して。

――そんなに良かったんですか?

僕はね。何もされてなかったのと、年式とかいろんなのが理想とマッチしてて。

――そのインディアンでレースを始めるんですか?

実はこのバイクを手にする前からアメリカのスワップミートに数回行ってて、そこで知り合った人にずっとスポーツスカウトの話をしてたんです。そしたら「お前アメリカでレースやれよ!」って。本当にやるなら俺が一台組んで売ってやるって。ドックバッツラーさんっていう自分でもインディアンでレースをしてる人で、当初は社交辞令かなと思ってたけどある時、「もう1936のスポーツスカウト出来るぞ」って。こっちとしては“えっ!”ですよね(笑)。で、デイトナを走ろうってことになった。それが初めてのレースになるんだけど始めはおっかなくて走れなかった。でも仲間も支えてくれて、得る情報も大きかったし。それでこれはデイトナだけじゃもったいないなって。個人的にも人生一回しかないから他でも走ってみたいと。それでアメリカ国内で他の場所でも何戦かやってましたね。

――それまでLWでインディアンは扱ってなかったんですか?

ゴローさん(※原宿GORO’S代表)のバイクぐらいです。だから本格的には自分のがスタートですね。

 

 

いろんな車種と比較しても
常に新しいことをやっている

――今はインディアンの代理店か何かをやられてるんです?

やってないですよ。ともすれば、最近インディアンしかやらないんじゃないかって思われてるふしがあるけど(笑)。実はインディアンを仕事にしようという気は全くなくて、第一みんながこんなに受け入れるとも思ってもみなかった。自分のなかでの捌け口というか、生意気なことを言えばパンだナックルだとやってきて、一巡してポカンとしてたときに「これだ!」ってなったバイクだった。だから全く新しい物を触るみたいにメッチャ面白かったんですよ。

――インディアンは“速い”とよく言われますが?

よくそれ質問されるけど、同等の排気量の車種であれば格段に速いと思います。

――それはプロのメカニックの観点からメカニズム的にそうなんですか?

そうですね。それはエンジンだけじゃなくてトータル的になってるところはある。でもそれは元々の設計理念が違うと思うんです。だからハーレーは劣ってるとかインディアンが凄いとかじゃなくて、ハーレーはこうあるべくして創られたっていうのが本当にあるし。インディアンはこういう所をトンガってやってきたんだなっていうところもある。かといって、インディアンは車両の性能と反比例して物凄く整備性が悪いところもあったり。でも基本的には、ハーレーだけじゃなくいろんな車種と比較してもやっぱり手が込んでるというか、新しいことをやってますよね。例えば、パンだナックルだがブリキのプライマリーカバーを使ってるときに既にアルミカバーを使ってたり。ボールベアリングを早くから採用してるとか、よく出来てると思います。

 

 

自分の経験を生かして
スクールをやりたい

――最後に。LWの今後の指針はありますか?

いま考えてるのはいつのタイミングになるか分からないけど、メカニックスクールをやりたいと思ってるんです。自分が整備学校で教えていた経験を生かして。最近はインターネットで自分でバイクを見付けて引っ張ってくる人がいるじゃないですか。だから自分で買った人が持ち込んで仕上げて乗るコースだったり、うちが仕入れて仕上げるまでのコースとか、エンジンのホーニングからボーリングまでを覚えたいとか。除々にそういう風にやっていけたらいいんじゃないかなと思ってますね。

 

 

FAVORITE PIECE

1947 INDIAN CHIEF

ヒストリーを調べるほどにインディアンへの興味が増していったと話す大平氏。このチーフは国内で手に入れて、一時ブランクはあったものの今年で13年目の付き合いになるという。コンディションは快調そのもので、ツーリングや通勤と氏のライフスタイルに幅広く対応している。

ヒストリーを調べるほどにインディアンへの興味が増していったと話す大平氏。このチーフは国内で手に入れて、一時ブランクはあったものの今年で13年目の付き合いになるという。コンディションは快調そのもので、ツーリングや通勤と氏のライフスタイルに幅広く対応している。

ヒストリーを調べるほどにインディアンへの興味が増していったと話す大平氏。このチーフは国内で手に入れて、一時ブランクはあったものの今年で13年目の付き合いになるという。コンディションは快調そのもので、ツーリングや通勤と氏のライフスタイルに幅広く対応している。

 

 

FAVORITE PIECE

NUMBER PLATE

右、米国で実際に使用していたゼッケン「31X」にはインディアンのファクトリーライダー&シリーズチャンピオンだった人のサインが入る。左、レースで走った記念に多くの仲間が記念に書いてくれた宝物。

右、米国で実際に使用していたゼッケン「31X」にはインディアンのファクトリーライダー&シリーズチャンピオンだった人のサインが入る。左、レースで走った記念に多くの仲間が記念に書いてくれた宝物。

CHARM

20歳ぐらいのときにストップライト主宰の髙山さんからもらったお守りとのこと。「お守りとしていつも財布にいれておけよ」とのことから、常に財布に入れてあるそうだ。

20歳ぐらいのときにストップライト主宰の髙山さんからもらったお守りとのこと。「お守りとしていつも財布にいれておけよ」とのことから、常に財布に入れてあるそうだ。

GORO’S

普段身に付ける氏のネックレスは、25歳の誕生日にゴローさんからプレゼントしてもらった物である。他にもいくつかのアイテムがあるが、中でもこの組み合わせがお気に入りとのこと。メタル裏には記念の1993の文字が刻まれている。

普段身に付ける氏のネックレスは、25歳の誕生日にゴローさんからプレゼントしてもらった物である。他にもいくつかのアイテムがあるが、中でもこの組み合わせがお気に入りとのこと。メタル裏には記念の1993の文字が刻まれている。


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