ロードホッパー Type 2i
ロードホッパー Type 2i

ロードホッパー Type 2i – 眺めて触れても強烈に感じる“物”としての美しさ

掲載日:2012年11月07日 試乗インプレ・レビュー    

文/櫻井 伸樹  撮影/増井 貴光

眺めて触れても強烈に感じる“物”としての美しさ
製作したのは老舗のパーツメーカー

前後に大きく張り出した存在感たっぷりのタイヤ、その間にドカっと居座るエンジン、ちょこんと乗ったピーナッツタンク、そしてクラシカルなリジッドフレーム……。既成モデルとは大きくかけ離れたクラシカルで無骨なスタイリングを持つロードホッパーは、その背景を知らない者からすれば、名のあるビルダーがカスタムしたハーレーにしか見えない。ところがロードホッパーはれっきとした量産車両で、しかも製作および販売を行なっているのは、愛知に拠点を置く老舗のパーツメーカー・プロトである。日本のいちパーツメーカーが造ったカスタムモデル・ロードホッパーとは一体どんなバイクなのだろうか。

ロードホッパー Type 2iの特徴

ロードホッパー Type 2iの画像

デザインから製作まで日本で企画
カスタムの魅力を量産型で実現した

そもそもロードホッパーの生い立ちは、1990年代にさかのぼる。当時のカスタムバイクショーなどに出展するために、プロトでは ZERO-engineering (ゼロエンジニアリング) という HD カスタム部門を立ち上げ、数多くの作品を製作、結果コンテスト等で多くの賞を手にした。本来ならそれらのバイクはコンテストのためにすべてワンオフで製作された特別なものであって、実際に公道を走らせることまで考慮しないのが通例。しかしプロトでは、これをコンプリートモデルとして量産するプロジェクトを発足させたのだ。

ロードホッパー Type 2iの画像

当然、量産するとなると問題点は多い。特にクラシカルなハーレーの象徴ともいえるリジッドフレームやスプリンガーフォークに関しては、その安全基準が重要な課題となるわけだが、プロトはパーツだけではなく、車両製造メーカーとしての強い意識と誇りを持ち、各部の肉厚や溶接方法などを徹底的に検討。試作段階で「実際に壊す」までのテストを行なって、その結果を二次、三次とフィードバックするなど、安全に対する妥協を許すことなく開発を進めた。こうしてカスタムのテイストを保ちながら、公道での使用に耐えうる安全性と、安定した品質を持つ車両を生み出すことに成功したのである。

ロードホッパー Type 2iの画像

そんな企業努力の結晶とも言えるロードホッパーシリーズは、現在3タイプ6機種がラインナップされている。今回試乗する Type 2i はそんなシリーズの中でも 1200 スポーツスターのエンジンを、リジッドフレームとスプリンガーフォークの車体に搭載したライトウェイトモデルだ。

ロードホッパー Type 2iの画像

そのスタイリングはまさに 1940年代のオールドチョッパーであり、目立つのはやはりリジッドフレーム。「グースネック」と呼ばれる前方に伸びたネックから低い位置へ流れるように続くフレームは、サペンションやスイングアームを介すことなく後輪を支持。後輪のアクスルを頂点とした三角形が実に美しい。フロントに目を移せば、完全自社設計という黒光りしたスプリンガーの4本のメカニカルなアームが前方に大きく伸び、タンクは腐食によるガソリン漏れなどのトラブルを未然に防ぐとともに、軽量化も両立させた容量7リットルのアルミタンクを採用。ガラス製レンズのテールライトや、アルミを切削し、ブラスト加工で仕上げた独特の質感を持つハンドルスイッチなど、ワンオフパーツに迫る、質感の高いパーツがふんだんにおごられている。

ここまでオリジナリティの高い状態で、車両価格は 207万9000円。新車の 1200 スポーツスターが約130万円前後とすると、同じようにカスタムしたら当然この金額では収まらず、しかも取り付けたパーツの耐久性や安全性は保障されていないうえに、大量のノーマルパーツが残るわけだから、とことんハーレーのディープな世界にいるバイカーでなければ、このロードホッパーは充分に魅力的な選択肢と言えよう。

ロードホッパー Type 2iの試乗インプレッションは次ページにて

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