ホンダ シャドウ ファントム 750
スズキ イントルーダークラシック400

ホンダ シャドウ ファントム 750 – 伝統を打ち破るマッシブなブラック・クルーザー

掲載日:2010年02月25日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

シャドウシリーズの伝統を打ち破る
マッシブなブラック・クルーザー

クラシカルな雰囲気をまとうクルーザー“シャドウ”シリーズは、20年以上の歴史を持つ伝統あるモデル。その長い歴史の中でいくつかのバリエーションを発売してきたが、いずれもベースとなるスタイルを大きく崩すことは無かった。しかし、今回紹介する「シャドウファントム」はこれまでのクラシカルな出で立ちを脱ぎ捨てた1台。徹底的にブラックアウトされたボディやショートフェンダー、メッキを極力廃してマットカラーを選択したメタルパーツなど、“シャドウの定石”を覆す大胆なイメージチェンジを行っている。これまでのモデルを優等生とするならば、シャドウファントムはその対極に位置する不良的な存在と言えるのかもしれない。しかし、バイクは乗ってみなければその本質を掴めないものだ。果たして変わったのは見た目だけなのか、それとも中身も別の道を進み始めたのか。試乗インプレッションを通して、その真実を確かめてみよう。

ホンダ シャドウ ファントム 750の試乗インプレッション

ホンダ シャドウ ファントム 750の画像

突き抜ける怒涛のトルクと
「進化」の真意が垣間見える

シャドウファントムのスロットルを開ける度に「これまでのシャドウとシャドウファントムは違う存在だ」ということを実感する。スペックシートで見る限り、ベースモデルとの数値の差は大きく無いが、走り始めると同じエンジンとは思えない強いトルク感があり、地面を蹴るような加速を見せつける。エキゾーストが奏でる排気音も、強い音量規制下にあるとは言えVツインの鼓動がはっきりと感じられるもので、ここ最近の大人しいばかりのバイクと比べると“良い音”だ。ハンドリングもこれまでのシャドウシリーズと異なり、ライダーに対してより積極性が求められている。このバイクを楽しむためにはバイク任せの走りでは無く、スロットルワークを駆使して積極的に曲げていくことが重要。しっかりと荷重をかけて思い切り良く右手を返せば、ベースモデルでは味わえなかった豪快なライディングを楽しめるし、その気になればリアタイヤがズリズリと流れるような感覚さえも味わえてしまう。誰でも気楽に乗れるというのも大切だが、乗り手に何かを求める個性は趣味の乗り物であるバイクにとって重要なもの。水冷Vツインが発する骨太なトルクと一癖あるハンドリングは、乗りこなすという喜びも与えてくれる。ただ、少し気になるのはフロントブレーキの制動力。シャドウファントムの強烈な加速に対して、いささか物足り無さを感じてしまう。その分リアブレーキの効きは良いのだが、走りのポテンシャルが高いだけにダブルディスクのストッピングパワーがあれば…と思ってしまった。

ホンダ シャドウ ファントム 750の画像

もちろん、尖った個性ばかりがシャドウファントムの魅力ではない。低いシート高からくる足つきの良さや、リッターあたり25km前後をマークする低燃費といった性能もしっかりと確保。ポジションも見た目よりずっとコンパクトで、ホールド感の良いシートと合わせて長時間のクルージングを楽しめた。ただ、一度乗ってしまうとこのバイクの強いキャラクターの方に関心が移ってしまうため、そういったベーシックな美点はすっぽりと抜け落ちてしまうかもうしれない。バリエーションモデルという範疇に収めたく無い“個性ある走り”こそ、シャドウファントム最大の魅力と言えるだろう。

ホンダ シャドウ ファントム 750の特徴は次ページにて

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